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よく電車へ飛び込み自殺をすると、何十億もの賠償金が請求されるという話を聞くけれど、結論からいってしまえば、それは都市伝説だと思う。というのも、僕自身、1円も請求されなかったからだ。しかも、地下鉄メトロが「加害者」、事故を引き起こした僕自身が「被害者」として保険の適応まで認可されたのだ。


なぜこんな温情(?)措置がとられたのか。理由は定かではないが、推測するに電車の人身事故というものは、「法律上の損害賠償権が成立しない、あるいは成立しづらいから」ではないかと思う。しかし、これはあくまで都合のいい憶測でしかない。だから、真相はよく分からないままだ。が、事実としていえるのは、今回の事故で僕は地下鉄メトロ千代田線を遅延させた。が、賠償金は一切請求されなかったということだ。


しかしもし賠償金を請求されていたとしたら、その金額はいくらになったのだろう。まず必要なのは、乗車客の代行輸送料だ。人数にもよるが、乗客全員に支払うわけだから、かなりの金額になるだろう。それから傷つけた車輌の修理費も必要だ。そして、事故の収拾にあたった社員の人件費。その他には何があるだろう。想像もつかないが、億単位の賠償金が請求されたとても、決して不思議ではない。


でも、実際はどうなのだろう。地下鉄メトロからは請求されなかったけれど、他の鉄道会社の事情はどうなっているのか。ためしにJR東日本に話を聞いてみることにした。しかし答えは「そのような情報は一切公開しておりません」というなんとも素っ気ないものだった。ちなみに、東急電鉄、西武鉄道、東武鉄道もほぼ同様の答えだった。だから賠償金に関する真相は結局、謎のままだ。が、繰り返しになるが、「地下鉄メトロは電車遅延に対して損害賠償を請求しなかった」。これだけは事実だといえる。


そして入院費(というか手術費)だが、約一ヶ月の入院(その間は時間ほぼ途切れることなしに、安定剤、鎮痛剤、その他もろもろの点滴を受け、後遺症の診察やリハビリも行った。そして、事故当日は救命手術、その後はセラミックカーボン製の人工頭蓋骨を装着する大手術を行った)で、どれくらいの金額が必要だったのか。


これは率直に具体的な数字を書いてしまおう。手術費は245万円だった。


普通、癌の治療にかかる費用が100万円前後だから、自分でいうのもおかしいが、かなりの大事故だったのだと思う。245万円の請求書をもらったときは、はっきりいって度肝を抜かれた。まず第一に、こんなに払えない! もちろん保険にも入ってないし、どうしたらいいんだろう。借金でもしようか...。


が、この話にはつづきがある。まず、病院へ高額すぎて払えないことを伝えた。すると、事務局はいかにも手慣れたふうに、支払い方法を説明してくる。きっと、入院費用を払えない人は僕の他にも多くいるのだろう。


そして勧められたのが「限度額適応認定」だ。この制度は会社員なら加入している保険組合から、その他の人なら誰でも国から援助を受けられるというもので、最高でも月額最大8万7430円を支払えばいいという、神の恩寵のような制度だった。


だから結局僕が支払ったのは約10万円だけだ(入院期間が一ヶ月を越えたので、8万円を少しオーバーして、この金額になった)。


よくお金がないから入院できないとか手術ができないという話を聞くけれど、どんなに大手術をしたとしても、月に最大8万円ですむのだ。だから、費用が払えないからといって入院を恐れている人がいたら、ぜひ早く病院へ行ってください、といいたい。


大きなお世話かもしれないけれど、病気の発見が遅れて、手おくれになるくらいなら、早く検査を受けたほうがいい。

【その4へつづく】

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今回は月を跨いだのでで済んだから高額医療費が適用されたのかもしれませんが、本来短期間での入院になると高額医療費適用外です。

天川 智也

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天川 智也

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天川 智也

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