黒い下着のストーリーや、元カレたちとの同棲失敗劇。かつて、女の赤裸々な実情をストーリーとして繰り広げ、STORYS.JPの話題をかっさらった女性ボクサーがいたことをご存知だろうか。万人には信じがたいような破天荒な生き方。今日はそんな彼女にインタビューしてみた。あの記事を境に、ライターの仕事を手に入れた彼女。読む人の心を掴んだあの記事を、どんなテクニックで書き上げたのか。また、ライターの仕事に加え、もう1つ、彼女にとってある嬉しいことが起こったそうだ。一体何が起こったのか。謎多き美人ボクサー、その素顔に迫る。

まず、普段どんな事をされているのか伺ってみた。

プランナーであり、ボクサーであり、ライターになり。

「2年前からフリーランスで、プランナーの仕事をしています。スマホアプリやwebサービスの企画です。在宅なのでかなり自由です。自由を持て余しているので週5ぺースでボクシングジムに通っていて、先日アマチュアライセンスを取得しました。ですので肩書はボクサーにしています。STORYS.JPさんに投稿して以来、大変ありがたいことに複数のwebメディアから『うちのサイトで記事書いて』というお話を頂いて、少しだけライター業をはじめたところです。」( mamitaさん )

mamitaさんが投稿したストーリー、中でも有名なのがこの【10年間で4回半同棲に失敗したシリーズ】ゴミ屋敷男潔癖性の男チャラ男など、mamitaさんが以前交際していた男性との同棲の日々が赤裸々に綴られている。これが反響を呼び、webメディア編集者の目にとまって声がかかった。

この投稿がキッカケで記事の掲載につながったメディアは以下の通り。


こちらが、mamitaさんの書いたGWニュースの記事
女の知らない男の性(サガ)「賢者モード」の正体!【前編】
※ 性にまつわる男の性を女性目線から書き上げた。男の私がいうのもなんだが、男心がよく分かる記事で、女性にはとてもためになるはず。男は、何とも言えない気持ちになると思うが、男女どちらにもおすすめしたい。内容は...さすがmamitaさん、といったところ。


彼女のことを、はじめから割と有名なブロガーだったんじゃないかと思う人もいるかもしれないが、そんなことはない。むしろ、ブログは書いていないとのこと。 ではどうして、STORYS.JPで書いたのか。そこには、理由があるという。

ブログは書きづらくて、馴染めませんでした

 「ずっと書くことが好きでした。2000年頃、テキストサイトが台頭していた時期にタグ打ちをして個人サイトを作り、日記を書いていました。その後はmixiに日記を書くようになり、Facebookへ移行しましたが、流れていくタイムラインや、あまり長文が書けないことに不満を感じていました。ブログは『誰に向けて』『何を書けばいいのか』わからず、書きづらくて、馴染めませんでした。STORYS.JPは、ブログと違って『ここで遊んでね』『ここにこう書くでしょ』っていうのが用意されてる。」( mamitaさん )

ブログは、何を書くのかを自分で決めなくてはならない、とmamitaさん。 その自由すぎる使い方に、かえって不自由さを感じたそうだ。また、ブログと違ってあらかじめ読者がいるのも良かったのだとか。

「仮にSTORYS.JPで話題になったものと同じ記事を自分のブログに掲載しても、たぶん誰も見てくれなかったと思います。 STORYS.JPはブログと違って、0から積み上げる必要がありませんでした。すでにそこにストーリーを読みたい人たちがいたので。」( mamitaさん )

そんな理由から、STORYS.JPにストーリーを投稿し、話題を呼び、ボクサーからライターへとジョブチェンジした彼女。実はもう1つ、とても嬉しい事が起こったそうだ。

針をさしてプシュー!っと血抜きした感じでしょうか。スッキリしました!

「おそらくSTORYS.JPに書いてしまうまで、私は秘密主義な性質で、とっつきづらい人間だったと思います。自分の人生そのものがコンプレックスだったところもあります。『なんでこんな変な生き方をしてるんだ。真っ当で平和で穏やかに生きたいのに』と。ぜんぜんちゃんとできないんです。」( mamitaさん )

話題を呼んだ同棲のストーリーは、彼女にとって実は辛い過去だったらしい。飲みの席であっても、仲のいい友達であっても、言えないこと。でも、それを言わないことは、どこか”自分を構成している大きな部分”を伝えていない後ろめたさがあった。このままでは、深い友人関係もつくれないのではと思った、だから言いたかった、そうmamitaさんは教えてくれた。

そんな風にして、思い切って書き綴ったストーリーがあの同棲のストーリー。書いた後、思いも寄らぬ変化がおこった。

「自分がダメでバカでどうしようもないことを、おおっぴらに正々堂々とネタにしてしまうと、楽しくなってきました。開き直ることは大切ですね。友人からは『明るくなった』とよく言われます。自分の内側だけで溜め込んで内出血していた部分に、針をさしてプシュー!っと血抜きした感じでしょうか。スッキリしました。」( mamitaさん )

かねてからの知り合い、中学の同級生や、会社の同僚などから「mamitaさんってこんな人だったんですね〜!!w」と声をかけられ、仲が良くなったそうだ。(これを聞いて、私はとても嬉しかった。)でも、面と向かって言えないことを、どうして大勢の人が見るネットで言えたのだろうか?

家でゴロゴロしながら読みものとして触れてもらえる、そんな距離感だから言えた

fbに直に書くよりも、ワンクッション、他のSNSを連携してるってのが丁度よかった気がします。私は人と会話することやコミュニケーションを取ることが苦手です。飲み会で過去の同棲話なんかしたら絶対空気が凍る(笑)。それに文章だと客観的に読み返して、何度も書き直すことができます。笑いとして表現することで、辛かったことも自分の心のなかで『笑いに書き直して』していきました。『笑いの読み物』として家でゴロゴロしながら受け取ってもらう、そんな距離感だとうまく言えるんです。」( mamitaさん )

ネットを介したからこそ、今まで言えなかった本音が伝えられ、心はスッキリ。人間関係がよくなり、ライターにもなれた。 でも、そもそもどうやって、人を惹き付ける記事を書けたのか。何か気をつけた点はあるのだろうか。mamitaさんにきいてみた。

「人は読まない」という体で書いています

「基本的に長い文章は、電車の中で読んでたりとか寝ながら読んでたりとか、ネットサーフィンをしてる内にたどり着いた100万の中の1つと考えています。私もニュースサイトを見ますが、最後まで記事を読むことは稀です。ざっと流し読みをしてピンときたものだけ。」( mamitaさん )

自分が流し読みをするように、他の人の流し読みをするのが普通と考え、流し読みでも読まれる工夫を凝らしたそうだ。

● タイトルのつけかた
「かなり気をつけています。タイトルをつけるときは『ホッテントリーメーカー』というサービスを使っています。」
※ ホッテントリメーカーとは、キーワードを打つと、そのキーワードを使った注目されそうなタイトルを自動で生成してくれるサービスのこと。

● 文字数について
「文字数にも気をつけています。文字数カウントは必ずします。書いているうちにどうしても長文になってしまうので、1000文字を超える時は、視覚的なページの印象を重視します。
”視覚的に”というのは、

  • 箇条書きをはさむ
  • 各ブロックの内容がパッとわかる小見出しをつける
  • アイキャッチ画像

このあたりです。」

● 表現について
「表現については『だれも不幸にしない』ことを目標にしています。元カレのことを書いているのですが、最悪元カレ本人に見つかって読まれても苦笑いしてもらえるような、明るい表現を心がけています。」

●意識について
読み手の目を常に意識しながらも、自分の伝えたいことを伝えるようにしています。」

他にも、表現を豊かにするために、類義語辞典で別の言い回しを調べることもあるそうだ。

”伝えたいから書くのに、読まれない体で書く、だから工夫を凝らす”。彼女の現実的な姿勢に、彼女が書く記事の魅力の、根源があるように思った。

最後に、まだストーリーを書いたことがない方へ一言お願いした。

「自分の持っていることを最大限に表現する」と、絶対に良いことがあります。

「発信することの力を感じています。何も言わず黙っている人は、何をしている人間かわからない。『自分の持っていることを最大限に表現すること』は自分の内側を掘り返す作業です。心から血を流すように苦しい。そしてそれをインターネット上にアップロードするのはかなりの勇気がいるかと思います。 その代わりに、絶対に良いことがあります。」( mamitaさん )

ー喋って伝えられない代わりに、文字に自分を映して生きてきた彼女。 ストーリーを通して、伝えられなかった自分の真ん中を伝えた。それが実を結び、好きだった書くことを仕事に。人間関係も良くなった。

「おおげさじゃなくて、人生が変わったと思います。」

インタビューした時の彼女は、とても晴れやかだった。