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Cathy Kei

旅とヨガ、美味しいパン屋さんを愛しています☆
2012年5月9日,かねてから念願の世界一周の旅☆をはじめました\(^^)/
2013年3月、旅を終えて中東のヨルダンに移住
2015年3月 日本帰国。ヨガ講師デビュー
2015年12月 旅のエッセイ『ナチュラルに旅して』全国出版

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Cathy Keiの人生のストーリー

世界47ヶ国女子バックパッカーができるまで

はじめは、心の内側のもやもやしかなかった。 父と母、妹が1人。 平凡な家庭に生まれ、特別不自由もなく育っていたけれどもひとつだけ不満があった。 それは、心の内側がもやもやしていたってこと。 そう思い始めたのは小学生のころだった。受験戦争という状況の中で、他の子供たちと一緒に塾に通った。テストでの成績がいいと、両親が喜ぶ。そのためだけに、好きでもない勉強を一生懸命やった。 でも心のもやもやはどんどん大

世界47か国女子バックパッカーができるまで(2)

環境でひとは変わる 関西の大学に入学してからというもの、突然与えられた自由というものに私は興奮して我を失った。 両親のもとに生活していたときに感じていた息苦しさはなくなり、遊びやバイトに熱中する日々。 高校を卒業したころの、自分の決意なんかも半年はさっぱりと頭の中から消え失せていた。 バイト、飲み会、授業、恋・・いくらでもあちこちに自分を忘れる要素は転がっていた。 でもある日、半年付き合って別れるこ

世界47か国女子バックパッカーができるまで(3)

大人の世界・・ 20歳の誕生日を迎えた私は、その居酒屋に通うようになっていた。 ママは私の母と同じ52歳。なんだか自分の母親のように思えてならなかったし、自分の実の母親から感じるような過剰な干渉がないのが心地よかった。そこには他人であるべきある程度の一線や愛情があり、それは私をホッとさせるものだった。 居酒屋には本当にたくさんの地元のお客さんが来た。 小さな居酒屋だったけれどもそこにもあるべき人間関

世界47カ国女子バックパッカーができるまで(4)

一枚の新聞記事が私を変えた 初めて親元を離れるということで、両親は私を大学併設の寮にいれていた。 ここは全国各地から集まってきた人たち、そして大学側の交換留学生が一緒に住む国際学生館という名前の施設だった。さらに特色があったのは、学生による自治寮だということ。法学部、工学部、社会学部、文学部など様々な学部の学生が寝食をともにするだけではなく季節ごとのイベント企画や運営までを任されていた。 そういった

世界47カ国女子バックパッカーができるまで(5)

ケイシー 私、世界に行きます! 翌日、とりあえず居酒屋のママにそう宣言した。 居酒屋のママ 何々、どこに行くって?? ケイシー イギリスでボランティアするの!現地の小学生に、日本の文化や日本語を教えるの。 居酒屋のママ すごいね、ケイシーちゃん、英語喋れるの? ケイシー えっ、いや。そこまでは・・ ママに言われるまで正直言って異国の言葉が通じるかどうかまで、浅はかな私は考えていなかった。私の英語力は

世界旅後手持ち300ドル、家族も友人・恋人、時間もお金もすべて失い失意のまま帰国したバックパッカーが自分の夢を叶えてきた記録

あの頃、インド洋を眺めていた 呆然として、夕方のインド洋を眺めていた。 2014年9月も終わりに差し掛かった頃。スリランカの首都、コロンボの小さな海岸にある小さな岩の上に、私は腰かけて海を眺めていた。 海の波間はキラキラとさざめき、セピア色の夕暮れが差し迫っていた。 目の前を、仲の良さそうな小学生くらいの現地の兄弟がじゃれあいながら走ってゆく。さびれた海岸には人影がぽつり、ぽつりとあるだけで波打ち際

素顔10代な平凡OLが銀座ホステスとして売れっ子になるまで

ある晴れた秋の夜空の下で ある晴れた秋の空の下で、私は銀座八丁目の交差点である人を待っていた。 10月の銀座の夜。頬に撫でる風が心地よく通りすぎ去ってゆく。立ち止まった私とは裏腹に、目の前を通り過ぎる人々は何かに追われているかのようにせわしなく歩み去ってゆく。 そのある人とは、面識がない。ただわかっているのは、銀座の夜の店の紹介業をしている黒服だということだった。 半年前まで新卒で入社して働いていた

世界47カ国女子バックパッカーができるまで(6)

決意 ある晴れた秋晴れの土曜日、大阪中の島のとある商業ビルの中でその無料説明会は行われた。 エレベーターを降りて会議室前にゆき、おそるおそる周りを見渡すと参加者は年代も様々。初老の男性もいればまだ茶髪で若い高校生のような女子もいる。中には親を同伴している女の子もいた。 私はなんだか、ほっとしたような気持になった。ここにいる皆は、皆が皆何か新しいことを始めたいと思ってやってきている、少なくとも今の自分

世界47カ国女子バックパッカーができるまで(7)

お金で悩む まず、私はバイト代を半分貯金することから始めた。 バイト先は大学前にある、香港料理を出す喫茶店。週に3回くらい、 大学の授業のシフトをうまく組んで、昼間の3~4時間ウェイトレスとして働いていた。 時給700円。それだとどう計算しても、月に3万円くらいにしかならない。試しにオーナーに聞いてみた。 ケイシー あのう・・週3回のバイトを、増やしていただくことはできるのでしょうか? ワンマンオー

素顔10代な平凡OLが銀座ホステスとして売れっ子になるまで(2)

銀花 銀花と書かれた重い扉を開けると、長方形の扉の向こうには真っ暗な空間が広がっていた。 薄暗いエレベーターから出て、まさかさらに暗い空間に入るとは思わなかったし、その暗闇に目が慣れるにも数秒かかった。 黒服はそんな空間に足を踏み入れると、中に向かって誰かに話しかけた。 私が彼の後からついて足を店に踏み入れると、そこからは湿った空気の匂いとともに、長年蓄積され壁にしみついた煙草の香りと、滞留した時の

素顔10代な平凡OLが銀座ホステスとして売れっ子になるまで(3)

銀座のスタイル 銀花に採用されてから、1週間が過ぎた。 ボーイは店の中で指示しながら席を座り歩く銀髪長身の伊藤と、カウンターの中で簡単な料理やカクテルを作る斉藤の2名で、 女の子は一番古株のユイ、ハナ、アイ、サヤカ。そしてまだ会ったことのないママ。 私の源氏名は、マヤ。 働いてみてから気が付いたことだったが、この店は当初黒服を紹介してくれた、銀座のお姉さんが働くようなクラブではないということだった。

世界47カ国女子バックパッカーができるまで(8)

知らない世界 私は18歳まで、親元で大事に育てられたので世の中の裏側なんて知る機会もなかった。 裏側っていうのは、俗にいう夜の世界。 何も知らない小娘が電話をした先には、そんな裏側の世界が待っていたのだった。 待ち合わせの心斎橋の駅前まで来ると、私は手鏡で自分の化粧が崩れていないか確かめた。 来ていた白いギャザースカートを、埃もついていないのに両手ではたく。面接だからスーツなのかと思ったが、電話口の

素顔10代な平凡OLが銀座ホステスとして売れっ子になるまで(4)

接客がわからない 伊藤は私をエレベーターホールに連れ出して、銀花の扉を閉めてからこちらに向き直った。 その顔には張り付いたような笑顔が浮かんでいる。その笑みは私に遊園地のピエロを思い浮かばせた。 伊藤 マヤちゃんさあ、もう少し愛想よくできないかな?お客さんは女の子との会話も楽しみに来てるんだから マヤ す、すみません・・・(距離感が難しくて・・) 伊藤 今日、店終わったらちょっと時間ある? マヤ は

世界47カ国女子バックパッカーができるまで(9)

場違い 小男に連れられて、白いトヨタのバンに乗った私は雑居ビルから数分の路地が目立つ地区に移動した。 小男は目的地に到着するまで、誰かとPHSで話しをしながら片手で運転していた。『ええ、だからあ、そういう面倒くさいのはやっといてよ~』 後部座席に乗っていた私はぼそぼそと聞こえてくるその口調に、私は初めて一抹の不安を抱いた。彼の見た目はウォッシュグレイのジーンズに白いTシャツという風情だったが、その口

素顔10代な平凡OLが銀座ホステスとして売れっ子になるまで(5)

銀座の働き方 伊藤は店のある裏路地から並木のあるきらびやかな通りに出ると、そのまま長い足で大きな歩幅を作りながら歩く。 私は取り残されないように、早足でそのあとに続いた。 銀座8丁目。多くの銀座のクラブや料理屋、社交場はここに集中している。深夜1時といえどもまだ道の両脇には煌々とレトロな街灯がともり、中央には黒塗りのタクシーや高級外車がゆるゆると走っていた。 大通りを一本曲がったビルの前まで来ると、

世界47カ国女子バックパッカーができるまで(10)

時には現状を受け入れることも必要だ 私は心斎橋の地下鉄を息をきらしながら走っていた。 ハア、ハア、ハア・・・ ひょんなことから行ったバイトの面接。仕事の中身がどんなかも知らずに、自分の無知さに驚いたある秋の日。 待合室にいた、髪の毛濡らして肩を震わせる普通の少女。そして、普通と思えないような状況を何かネジを緩ませてしまったように語るギャルたち、白い合皮のソファ、部屋中に染み付いた消毒液のような香り、

素顔10代な平凡OLが銀座ホステスとして売れっ子になるまで(6)

ユイの一言 その客は、入ってきたときから機嫌が悪かった。 ケイシー いらっしゃいませ 伊藤と銀座のアイの店で飲んでから3週間がたち、私はだんだんと銀花の接客にも慣れてきていた。 あの夜アイに魅せられたように、店全体の空気を丸ごと接客する意気込みで、できることをした。 灰皿をかえ、お酒をつくるだけなら誰にだってできる。でも、そこを超えなければ彼女のようにはなれない。盛り下がっている席に話題を振ったり、

世界47カ国女子バックパッカーができるまで(11)

後にひけない自分をつくる 私は夜ご飯を食べるのさえも忘れて、ドキドキと高鳴る胸に手をあてながら寮の廊下に設置してある電話の前に立っていた。 週に一回程度電話をする広島に住んでいる両親とは、携帯で話すと通話料金が高くなるので一般電話同士で話すことにしている。時計を見ると夜の19時を過ぎたところだった。寮生は、皆食堂に行って食事をしているのか灰色の廊下はがらんとして人気がない。今なら、両親も夕食を終えて

素顔10代な平凡OLが銀座ホステスとして売れっ子になるまで(7)

後輩のアラレちゃん。 夜の世界の人の移動は早い。 私は銀花に入店してから数週間で、すでに先輩になっていた。 私のあとに入ってきた女の子は、ヨウコちゃん。まるでアニメのアラレちゃんのようなぱっつんとした前髪に、おどおどとした大きな目が印象的だった。彼女は普段雰囲気は弱弱しいのだけれど、スイッチが入ると途端に気の強くなるような二面性をもったタイプだった。 彼女のことを遠巻きに見ている分には楽しかった。彼

世界47カ国女子バックパッカーができるまで(12)

決意が固まる 翌日になっても、興奮は収まらなかった。 一日は他と変わらず平凡に過ぎ去っていったが、大学の授業に行くと周りの子たちがどこか遠い存在に思えた。隣でノートをとっていても、食堂でお昼ごはんを食べていても、皆が自分 とはすでに違う世界に生きているような気がしていた。 一見、平凡に見える一日を無難に過ごしながら私の頭の中は夜の電話のことでいっぱいだった。 恋は盲目ともいうけれど、まさにもうそのこ

世界旅後手持ち300ドル、家族も友人・恋人、時間もお金もすべて失い失意のまま帰国したバックパッカーが自分の夢を叶えてきた記録(2)

回想(1) キラキラとさざめく海の波間を見ながら、ケイシーは回想に耽ってゆきます。 世界一周後、ヨルダンに住み始めたきっかけはささいなことでした。 そう、理由はシンプル。好きな人ができたからでした。『もうすぐ断食月だし、仕事が始まるまで僕の家に来たらいいよ!』と彼が言ってくれたので、彼のお家にしばらくホームステイすることになったのです。。。 彼が一緒に暮らしている家族はパパのアドゥナン・ママのハーニ

世界47カ国女子バックパッカーができるまで(13)

留学の準備 わたしの決意に、最後は両親も応援してくれ、350万円という留学費用の建て替えと共に送り出してくれることとなった。このことは感謝してもしきれない。今でも、私がこうしてここに夢を叶えてきたというのは両親があってのことなのだと日々感じている。 留学を決意してから出発までに半年の時間があった。 その間に私がしたことは、友人や親せき縁者に会いに行くこと、費用の振り込み、大学の休学届け、寮への退寮届

世界旅後手持ち300ドル、家族も友人・恋人、時間もお金もすべて失い失意のまま帰国したバックパッカーが自分の夢を叶えてきた記録(3)

ムスリムの国での孤独 「えっ、今なんて言いましたか?」 ケイシーは今、これから勤めだすル・メリディエンホテルの支配人室にいます。 目の前には気難し気なお顔をした、ごま塩頭のアラブ人支配人がピカピカに磨き上げられた重厚なデスクの前に両手を組んで腰かけています。彼は厳しい表情を一ミリも崩さないまま、言いました。 支配人 要は、こう言いたいんだ。僕たちに君は雇えない ケイシー どうして急に・・・ こんなに

素顔10代な平凡OLが銀座ホステスとして売れっ子になるまで(8)

マヤ ちょっと、伊藤さん、ヨウコちゃんはどうなってるんですか?? 私はたまりかねて、閉店後の店で皆が帰ったしんとした店内で伊藤につっかかった。 伊藤 どうって、なんのこと?? 伊藤はまるで、詐欺師がとぼけるときのように高い鷲鼻をつんと上に向けて聞いてくる。 マヤ ヨウコちゃんですよ!なんでああやって、私のお客さんの連絡先を聞いたりして。彼女なにもやり方を知らないんですよ。 たいして仕事も できないく

世界47カ国女子バックパッカーができるまで(14)

知らない国。知らない文化。 2005年6月。イギリスに来て、数週間が立とうとしていた。6月のイギリスの気候は日本よりもずっと肌寒く、常に一枚何かカーディガンを羽織っていなければいけないほど冷たい風が吹くこともある。 私が住んでいたのはロンドン市内から電車で20分程北にある、セントオーバンスという街からさらに15分くらいの住宅街だった。ボランティア教師のトレーニングを、まずはロンドン近くの学校で3カ月

世界旅後手持ち300ドル、家族も友人・恋人、時間もお金もすべて失い失意のまま帰国したバックパッカーが自分の夢を叶えてきた記録(4)

ヨルダンで大どんでん返し ホテルの支配人 これは、君のパスポートだ ホテルの支配人が、ケイシーの赤い日本の表紙のパスポートをこちらに差し出してきました。 ホテルの支配人 君の履歴書も読んだよ。君は旅人なんだってね、君の経歴は旅ばかりだ。ヨルダンも旅の通過点なんだろう?僕たちホテルは、働くなら長い間ここで働く人材を求めているんだ。君もわかるだろう?大切な技術を教えきって、そしてやめられたらこっちの損害

素顔10代な平凡OLが銀座ホステスとして売れっ子になるまで(9)

店を変える 銀座の中にも、いちおう職歴というものはある。 どこそこの店で働いていたとか、夜の仕事を何年やっているのだとか。 ただ、地方都市で夜の仕事の経験があるというだけでは平凡な女性はなかなか雇ってもらえない。それだけ、銀座の店はシビアで間口の狭い独特な空気をもっているのだ。特にどこどこの店で、というのはポイントになる。広いように見えてあちこちでつながっている銀座の店々は、意外とトップ同士でつなが

世界47カ国女子バックパッカーができるまで(15)

友達、の本当の意味を知った~回想1~ 7月のその日は、午後からひっきりなしに小雨が降っていた。 私はいつものように、セントオルバンスのトレーニングセンターで午前中のレッスンを受けてから、ひとりで坂道を下っていた。家に帰るために電車に乗らなくてはならないのだが、セントオルバンスにある2つの電車駅のうち、私が使う電車駅はStAlbans Abbeyという名前で坂道を下りきった、少し中心から遠い場所にある

世界旅後手持ち300ドル、家族も友人・恋人、時間もお金もすべて失い失意のまま帰国したバックパッカーが自分の夢を叶えてきた記録(5)

ゴキブリ部屋でも、住んでやろうじゃないの。 厚生係の小柄な男性、ミスターアップルが連れてきてくれたのはホテルの目の前にある マンションのように見える従業員寮でした。 いつも額に皺を一本残したままのミスターアップルは、右手にじゃらじゃらとしたカギの束を持ちながら重そうな扉を左手でトントンとノックしました。 ミスターアップル 入っていいか? 彼が中に向かってやる気なさげに話しかけると、部屋の中から長い黒

素顔10代な平凡OLが銀座ホステスとして売れっ子になるまで(10)

出会いは思いがけない時にやってくる その夜、私は黒地に大柄な赤いバラの花をあしらった派手なドレスを身に着けていた。 木曜日の夜は週末でもないのに混みあっていて、客は席からあふれてカウンターで待っているような状況だった。 その客は丸顔でフチなし眼鏡をかけ、黒いスーツの前をきちりと着たやや大柄の男性だった。隣に細面の狐目の男を連れて例にもれずカウンターに座って席が空くのを待っていた。 マヤ いらっしゃい

世界47カ国女子バックパッカーができるまで(16)

友達の、本当の意味を知った~回想2~ 坂道をセントオルバンスの街中まで歩き出した私は、一歩一歩を踏みしめながら進んだ。 雨で濡れた石畳はつるつると滑りやすく、気を抜くと道にひっくり返ってしまうくらい危険だった。 一歩一歩を踏みしめながらゆっくりと進むうちに、小雨だったにしろ数歩で私の両肩は濡れそぼってしまった。 頭の中を、自分の言葉が反響していた。 ケイシー ほんとに、イギリスに来てよかったのだろう

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鉄板焼き職人への道 シェフダルウィン 君をずっと待っていたんだよ!もう、僕たちは君は来ないものと思っていた 日本食レストラン、BENIHANAの小奇麗なキッチンでシェフ・ダルウィンは少し茶目っ気をふくめながらそう言いました。小柄で童顔なので、実際の彼の三十二歳という年齢よりも若く見えます。フィリピン人なのですがどちらかというと日本人のような顔だちをしているのでとても親近感がわきました。ケイシーは初日

素顔10代な平凡OLが銀座ホステスとして売れっ子になるまで(11)

接客と内部事情 大島との待ち合わせの店は、銀座八丁目はずれの商業ビルにはいった一軒のこじゃれた居酒屋だった。 そこには狐目の部下、小林も来ていた。 小林を見た瞬間、私の胸によぎったのは困惑だった。 『サキ姉に、知らせなくてよかっただろうか・・・』 いくらママを中心に雰囲気のいい店であるとはいえ、女性同士の付き合いは慎重にならなければいけない。それは、自分自身が前の店、銀花で学んだことだった。 マヤ

世界47カ国女子バックパッカーができるまで(17)

友達の、本当の意味を知った~回想3~ シリルにはすぐにまた、会うことができた。 彼はセントオルバンスを中心にバスを運転している運転手だったからだ。 私は学校の帰りにセントオルバンスの町中心でいつやってくるかもしれない彼のバスを待ち、彼がやってくるとそのバスに乗り込んだ。 夕日の差しこむがらんとした車内で私が運転席の彼の隣で柱につかまり彼に日本語を教え、彼は英語の表現を教えてくれた。 時にはお客がたく

世界旅後手持ち300ドル、家族も友人・恋人、時間もお金もすべて失い失意のまま帰国したバックパッカーが自分の夢を叶えてきた記録(7)

鉄板焼きシェフデビュー! ダルウィン こう、こう、こうだ! 左手の人差し指で上手にコテをひっかけ回しながら右手に持ったナイフを手前の鉄板にガンガンガンと打ちつけて、シェフダルウィンは ダルウィン ヘリコプターだよ! と言いました。 ケイシーもそれに倣って左手の人差し指にコテをひっかけようとするのですが、どうしてもうまくいかずにぽろりとコテは鉄板の上に落ちてしまいます。 ダルウィン さあ、今日の練習は

素顔10代な平凡OLが銀座ホステスとして売れっ子になるまで(12)

虚飾の世界で サキ姉は席につくと、得意の話術でまわりを巻き込む。 彼女の話は、「へえ~」となるような物知り裏話、そして自分の自虐ネタもあったりした。 マヤ お待たせしました 私服からスパンコールをあしらったドレスに身を包むと、私はサキ姉が盛り上げる大島と小林の席についた。 彼らは何かの話題で相当盛り上がっているらしく、わけもわからずに座った私はとりあえず席の端で軽い笑顔になっていた。 正直なところ、

世界47カ国女子バックパッカーができるまで(18)

次の赴任地、バースに決まる。 時は経ち、あっという間に夏は過ぎ去っていた。セントオルバンスも秋の風が吹く9月の終わり。もともと涼しかった吹く風も、さらに刺すような冷たさを感じるようになっていた。 そんな週末に、私は日本人たった一人でボランティア赴任地、イギリス南部のバースという町に派遣されることになった。 約100日間、お世話になったホストファミリーともお別れの日。 でも、恥ずかしがり屋のホストパパ

世界旅後手持ち300ドル、家族も友人・恋人、時間もお金もすべて失い失意のまま帰国したバックパッカーが自分の夢を叶えてきた記録(8)

鉄板焼きシェフとして特訓する ガラン!ガランカラーン!! ケイシー いいったあーい!! ホテル目の前にある従業員寮の屋上で、ケイシーは鉄板焼きパフォーマンスの特訓中です。 なにしろミスターイマドと約束した期限まで、わずかひと月しかありません。ひと月で、ケイシーは一人前のパフォーマンスを身につけなければならないのです。 寮の屋上は砂漠のヨルダンらしく、砂埃と乾燥した土がまき散らされているような場所です

素顔10代な平凡OLが銀座ホステスとして売れっ子になるまで(13)

訪れた転機 2010年の冬、大島と出会ってしばらくたってからのことだった。 そのころには私はある程度、プラネットに来るお客の顔も覚えていて 誰が誰のお客なのか、誰には営業をしてはいけないのか、そういうのもわかるようになっていた。 陽気なママのいる店は心地よく、ただ夜は銀座に通い、中野にある小さなアパートに終電で帰っては次の日の昼過ぎに起きるという生活をだらだらと続けていた。 私には、付き合って3年に

世界47カ国女子バックパッカーができるまで(19)

新しい職場、新しいホストファミリー ロンドンから電車で二時間半。そこは南西のコッツウォルズ地方と呼ばれる場所。 お風呂の語源となった町であり、ローマ時代の大衆浴場の遺跡が残るバースという町に私はボランティア教師として赴任した。 バースは、白い石を積み上げて作ったテラスハウスが並ぶ、とっても美しい町だ。 人々は少しでも太陽が出ると肌寒い中でもタンクトップになり、日光浴を楽しむ。街中とはいえ、パブの中に

世界旅後手持ち300ドル、家族も友人・恋人、時間もお金もすべて失い失意のまま帰国したバックパッカーが自分の夢を叶えてきた記録(9)

新しいシェフ、ラミエロ。 それはケイシーがBENIHANAの見習いシェフとして就任しちょうど二週間経ったころのことでした。 「ねえ、メリッサ。今日から新しいシェフが入ってくるんだよね?」 「ええ、そう聞いてるわよ。誰がいつどんなタイミングで来るかなんて私はあまり関心ないけどね」 いつも通り、飄々とした雰囲気で従業員食堂のテーブルに腰かけ、社食のクリームパスタを頬ばるメリッサを前にしてケイシーはふふっ

素顔10代な平凡OLが銀座ホステスとして売れっ子になるまで(14)

泣いても笑っても 泣いても笑っても月曜日はきて、そこにはいつもと変わらない日常があった。 ただ、唯一いつもと違っていたのは私の内側だった。 泣き腫らした目をしたままそれを厚化粧で覆い隠し、私は夜の銀座に出勤した。 心の中に、大きな闇がトルネードを巻いているような気持ちだった。昨日から、何も喉を通らない。 食べたい、という気持ちはあるのにも関わらず何かを口にすれば戻してしまう。 ひどくみじめな気持ちだ

世界47カ国女子バックパッカーができるまで(20)

夢のような田舎生活 南イングランドといえども、冬がやってくるのは早かった。 あっという間にHaysfield女子校に来て2か月が経った。私はその間休日はホストファミリーと過ごし、残りはほとんどを学校で過ごした。 朝はまだ暗い、6時に起きて歯を磨く。築300年の石造りの三階屋根裏部屋にある私の部屋は、特に冷える。そろそろとひんやりとした床に裸足の足を下ろし、部屋の小さな小窓を開けるとそこには朝霧がとろ

世界旅後手持ち300ドル、家族も友人・恋人、時間もお金もすべて失い失意のまま帰国したバックパッカーが自分の夢を叶えてきた記録(10)

パティスリーに、サラダ場に。 「よう!ケイシー元気かい?」 「今日も楽しんでるかい!」 従業員用出入り口を通って廊下を歩き、ランドリーのおばちゃんに挨拶をしてからBENIHANAに向かうまでに、お菓子をつくる部屋・パティスリーや冷製皿を担当するサラダ場を通ります。そこにいる人々は皆、ケイシーに向かって陽気な挨拶をしてくれるようになっていました。 それというのもBENIHANAには大きな冷蔵庫がないの

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夢が崩れてゆく。 「よくここまで頑張ったね!次はシェフのフードチェックだ」 最後に左手で放った胡椒入れを巧みに頭にかぶっている帽子の中にストンと受け止めると、ダルウィンが笑顔で言いました。 あっという間に時は経ち、BENIHANAに来てからひと月が経つころのことでした。 毎日のカトリーンとの屋上特訓の成果もあって、ケイシーは両腕にアザをたくさん作りながらもヘラをプロペラのように回せるようになっていま

世界旅後手持ち300ドル、家族も友人・恋人、時間もお金もすべて失い失意のまま帰国したバックパッカーが自分の夢を叶えてきた記録(12)

最初から決まっていた? コーポレートオフィスの扉を開けると、ミスターイマドの席がガラス越しに見えました。ところがその席は空席で、誰も座っていません。 「あの・・ミスターイマドは?」 オフィスに隣接した秘書席に座っている、ふくよかな女性秘書に聞くと 「食事中よ。今に、帰ってくると思うわ」 彼女は不愛想にそう答えてまたガサガサと手元の書類をまとめ始めました。 「やあ、ケイシー来ていたのかい」 しばらくし

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告白 「ケイシー!どうしたんだ、こんなギリギリの時間に来て!今日は寿司ナイトだから皆すでに準備にかかってるんだぜ!普段は誰よりも早く来る君らしくない!」 BENIHANAのキッチンの扉を開けたとたんにメッシの怒りの声が飛んできました。 作業台の上には大量の巻き寿司が巻かれ、奥のコンロ前ではラミエロが卵焼きを作る様子が見えます。ダルウィンやサービスの女の子達の姿は見えませんが、おそらく表のレストランの

世界旅後手持ち300ドル、家族も友人・恋人、時間もお金もすべて失い失意のまま帰国したバックパッカーが自分の夢を叶えてきた記録(14)

君は、何か隠してないか? 「君は、何か隠しているんじゃないか?」 休み明け木曜日のBENIHANAキッチンで、シェフメッシが出勤してきたケイシーに向かって真剣な表情で聞いてきました。 「寿司ナイトの後でキッチンの奴らにきいても、シェフジェマールの片腕イマドに聞いても、みんなどこか何かつながらない。君はBENIHANAでうまくやっていた。僕らはすべてを君に教えたし君も仕事を一生懸命覚えたし、結果も悪く

世界旅後手持ち300ドル、家族も友人・恋人、時間もお金もすべて失い失意のまま帰国したバックパッカーが自分の夢を叶えてきた記録(15)

就職試験 ホテルエルサイードは三ツ星ホテルで、ル・メリディエンから徒歩二十分ほど離れた場所にありました。 BENIHANAが休みの水曜日。夏の暑い日差しの下、ケイシーは黒いストールを頭に被りながらイスラームの女性のような恰好で歩き出します。 ヨルダンの首都アンマンは乾燥した砂漠の気候さながらの強い日差しに包まれていました。 エルサイードの正面玄関は、メリディエンに比べると大分小さくて日本のビジネスホ

世界旅後手持ち300ドル、家族も友人・恋人、時間もお金もすべて失い失意のまま帰国したバックパッカーが自分の夢を叶えてきた記録(16)

アラブの世界の嫉妬 予想通り、残された時間があまり無いにも関わらずジェマールからは何の連絡もありませんでした。 「シェフ、お話しがあるのですが」 ケイシーがシェフジェマールを、彼のオフィスの前で偶然捕まえることができたのは単なる偶然でしかありませんでした。 「ああ、ケイシー。」 シェフはそういえば、というような表情をしました。 「君のことは支配人に聞いておくよ。あと少し待ちたまえ」 急いでいるのかそ

世界旅後手持ち300ドル、家族も友人・恋人、時間もお金もすべて失い失意のまま帰国したバックパッカーが自分の夢を叶えてきた記録(17)

涙が止まらない。日本に帰らなきゃ。 「私、なんでこうなってしまったのかわからない」 泣きじゃくるケイシーの隣で煙をふかしながら、アラウィは静かに言いました。 「・・君は、悪くない。でもね、今の君にとって一番いいのは、自分の国に帰るべきなんだと思う」 ダウンタウンの一角、ビルの三階にある薄暗いプレイステーションカフェの中では大きな液晶画面にかじりつきながらサッカーゲームを必死にしている友達の叫び声が聞

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Cathy Kei
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世界旅後手持ち300ドル、家族も友人・恋人、時間もお金もすべて失い失意のまま帰国したバックパッカーが自分の夢を叶えてきた記録(5)

ゴキブリ部屋でも、住んでやろうじゃないの。 厚生係の小柄な男性、ミスターアップルが連れてきてくれたのはホテルの目の前にある マンションのように見える従業員寮でした。 いつも額に皺を一本残したままのミスターアップルは、右手にじゃらじゃらとしたカギの束を持ちながら重そうな扉を左手でトントンとノックしました。 ミスターアップル 入っていいか? 彼が中に向かってやる気なさげに話しかけると、部屋の中から長い黒
MI KU
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メンタルコントロールによって12kg痩せた記録 【part1】

女友達に体型維持に関して質問されたので、10年間に渡る、自分のダイエット史を振り返ってみた。 私は元々太りやすい体質で、12歳のころから22歳まで毎日体重に関して思い悩み、朝夕欠かさず2回必ず体重計に乗っては100g単位で一喜一憂する日々を送っていた。   特に顔とお腹に肉が付きやすい体質のため、0.5kgでも太ると、目立ってしまうからタチが悪い。意志力が抜群に弱い上に、欲望に忠実な私はどんなダイエ
Yoshida Maiko
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フツーの女子大生だった私の転落の始まりと波乱に満ちた半生の記録 第13話

心の悲鳴 《これまでのあらすじ》初めて読む方へ 大学生の桃子はショーパブでバイトをしている。それまでの自分を捨てて、そこに居場所を見つけようとする。必死で接客を磨き、ついに店のベスト10に入ることができた桃子だったが、大学では桃子に悪い噂が立ち始めていた。そんな中でミホという桃子とは真逆にタイプのホステスとの仲が深まっていた。 ミホの男性遍歴は ひと言でいえば 凄かった。 よく言えば 恋多き女 悪く

書きかけのストーリー

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