貴女に出逢えた奇跡(*)

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エピローグ

貴女からの別れを受け入れてから、感情は沈み、体調も崩し、体重も激減した

ただでさえ細い身体から「これ以上どこから無くなるのか?」と自問自答するくらい、限られていた肉すらそぎ落とされていった

精神的に塞ぎ込み、誰にも理解しえない深い悲しみを纏ったまま、仕事をこなすだけ


朝起きるたびに、激しい喪失感に襲われたり

日中仕事をしていても、達成感や使命感なんて全くなかったり

夜な夜な、失恋に関するネット記事を読み漁ったり

別れに対する心理学的な説明とかに救いを求めたり

一度だけ経験した復縁みたいに、今回だって同じだからと考えたり

そのあとの別れはどうやって乗り越えたのかを考えたり

この苦しみから逃れるには、もう死ぬしかないとか考えたり


ただ、唯一効いたのは、音楽

12年前の時は男性デュオ、5年前はある男性シンガーの曲をひたすら聞き流していた


男性デュオのそれは、失恋に関する曲、別れを後悔する曲、別れを受け入れる曲、別れを受け入れられない曲、前を向いて歩いていく曲

男性シンガーのそれは、失ったことへの後悔と切なさと苦しさを綴った曲

そして今回は、新たに別の男性シンガーの曲も聞き始めた


今回の失恋を経て、歌詞が、言葉が、傷ついた心に容赦なく突き刺さった

曲を聴いているだけで、後悔や自責の念が、乾いた心に容赦なく響いた

これまでの失恋とは違う

全く別物で、別の次元の事象なのだと


時計の針とカレンダーの日付は、自分の感情などお構いなしに容赦なく進んでいく

顔を上げて、前を向いて、一歩ずつでもいいから歩こう

そう思っても、ふと、貴女が住む街の二文字を見るだけで心が締め付けられた


悲しみや切なさを受け入れて乗り越えようとする自分

受け入れたくなくて、万が一の可能性を探っている自分

もうこの世界に絶望して、すべてがどうでもよくなっている自分 


相反する心たちが、意思が、一つの心の中に存在することがつらかった


彼氏と彼女としての想い出は、皆無だ

正式に付き合った期間が期間だけに、当然と言えば当然なのだが

「告白」と「別れ」だけが、彼氏彼女としての想い出だなんて、皮肉すぎる


それでも、自分の人生で、間違いなく最大の失恋だった

貴女との恋愛で学んだこと、貴女から受け取ったことが、あまりにも大きかった


毎日毎日、貴女から告げられた別れの言葉の意味を、言葉の裏側を考えてしまう

そんなこと、考えたくないのに

考えないということは、考えると一緒だとわかっていても、Sさんのことを考えてしまう


あの時、自分がとった行動は正しかったのか

あの時、自分が言った言葉は正しかったのか

あの時、自分の判断は全てが正しかったのか


ふと、なんていうレベルじゃない程思い出しては、心が悲鳴をあげる


毎日、車に乗るたびに感じるのは、貴女への想い、愛おしさ、将来の事

それらは、あの日から行き場を失って、車の助手席と運転席のフロアマットに沈んだまま


貴女の笑顔、優しさ、仕草、心の温もり、少しだけ冷たい手

もう取り戻せない、もう過去のこと


振り返っても、戻れない

貴女は、自分の手の届かないところへ

貴女の心は、元々あるべき場所へ戻っただけ


自分は、貴女を引き留めることなく、貴女の背中をそっと押したのだ


この失恋もいつかきっと、思い出になる

貴女の事を、もっと恨んだり憎んだりもできたかもしれないけれど

そんなことしても、過去は何も産み出さない

貴女が隣にいない今も未来も、何も産み出さない


貴女は、自分にとって運命の人だった

貴女にとって、自分がそうではなかっただけ

それでも、運命の人と思える人に出逢えた事は奇跡だから

運命の人を失うという経験なんて、この先もう二度とできるものではない

貴女と同じ道を一緒に歩けなかったのは、この先、まだ出逢うべき人がいるということ


貴女に出逢えた奇跡は、感謝でしか綴れない

貴女に出逢えた奇跡は、自分の人生に必要なことだった

短いながらも、運命の糸を紡げたことに意味がある

そう信じて、一日一日を大切に過ごそう


今、少しずつではあるけれど

遠く、貴女がいる街の方角の空を見上げて

貴女の幸せを祈れるくらいにはなったんだよ?


後悔していないわけじゃない

貴女の不安や苦しみを、心の底から理解できなかったこと

貴女が悩んで、苦しんで、この選択をしたであろうということ

貴女の心の苦しみや辛さを、僕は受け入れると決めたのです


貴女が大好きな人と幸せになれますように


嘘じゃないから、ね


人を好きになる事の素晴らしさと

相手を思い遣る気持ちと

好きな人と一緒にいる緊張感と

好きな人を守りたいという気持ちをもたらしてくれた貴女へ!

貴女と同じ気持ちを重ねて、貴女と同じ時間を共有できた事、全てが大切な宝物です!


僕が、これまでにないほど、心から好きになった貴女へ!

大切な想いを、素晴らしい四か月を、ありがとう!

大好きでした!




一人の人と想い逢うこと、手をつなぐこと、気持ちを重ねること


幸せを得ることは至福だが、失恋はその次に幸せだとか、そう簡単に思えない


恋と失恋


辿り着く先は必ずしも幸せとは限らない


人は恋に欺かれ、恋に傷つく


恋をすることでかけがえの無いものを手にして、失恋することでかけがえの無いものを失う


恋も失恋も、同じものは一つとない


失恋は、新しい恋の始まりだなんて、誰が言ったか知らないけど


それでも、きっと僕はまた誰かに恋をするだろう


**


補足)本来は、この物語の始まりから全て公開しておりましたが、冒頭を除き、全て削除しました。結果から自分が感じたことだけ、自分の心情と真情だけを公開しておきます。この(*)、一連の物語と並行させて、物語の「終わり」として書いておきました。ここから下は、その時の感情と感想を綴ったものです。

 

***

   

長々とお付き合いいただき、本当にありがとうございました 

僕と大切な人との、出逢いから別れまでの四か月のお話は、これで終わりです


当時のことを鮮明に覚えているうちに書き残したいと思い、別れを受け入れた日から時間を置かずに、細々と書きました

頭では分かっていても、心が受け入れていない、という事も痛いほど感じた日々でした

私情や感情に任せて書いた部分がほとんどで、何か一つ一つの想い出を整理しているような感覚でした

大切な人と過ごした時を文章化していく中で、それは全てもう過去の事実だという事を感じずにはいられませんでした

それと同時に、今がどんなにつらくても時は待ってくれない、立ち止まってはならないという事実を噛み締め続けた日々でもありました

裏を返せば、自分は過去の幻影に捉われたままじゃない、立ち上がって前を向いて歩き出した…つもりでした


実際は、あの日から何も変わっていなくて、ずっと立ち止まったままでした

それでも、やっとの思いで少しずつ歩き出しても…何度も立ち止まっては振り返り…

誰もいない事を嫌でも再認識せざるを得ませんでした

そんなことを繰り返しながらも、歩き出す度に、心が軽くなっていくのがわかりました

望まない事であったとしても、心が痛まなくなっていることを、心が感じていました

いつまでも、自分の心とこれからに暗い影を落としていてはダメなのだと感じました


あの日からの、自分の前進と成長、心の葛藤と心の悲痛な叫びを、感じ続けた日々でした

今回の恋愛と失恋を、自分の心の中に「経験」として積み重ねることができる日が、きっと来るだろう、絶対に来るだろうと思っています



読みにくい部分もあったと思いますが、フラれた男への同情だと思い、ご容赦いただければ幸いです


あれから…貴女を超える理想の人とは、出会えてません


貴女は、ずーっと僕の心と頭の中にいた元カノを追い出して、その場所に大きな存在として住み着いてしまいました

作中にも書きましたが、人(自分)の心は、呆れを通り越して感心します


僕が心から愛した貴女へ

逃した魚は大きいですよ?


追記)9/27

           貴女を攫っていった初夏の風

   夏も終わりを告げ、人肌が恋しくなる初秋の風

   季節は変わりゆくのに、いまだ自分は立ち止まったまま


   この先、どんなことがあっても、誰かと一緒になっても

   貴女と再会するようなことがあっても、無いとしても

   胸を張って「今、幸せだよ」って言えるような人生を送りたいと思います


追記2)10/20

   赤く色づいた葉も地面に向かって舞い始めた秋

   自分の心に、一筋の光が差し込んできました


追記3)11/11

   暗闇が包む時間が早くなって、雨も冷気に晒され雪になろうかという晩秋

   見出したはずの光は、急に弱くなってしまいました


読んでよかった
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鈴木 雄太

忘れられないこと。貴女に出逢えた奇跡。 時々立ち止まっても、振り向いても、戻れない。 過去は変えられないし、何も産み出さない。 自分だけが、今と自分を変えられる。

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