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堀口 悠冴

まあまあの出来栄え。

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堀口 悠冴の人生のストーリー

ブラック会社の最高経営責任者になった。1回

その会計士は数枚の紙を机上に置いた。そして呟くように言った。 「社長今月の損益計算書の結果はマイナス3,000万円です。」 なんだよマイナス3,000万円って桃鉄じゃねーんだぞ。 「では、これで」と言って、その会計士は立ち去って行った。 なぜこんなことになったのだろう。激しく後悔したものだ。父親の経営する会社を引き継げと打診され悩みながらも承諾した。今思えば本当によく考えてから行動すればよかった。

ブラック会社の最高経営責任者になった。2回目

あらすじ 31歳のとき父親が経営する会社を引き継ぐことを決意する。就任してからすぐに理解したこと。それはワンマン経営の自転車操業のボロボロの会社であるということであった。なんとか再建するよう誓うのであった。 請負で契約しているメンテナンス契約の年次点検を今季から半年遅らすことにした。メンテナンス契約をしているお客様に対しては4月から保守点検に入るのだが、毎年4月の点検を10月にといった具合だ。 つま

ブラック会社の最高経営責任者になった。3回目

毎月の収支報告が非常に遅い。とある本には月締めの損益清算書と貸借対照表はどのような企業であっても7日以内にだせる。それをもとに経営判断していくべきだと記載されていた。 なるほど。そしてわが社の場合はなんと21日後だった。 経理の女性に損益計算書と貸借対象票を7日以内を目標にできるかと尋ねる。そんなの絶対無理ですとかいう。無理だというのだけではなく理由を聞く。施工部から請求書が出てこないことが理由だと

ブラック会社の最高経営責任者になった。4回目

ここで簡単にうちの事業内容と歴史について軽く振り返る。我が社は創業25年。26年目において先代から私に事業継承を行った。事業内容は電気通信業。 携帯電話基地局の建設。地上デジタル放送受信設備の構築。光ファイバーの敷設。集合住宅における高速インターネット回線の構築といった内容である。稀に新設トンネルのなかに非常用のラジオ放送設備を受信する基地を建設する工事や警察や消防用の緊急無線の設備構築も行うことも

ブラック会社の最高経営責任者になった。5回目

建設業の朝は早い。朝7:30には会社につく。社員の何人かすでに出勤している。自然に早く出社するようになった。 好きな時間に出勤し、都合のいい時間に帰宅、出勤日も自分で決められる。 社長出勤というのは朝七時台に会社にいくことであると勝手に解釈する。 経営者が果たすべき役割とは?私の存在は何者なのか。朝必ず自問自答していた。現時点においては経営責任を取らされているだけの神輿のような存在である。ただ単に担

ブラック会社の最高経営責任者になった。6回目

今の会社に勤める前、私はITコンサルティング会社に就職していた。知人の知人程度の仲の人にどうしてもと熱心に誘われ、25歳のころに入社したのだった.結果的に私はそこで多くのことを学んだ。 ITコンサルティング会社の営業職と聞いていた。実態は法人相手にはオフィスプリンターと電話機のリース販売。要するにテレアポと飛び込み営業である。光ファイバーの加入促進や地上デジタルの普及活動。簡単に言えば訪問販売であっ

ブラック会社の最高経営責任者になった。7回目

自分が読書家であるかと問われれば本はよく読むほうであると思う。小説も漫画もよく読む。それは学生のころからであり、結婚しても子供ができてもずっと続けている。現在は年齢相応の本を好んで読むようになった。ビジネス書も子育て論も歴史書も様々な本をよく読む。だが、実のところいわゆるビジネス書というものをあまりあてにはしていない。 ビジネス書に中途半端に感化される前に、会社や顧客や従業員など自分のごくごく身近で

ブラック会社の最高経営責任者になった。8回目

正月はのんびりと自宅で過ごした。妻と子供とこうして一日中一緒にいることは最近ではなかったような気がする。去年は正月に実家に妻と子供と連れて食事をしていたのだが、今年は何か憚れた感じがして帰らなかった。 妻は実家が何か別の異世界のようだとよく言っている。妻に言わせれば「バウワンコ王国」らしい。空飛ぶ船、火を吐く車が闊歩する大魔境だそうだ。犬と人間が同じ食事をして同じ言語で話しているのが理解できないとの

ブラック会社の最高経営責任者になった。9回目

私はさほど学歴を気にはしていない。社会人になって五年目十年目の人を評価するうえで学歴を重視しても意味をなさない。学歴なんてものはせいぜい大学卒業して三年ぐらいまでの評価基準であると考えている。10代後半や20代前半の人間を評価するのは確かに学歴でいい。30代前半以降の人たちは「どのような20代を過ごしたか」を評価するのであり、学歴は評価対象にならない。 終身雇用・年功序列の基礎ともいえる「新卒採用」

ブラック会社の最高経営責任者になった。10回目

自分が薄給であると考えているならば会社の金を横領すればいい。 大学卒業後にある上場会社に首尾よく就職できた。そこの職場で教えて頂いた5歳ほど上の先輩の格言である。要するに自分に500万の価値があると考えているのに会社は400万の評価しかしてくれない。その差分の100万円は横領してもよいということ。あくまでも自分の価値評価を定めその差分を拝借することが必要である。400万の価値しかない人が1000万円

ブラック会社の最高経営責任者になった。11回目

美しいものを追い求める姿は醜い このような逆説的な論理を非常に好む。 例えば、排除系アートというものがある。ごくごく自然に公園に設置されている机や椅子にはある種の思惑が込められている。それは、同じ人物に長時間使われたくないという思惑である。 明らかに浮浪者の排除が目的なのに、悪意を感じさせないことが大事であるのだ。 長時間座れない椅子や横になって寝れない椅子は本来の機能を失いつつも高い芸術性を維持し

ブラック会社の最高経営責任者になった。12回目

経費削減とは「安く」買うことではなく「少なく」買うことにある。 製造原価の削減は経営において最優先課題であったりする。この原価計算というものが行われてないままの売上至上主義の中小企業は実に多い。家計簿レベルの個人事業主であったり、中小企業であっても、 経費削減を声高に言わねばならない会社はまず間違いなくまったく買う必要のないものを購入している。余剰在庫を抱えているのだ。 例えば、一個100,000円

ブラック会社の最高経営責任者になった。13回目

太陽光に特化した電気工事部門を独立する形で、新しく会社を設立することになった。私なりに会社を設立するにあたり重要なポイントを述べてみる。よく書店に1,500円程度で売っている 「起業家になるための15の方法」 といった雨後の筍のように乱立している経営本と内容は変わらない。 あまり数が多すぎても意味が分からなくなるので簡潔に記載する。 会社設立の重要な3つの要素がある 。3つだけ押さえればそれでいい。

ブラック会社の最高経営責任者になった。14回目

「文学とは自分を熟成させる手段であり、自分の過去を振り返らせる手段でもある。」 好きな音楽を語るとき、作品そのものよりも作品との思い出を語る人がいる。「この曲は恋人と一緒に聞いた」「自分が初めて購入した曲」「自分の重要なイベントで流れた曲」といった具合だ。 音楽を語るとき自分の過去の思い出を振り返るように、実は文学にも同じ役割が存在している。「この作品は○○さんに紹介してもらって購入した作品だ」とい

ブラック会社の最高経営責任者になった。15回目

複数の会社を経営するメリットは何か?それは貸借の分散に他ならない。 会社を複数にしたところでリスクが分散できるわけではない。経営陣が同じであるならば、財布と看板は混同されることになる。二つの会社の経営者が同じであるならば、片方の会社が助かってもう一方が頓挫するということはまずない。潰れるなら両方とも潰れる。 税制面での優遇はさほど感じない。複数の会社を運営する上でのコストが二重にかかることを考慮すれ

ブラック会社の最高経営責任者になった。16回目

ゲームには必勝方法が存在する。 「フライング」「カンニング」「後出し」「ホームで試合をする」「裏ワザ(バグらせる)」「レベル上げ」「豊富な資金力を持つ」といった類の内容だ。 子供のころからゲームが好きだった。いかに正攻法以外の方法で勝利するかということをよく考えていた。最短手順で勝利する方法を模索していたのだ。 『大富豪』や『ウノ』でもよく勝つ方であった。トランプやカードゲームでは率先してディーラー

ブラック会社の最高経営責任者になった。17回目

「私は自分が悪人だと考えている。だから反省するのだ。世の中には自分が正人だと考えている人が多い。つまりは『お前が悪い。俺が正しい。』と言える人である。『今回は俺が悪かった』とたったこれだけのことが言えるだけで、夫婦仲でも友人でも良好になったりするものだ。」 昔見た映画だったか小説の台詞だと記憶している。タイトルは覚えていない。 どうも正義感に溢れた若者というのが苦手なのだ。人より正義感が人一倍強いと

ブラック会社の最高経営責任者になった。18回目

芸術における感情の起伏は目的ではなく手段である。 目的は「神に対する反抗心を削ぐためである」 教わった家庭教師はどこか偏屈な人であったとつくづく思う。 彼とはよく議論をした。もちろん議論に勝てるはずもなく一方的に教わることになるのではある。印象に残っている内容を少し記載することにする。 「何故、世界には様々な言語があるのか?」 旧約聖書の一説にバベルの塔というエピソードがある。天に届く高い建物を建設

ブラック会社の最高経営責任者になった。19回

ある一定の条件さえ満たせば、建設業の公共事業は赤字でもいい。 では、その条件とは何か? この問いに即座に答えられるのであれば、経営感覚があると自負してもいい。 友人でも恋人でも、自分との金銭感覚の違いを感じる機会は意外に多い。この金銭に対する感覚というものは「なんとなく」培われていくものであり、なかなか他人に伝えるものは難しい。 例えば日本には「政府債務」というものが存在する。それはあまりに膨大で1

ブラック会社の最高経営責任者になった。20回

今期の決算も終了した9月の初旬に、会社を2日ほど休暇を取ることになった。理由は友人の結婚式と祖父の葬儀の為である。結婚式に呼ばれることは何度かあるが、結婚式と葬式が重なったことは稀有な体験であった。両方とも私にとって大切な人であったので少しだけ綴っておきたい。 大学時代の友人で斎藤君という。私と斎藤君は大学時代の同じ学部に所属しており、よく酒を飲んだ仲である。結婚相手はこれも同じ学部の森谷さんという

ブラック会社の最高経営責任者になった。21回

前回のあらすじ 大学時代の友人の結婚式に参加して楽しく酒を飲んでいた一本の電話が鳴った。祖父が死亡したとのことだった。二次会も急遽キャンセルして自宅に戻るのであった。 妻は駅まで迎えに来てくれていた。 先ほどの結婚式でいい気分になっていたので、妻に感謝と結婚の素晴らしさについて語ろうとしていた。 私「 結婚式はいいものだよね。貴女との結婚式を思い出してさ・・・」 妻「 とりあえず、警察行くから。さっ

ブラック会社の最高経営責任者になった。22回

「手取りがいくら、手取りがいくら」と手取りばかり気にしているようでは人間の器は小さくなっていく。 昔勤めていた会社の社長がよく言っていた。その意味は今ならよくわかる。 経営者は総支給額を間違いなく従業員に支払う。それは給与明細の右上記載の総額だ。従業員は左下の一体いくら振り込まれたのかを気にする。手取り年収とは、勤務先が支払う額面の給料から所得税・住民税と社会保険料を差し引いた金額のこと。 これは従

ブラック会社の最高経営責任者になった。23回

「太陽光というのはいま一番稼げる商品なんですよ。」 その発言をしたのは代表取締役という肩書きをもついかにも軽そうな男であった。その隣にはいかにも「俺はワルです」といいたげな派手な服装をしているデブで背の低い男が立っていた。 私の眼には奇妙な連中に映った。この時期の太陽光ビジネスというのはさまざまな会社が新規参入していた。そのなかでも一番目を引いたのが彼らであった。 太陽光発電システム展といういわば、

ブラック会社の最高経営責任者になった。24回

ここで消費税に関する極めて基礎的なルールを記載する。 基礎的とはどの程度かというと、数学ならⅠA、簿記なら3級程度、英語なら英検3級、ピアノだとバイエルぐらいだし、ドラえもんなら「もしもボックス」の使い方ぐらいの知識だ 。要するに基礎の基礎であるということが言いたいだけだ。 ルール1 消費税は国内のみ適用される。 これは当然のこと。日本の税法で定められた法律であるから適用できるのは日本国内のみである

ブラック会社の最高経営責任者になった。25回

眼鏡の大柄の男「マルクスの資本論曰く、資本主義が進むと労働者は孤立していく。」 眼鏡の大柄の男「全ての労働者は連帯して、資本家に対して勝利するのだ」 その大柄な男は私達の作業現場のすぐそばで拡声器で叫び始めた。あっけにとられた。まさか21世紀が経過して十数年。いまだにマルクス経済学を引用する人がいるとは。 人から「マルクスの資本論曰く・・・」なんて演説を聞いたのはこれで二度目だ。学生の時以来だ。 か

ブラック会社の最高経営責任者になった。26回

「学生と企業のコラボレーションに碌なものなんてありゃしない。」 その担当者は吐き捨てるように私に愚痴ってきた。人通りの少ない場所に設置されたブース。そのブースに暇そうに携帯を片手に椅子に座ってうつむいている学生。掃除もされないままに大量に吸い殻のある灰皿。そして、ほとんど一枚も減っていないパンフレット。これらが意味することは一つ。このプロジェクトは既に失敗している。 勤めたことがある人ならば理解して

ブラック会社の最高経営責任者になった。27回

「指定した銀行口座に振り込みは完了したので確認して欲しい」「入金確認後すみやかに業務を遂行して頂きたい」 一通のメールが私のもとに届いた。 確かに振込先を相手には伝えておいた。そして金額についても口頭承諾は頂いている。 だが、 伝票(レシート)なしに4,000万円もの金額を口頭承諾のみで振り込んでくる ものであろうか。 私はゴルゴ13かよ。 ウェブバンキングで銀行口座を確認すると思わず一人でツッコミ

ブラック会社の最高経営責任者になった。28回

ある女性「ゆーご君。久しぶり。遅れてゴメンね。」 私「あまり気にしてないからいいよ。それより友達は?」 ある女性「遅れてくるって。先に二人だけで向かっておいてと言っていた」 私はこのとき、うすうす気が付いていたのだ。友達は来ないと言うことを この旅行はこの女性の二人だけの旅行になるということを この女性はのちに妻となる。 京都出発して日本海側から鳥取に向かう。鳥取から境港へ向かいそこで一日目はそこで

ブラック会社の最高経営責任者になった 29回目

年末、頭を抱えて悩んでいた。どう考えても、資金が足りない。 12月は会社の財務状況が最も悪化する月である。月次の売上の繁盛期に関係なく。一つ目は年末調整。二つ目は冬のボーナス。 年末調整は、職場や周囲の人を見ても理解している人ってほんと少ない。興味がないのか。知らないふりをしているのか。詳しい人であっても、ただ単に自分の還付金の返納の多寡で喜んでいる程度である。提出が遅いのは20代の独身男性だ。生命

ブラック会社の最高経営責任者になった 30回目

ビルメンテナンス「にーちゃん交流100ボルトの最大値はいくつか知っているか?」 私「ルート2と100ボルトの積ですね」 ビルメンは「コイツ知ってやがる」みたいな顔をした。 こんなことは中学生でも知っている。 何故、ビルメンは自分の持っている知識を披露したがるのであろうか。相手に自分の知っていることを質問する。相手が知らないと自分の知識をヒケラカス。この手の質問は相手に不快を与えるだけでしかない。返答

ブラック会社の最高経営責任者になった 31回目

経営の多角化を行うこと。 それは道なき道を開拓することと同義である。 世の中の経済評論家は「あの会社は本業と異なる事業に手を出したから失敗した」などとよく言う。決してそうではない。企業経営をしていたら必ず事業の多角化に挑戦していかなければならない。企業にとって、新商品の開発は必要不可欠なものなのだ。 企業が多角化を目指す理由は何か?まずは経営の安定であるはず。一つの事業では先行き不透明なので二股かけ

ブラック会社の最高経営責任者になった 32回目

商品を購入する場合において確認することは二つ。 値段。そして支払い条件である。この支払い条件は値決め以上に必要なことが多い。現金商売ではなく掛け金で商売していると当然のことだ。 とある公共工事を予定の一週間遅れで完成させた。受注金額は2,800万円。前渡金を4割ほど頂いているので、最終の精算金額は1,680万円。これは本来一月での売上計上となるはずだった。納品後の検品に多少てこずり2月売上となった。

ブラック会社の最高経営責任者になった 33回目

しばらくの間実家に帰らせていただきます 妻はわざわざ置手紙を残して旅立っていった。出産予定日は9月末。帰るにはまだ早すぎる。悪阻が相当酷いらしい。子供の面倒も見る必要もある。保育所が休みの週末の期間だけ実母のもとに戻るという。 私は家に一人残された。自炊するのも面倒なんで弁当とビールで夕食を終わらす。それはまさに妻に逃げられ離婚された中年男性のようだった。 私もひさびさに自分の実家に帰ることにした。

ブラック会社の最高経営責任者になった 34回目

「毎年、毎年、特別損失を計上しているような会社にまともな会社があるはずないわ」 上記の言葉は池井戸 潤氏の小説『オレたちバブル入行組』いわゆる半沢直樹シリーズに出てきたオネエ言葉の税務官の台詞である。 これを読んだとき、 「ああ、まさにウチの会社のことだな」 と感慨深く感じたものだ。 これは特例。これも特例。特別扱いのルールが多数あるとそれは既にルールが機能してないに等しい。 特別損失3,200万円

ブラック会社の最高経営責任者になった 35回目

「アムア・エスデテント」「アムア・エスデテント」 私はそれが英語であることに数秒の時間を要した。よくよく聞くと学生 Students のことだった。彼はイニシャルSで始まる単語をはっきりと「エス」と発音していた。モンゴル式英語らしい。あとは「R」の発音がやたら巻き舌なのが気になる。 そんな英語でいいなら私でも英語ペラペラと言えるぐらいだ。 モンゴルから来た青年は来日してまだ二週間ほどだそうだ。彼は我

ブラック会社の最高経営責任者になった 36回目

「指示があるまで動かない」は「指示があっても動かない」へと変化する。 これは指示待ち人間が何故駄目なのか。私なりに端的に表した言葉である。指示待ち人間は「指示されたら正確無比に仕事が出来る」訳ではない。積極的に動かない人間にある仕事を一任しても、「やったことないからできない」と出来ない理由を探す。責任を押し付けられることを嫌うので、自分でできる簡単なことしかしなくなる。「指示待ち人間」と呼ばれる傾向

ブラック会社の最高経営責任者になった 37回目

友あり、遠方より来たる、怪しからずや 全く連絡取っていなかった知人や過去の友人から突然連絡が来るとき、それは往々にして碌な要件ではないという格言である。グーグルで検索しても出てこないのは私がいま即興で作ったからである。この世の中にはグーグルにも解らないことは沢山あるのだ。 私の場合は不動産投資話や選挙応援といったことが大半である。昔勤めていた会社で知り合った女性から電話がなったときもそうであった。彼

ブラック会社の最高経営責任者になった 38回目

「県」という漢字の成り立ちは人が逆さに吊るされている様子から来たものだそうだ 。要するに県と県の境目には「ここからは違う領土だ。勝手に入るな」と見せしめのために人の死体が吊るされていたらしい。領土を線引きすることは人の命よりも大事なことであったのだ。 このようなことを考えていると「道」には何が置いてあったかが簡単に理解できるようになる。 「道」は人間の生首が転がっていたのだ。人の屍の先に道はある。

ブラック会社の最高経営責任者になった 39回目

「発売日に物を買うな」 ウチの爺さんが口酸っぱく言っていたことだ。発売日に誰よりも先に物を購入したいという願望は出てくることがある。発売日に並んで物を買う習慣が付くと、「あれも欲しい。これも欲しい」と次から次へ物が欲しくなる。それをいかに我慢できるかが大事だとよく言っていた。 私は質問した。 「どうしても欲しい場合はどうするのか?」 と聞いた。 爺さんは 「一晩寝てみて、次の日になっても、どうしても

ブラック会社の最高経営責任者になった 40回目

あの日のことはよく覚えている。子供の誕生日なのだから。あの日の前日から大雨が降り注いでいた。 前日の夕方ころ、顧客から連絡があった。監視カメラの様子がおかしい。見に来てほしいと。緊急性の確認をする。明日でもよいか。それともいまから出動要請が必要であるか。顧客は今日は日も落ちかけているので、明日でよいと言ってくれた。私は少し安心した。こんな土砂降りの中、現場仕事するのはさすがに気が引ける。内容を確認し

ブラック会社の最高経営責任者になった 41回目

100人が100人とも食料を確保できるときの指数を100、物価を100とする。これに対して100人中85人には食料が渡る。残りの15人は食料確保が困難になったとき、物価はいくつになるか? おおよそ物価は2倍に跳ね上がる。物価は200となる。これは私が子供のころ経験した実体験に基づく。 いわゆる平成コメ騒動と呼ばれる事象である。政府マスコミは深刻な米不足であることを発表した。実際には例年の75%程度の

ブラック会社の最高経営責任者になった 42回目

「私が君ぐらいのころ胡散臭い商売の代名詞といえば証券株屋と不動産屋と保険屋だった。最近もうひとつ加わったよ。君みたいな太陽光発電業者さ」 農薬屋のおっさんは皮肉っぽく私に語ってきた。私はとりあえず笑っておいた。ひきつったような笑いであったかは定かではない。 この農薬屋のおっさんは田舎で農薬の原料工場を運営している経営者である。 創業65年ほど経過している老舗の農薬屋だそうだ。工場の空いている土地に太

ブラック会社の最高経営責任者になった あとかぎ

この物語は2011年3月から2015年の7月までの数年間において、私自身の実体験をベースとして執筆したものである。少し誇張や脚色が入っている。そもそもの登場人物が「Aさん」「Bさん」という仮名であることがすでに、「フィクション作品」として見て欲しいことを示唆している。聡明な読者であればすぐに気が付いて頂けるのであるけれども、なかにはそう読み取れない頭が残念な人たちがたまに存在した。コメントを頂く。「

ブラック会社の最高経営責任者になった 43回目

テレビは演出と広告を楽しむもの。 前からそうは考えていたのではあるけれども、確信に至った出来事があった。ちょっとした契機がありテレビの取材を受けることになった。そのときのことを少し綴る。マスメディアというものは演出や広告で成り立っており、視聴者は知っていてか知らずかは別としてそれを楽しむものだと考えている。また過剰な演出や過剰な広告があったとしてもそれはそういうものであり別段目くじらを立てて起こる必

ブラック会社の最高経営責任者になった 44回目

なんだコイツ。車の運転下手すぎるだろ。私は会社の来客用の駐車場に停めるように伝えた。何を思ったかその車は駐車場に頭から突っ込んでいった。次の瞬間にガチャという音を立てぶつかった。 出会って5秒で合体。 いきなりぶつかった。 「お前なにしているんだよ」私は大声で叫んだ。隣でミギー部長がニヤニヤ笑っている。笑っているんじゃねーよ。 停めてあった車と運転していた車がぶつかった状態のまま彼は運転席から出てき

ブラック会社の最高経営責任者になった 45回目

組織図は形骸化していく。 「ちゃんとルールを文書化しよう」と意気込んだものの、その文書が全く更新されないままに終わる。 こういった事例はよく見かける。意識し続けないと目的が見失われていくし、時間が経てば人は忘れていく。 制度を作ったとしても、立派な目標を立てたとしても、それが継続して実行されずに終わるのであれば、何の意味もないのである。 マニュアルの整備についても同様だ。定期的なメンテナンスが必要に

ブラック会社の最高経営責任者になった 47回目

最初に言葉あった。もちろん新約聖書の冒頭部分だ。私は別段キリスト教徒でも何でもないけれども、ある程度聖書の内容を学んだ。子供のころに勉強を教えてもらっていた人が敬虔なカソリックの方であったからだ。信仰の告白というものは勇気がいる。特にカソリックであることを告白することは社会の冷たい目に晒される、あるいは面倒な奴と思われてしまうそうだ。先生は「新渡戸稲造」「新島襄」「内村鑑三」「遠藤周作」「山本七平」

ブラック会社の最高経営責任者になった 46回目

世界で一番もっとも美味しい焼き鳥を食べに行くぞ」 家庭教師はそう言った。確かにあの時食べた焼き鳥よりおいしい料理を私は食べたことがない。なにせ自分で生きている鶏を絞め殺して食べたのであるから。 集合時間は朝の6:30。私と平松君とゆかりんの三人は夜明けとともに起きて先生の車に搭乗した。母親には今日は弁当は必要ないと伝えておいた。その日そのときまで単なる飯盒炊爨であると考えていた。私は小学校四年の時か

ブラック会社の最近経営責任者になった。 48回目

簡単な決算書の読み方を解説してみる。私自身は別に銀行員でも税理士でも投資家でもなんでもないので、専門的な知識を有している人には「当たり前のこと」であるだろう。ただ、この程度の「当たり前のこと」を結構知らない人が多いのも事実である。 自分の勤めている会社がどのような決算をしているかですら、知らない人は沢山いるのである。会計が理解できずして経営は成り立たない。 多くの人が「良い大学」「良い会社」を選びた

ブラック会社の最近経営責任者になった。 49回目

いきなり唐突に告白する。私は催眠術を使うことが出来る。催眠術というとどのようなことを連想するであろうか。宗教の教祖のように人をマインドコントロールする能力であろうか?見ず知らずの異性を自分に惚れさせる技術であろうか? これらの想像はおおよそ正しい。まさに人を操っているように見せる技術であるからだ。ただし、催眠はいくつかの条件がある。まず大前提に 「催眠は味方にしか入らない」 ということだ。要するに「

ブラック会社の最近経営責任者になった。 最終話

同時期に3人の社員が辞職することになった。一人目は女性事務員である。彼女は社内恋愛をしており、二つほど年上の従業員と付き合っていた。交際していることは何となく知っていた。あまり触れずにしていた。交際している男性の従業員が私に突然相談を持ち掛けた。 男性従業員「社長少し相談があります。あのー女性事務員の方会社辞めたいって言ってるみたいです」 私「なにか理由は聞いているの?」 男性従業員「妊娠したみたい

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関根 敦
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ボクとアニキの起業物語 ~町工場から医療機器の会社を立ち上げた話~

医薬品事業 経営戦略企画 アシスタント・バイス・プレジデント これはボクがシンガポールのベンチャー企業に勤務していた時の肩書きである。正直、何をしているのか?、偉いのか?偉くないのか?良くわからない。 そして今は… カーターテクノロジーズ株式会社 代表取締役 アシスタントもバイスもなくなり、いわゆる一つの「社長」となった。ただ、なんの会社の社長なのか…相変わらずわかりにくい。 ボクはシンガポールにい
Ninaki Shoichi
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日韓ハーフvs中東 〜文化を巡る戦い〜

お腹がすいて近所のコンビニに行ったときの話。 中東系の男性が僕に密着してきたので、すかさず離れる。 だけど、なんか背中に熱い視線を感じる。 ゆっくり振り返る。 そこには… 子犬のような眼差しで僕をじっと見つめる中東。 もう仕方なく近寄る。 すると、うれしそうに英語でべらべら話しだすのです。 日本語がまったく通じないみたい。 そして。 どうやら、即席めんを買いたいけど味がわからないらしい。 目の前の棚
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『イラスト奮闘録。イラストレーターになりたい、と走り続けた日々の物語』第1章「始まりの年」

その1「きっかけは1枚の貼り紙、しかも手書き」 1996年の春「イラストレーターになりたい」という 想いを抱いて大学を卒業した私。 子供の頃から絵を描く事が好きで、その夢を貫き通すのはいいけど 実際にはどのようにイラストレーターになったらいいのか 全然見当がつきませんでした。 学校も美大に通っていたと言うわけではなかったですし、 周囲を見渡しても、そんな仕事に就いている人はいません。 その上、世の中
田嶋 達也
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会社員が中国にけん玉を持って行ったら、東京2020を目指すことになった話。

訪れていただき、ありがとうございます。 これを読んでくださった方々が、読み終わった後に押し入れから古びた木のおもちゃを引っ張り出し、遊んでくれることを心より祈っております。 (写真/2年前のけん玉コレクション) 3年前、中国の砂漠で。 ボランティア活動で中国の砂漠に行った。 現地の学生と日本の文化交流をしようみたいなプログラムがあって、そのネタとして 「けん玉」 を持ってった。 これがとても大きなき
大口 一郎
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〜白内障だと言われ生まれて初めての手術を受けた〜

この夏ぐらいだったと思う。太陽の下を歩いているとどうも左眼の左側が曇ってよく見えない感じと、眼の中がゴロゴロする感じがしたので眼科医に行ってみた。多分左眼に異物が入って角膜にでも傷がついたのでは?とちょとビビりながら。。 医師の診断は「眼の曇りは白内障ですね、ゴロゴロする異物感は結膜炎ですね」「ハクナイショウ?高齢者がなるやつ?」 ネットとか調べてみても、手術以外では治らない。。。。みたい。。。 イ
mamita .
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【第4話】10年間で4.5回同棲に失敗した【ラスボス-普通の人が1番怖い-】

普通の人が一番だ。 これが私の行き着いた結論だった。 ワンルームマンション一杯にゴミを溜める男 はダメだし、 チリひとつない部屋に住み私のファンデーションのヨレやマスカラの滲みを即座に指摘するような細やかな人 は疲れるし、 「いつかビッグになる」が口癖でスタジオ代をせびり、浮気をした挙句に家財道具一式を持ち逃げするようなバンドマン は最悪だし、 道をまっすぐ歩くことができず、電柱やガードレールに登り
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(前略)ただゴルフがしたい一心で渡米してプロゴルファーを目指した話 ⑤ 最初の1ヶ月

脱 週一ゴルファー さて縁あって会社の先輩の後輩、Oさんを紹介してもらいました。 更にその師匠のYさんを紹介してもらいます。 Y師匠は日本人で、ロサンゼルスに居住歴計10年以上。 自身も脱サラ後、プロゴルファーを目指して渡米。ツアープロは断念したものの、ティーチングプロになって、世界で戦えるツアープロを育てたいというアツイ人でした。 最初の1ヶ月は、そのY師匠のご家族(奥様と男の子2人)の家にホーム
KIKUCHI YU-KA
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都市部・地方都市・そして田舎で暮らした私が教える、田舎ライフの落とし穴8つ。

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第1章「世の中は、たいてい思ったとおりにいかないもんだ。」 大学は本当は心理学部に入りたかった。 と、言っても理由は当時観ていた「FBI心理捜査官」という映画の影響なのは 家族全員がわかっていた。 陽介は様々な大学の心理学部に落ちた結果、妥協して法学部に入った。 法学部を選んだのは消去法で、 単に当時、「FBI心理捜査官」以外は法廷ものの映画ばかりみていたからだ。 「配属は営業以外がいいです。」 配
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【共働きの両親へ】いつもいなかったから、大事だった-限られた時間が私達兄妹に与えてくれたもの

「せめて子どもが小学校を卒業するまでは、家にいてあげたい」 社会人生活を11年間過ごす間に、そう言って仕事を辞めていった友人や同僚を何人も見てきた。 彼女達の気持ちは、私にも分かる。私に子どもはいないが、おなかを痛めて産んだわが子はきっと側に居るほど可愛くて、せめて小学校までの大切な時期を側で見守りたいと思うのは、ごくごく自然なことだろう。 しかも、どこにどんな残酷な人間が紛れているか分からない昨今

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