■小学生時代にDJに憧れた男が一つのラジオ番組の終焉に語る想い①小学生編

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ラジオの話

ラジオ。日本の昭和史を語る上で欠かすことのできないメディアであり力道山の街頭TVが出てくるまではメディアの主役だった存在。そんなラジオに僕は魅了され、人生に影響を受け、今もまたハマり続けている。そして今回・・・・・


◇僕の生い立ちとラジオとの出会い◇

神奈川県藤沢市で4人兄弟の長男として生まれ育った僕は昼はよく遊び、週末は少年野球に没頭するそんな小学生だった。幼稚園時代から始めたエレクトーンも途中で辞めてただひたすら遊びに遊ぶ人生で最も自由で可能性に満ち溢れクリエイティブ魂が磨かれる時期だ。


1ヶ月~2ヶ月に1度、僕たち兄弟は5つ駅が離れた母方のおじいちゃん家に遊びに行くのが恒例だった。「髪の毛を切りに行く」というのが口実だったが僕たち兄弟としてはおじいちゃん・おばあちゃんに会うことができ、そこでもらえるお小遣いがとても貴重だったのだ。おじいちゃん・おばあちゃんは、お小遣い以外にも山梨のブドウや桃、その他いろいろな物をくれた。


親となり自分たちの子供と触れあう両親の姿をみると今はよくわかるが世代を違わず孫は可愛いということなのだ。そんな中で僕がおじいちゃんから小学4年生の頃にもらったのが冒頭に貼ったような災害用の防水ラジオだった。

おじいちゃん
祐介これをやろう
おじいちゃん、なにこれ?
おじいちゃん
ラジオだよ。これで色んなものが聴けるよ
へー面白そう!ありがとう聴いてみる!!


先端にライトをつけることができてラジオのチューニングや音量はつまみになっているタイプのやつ。これが僕のツボにおおいにハマった。


初めて聞くAMラジオ。1134文化放送、1242ニッポン放送ワクワクドキドキが止まらない。初めて触れる音だけの世界。想像力を掻き立てられるトーク。曲紹介とマニアックな世界。TVとは違う自分とパーソナリティだけの秘密を共有するような世界観に激しく痺れた。防水なのでお風呂に入りながら聴けるラジオ。子供部屋で一人勉強しながら楽しめるラジオ。寝ながら聴けるラジオ。

正確には子供部屋には当時2歳離れた妹も一緒にいたので

ラジオ聴いてんじゃねー。うるせー
うるせー。これが俺の青春じゃボケェ!


とよく怒鳴られたものだが。。


電波が悪ければアンテナを伸ばし部屋の中で受信状況の良い場所を探しながらチューニングして自分の好きな局、好きな番組を探す日々。


◇小学生時代に好んで聴いていた番組たち◇

当時僕が好んで聴いていた番組は下記だ。


・Vジャンプ海賊ステーション

・鶴光の噂のゴールデンアワー

・裕司と雅子のガバッといただき!!ベスト30

・伊集院光のOh!でかナイト


「Vジャンプ海賊ステーション」では後日クドカンのドラマで大暴れしまくる若き日の古田新太と後に「みどりのマキバオー」や「ポケモンのニャース」の声で一世を風靡する犬山犬子のくだらないやり取りに酔いしれた。ビーチクロンゲンロールとかテラ懐かしい。


笑福亭鶴光師匠の「噂のゴールデンアワー」は夕方にやっている主婦向けの番組だったがオールナイトニッポンで下ネタの帝王として君臨した後の鶴光師匠のギリギリセーフ(?)の下ネタトークで主婦をいじり倒し、お美和子様がその暴れ馬をたしなめるというやり取りに大人の世界を垣間見た。

※深夜ラジオの初代帝王鶴光師匠とお美和子様。「ええかぁーええのんかぁー」を昼間から展開。


日曜に放送していた三宅裕司メインのカウントダウン形式のヒットチャート紹介番組「ガバッといただき!!ベスト30」は、当時流行っていた広瀬香美の曲を始め多くのJポップと触れ合うきっかけとなった。小学5年生で誕生日にCDラジカセを買うとこの番組の曲が流れるごとに録音ボタンを押し自分ならではの最新ヒットチャートカセットを作ったりしたものだった。


◇僕の人生に大きな影響を与えたOh!でかナイト◇

伊集院光の「Oh!でかナイト」に関しては小学校高学年になった僕に一番影響を与えた番組だ。今でこそAMラジオの帝王として君臨している伊集院光だが当時夜10時から放送していたこの番組での伊集院光はとにかく面白かった。引き込まれるフリートーク・ゲームの話・マニアックな妄想トーク・・・どれも最高に面白い至福の時を感じさせるものだった。


例えばよく覚えているのが当時Jリーグブーム真っ只中で、てっぺん禿のアルシンドヘアーが話題になっていたのだが、伊集院光の番組企画で「いかにくだらないことを安い金額で請け負えるか」というチキンレースの様な企画があったのだが、番組のリスナーを一堂に集めてこのアルシンドヘアーを最低何円もらえばやれるかといってセリをさせるのだ。当時の勇者(馬鹿リスナー)はこれを500円で落札し見事にアルシンドヘアーにされていたと記憶している。




※当時一世風靡したアルシンドヘアー。友達ならあたりまえ~♪


後日談だがこのラジオの企画を小学校の卒業文集でやろうと当時文集委員だった僕は自ら提案して、我が6年1組の卒業文集の企画の一つに「アルシンドヘアーにするなら幾らもらう?」という質問がクラス皆になされたのだが、企画意図がしっかりと伝わっておらず、いかに安くやれるかというのが面白さだったはずが、逆に一番高い金額を付けた人から順のベスト3が文集に載るという事態となってしまった。卒業文集には「1兆・やらん・2億」というベスト3が掲載された(泣)


他にも伊集院光のOh!でかナイトの間のコーナーとしてデーモン閣下と筋肉少女帯の大槻ケンジのラジオ巌流島も印象深い。ここでデーモン閣下の声をよく聞いていたからなのかどうか、僕は大学1年生当時の英語サークル夏合宿でデーモン閣下の物真似をして顔を白塗りにすることになるのであった・・・


※最近復活したデーモン×大ケンのラジオ巌流島


全裸マンも強烈だった。"荒川ラップブラザーズ"など伊集院光のコーナーから生まれたユニットやCDなども発売されたのだが、accessの浅倉大介が協力し楽曲を作り、絵もキン肉マンのゆでたまご先生に描いてもらったこのラジオドラマ(内容はど下ネタだけど)は下ネタどストライクの小学生にはたまらないものがありよくクラスの片隅で同じラジオ友達の沼と「全裸マンのテーマ」を歌ったものだ。


※丸裸三郎は改造人間である。人造ペ〇スが限界を超えると全裸マンに変身するのだ!


◇いざ自分たちのラジオ番組作りへ◇

そんな僕らの次の展開として自分たちでラジオ番組を作るというのは当然の展開だった。メンバーは3人。生粋のラジオおたくと進化していた僕とセーラームーンが大好きで声優系のラジオを愛聴していた。そして僕と沼と仲の良かったFさん(後日東大へと進む秀才である)という構成で話が進んだ。

自分たちでラジオ作りたいね
いいねぇ。俺の持ってるラジカセボタン押せば周辺の音、全部録音できるからそれで作れるよ!
マジでか?!ほんならやってみようよ
Fさん
何それ面白そうじゃん。俺も混ぜて


というわけで大いに盛り上がり土日に集まってテープに自分たちの番組を吹き込むこととなった。


放送局の名前は「?放送(なぞほうそう)。」ダイヤルは1億~みたいな滅茶苦茶な周波数。番組は2タイトル。伊集院下こと僕の「なんでもやらないし!」と山本優こと沼の「アニメ・ゲーム」番組。Fさんにはゲストという事で毎回登場していただいていた。


くだらないフリートークやコーナーもそれなりに用意し(昔の名曲を聴こう!というコーナーで聖闘士星也のペガサス幻想ドラゴンボールの亀仙人のテーマを流したりした)CMもちゃんとラジオで録ったものを間に挟んだりしてちゃんとラジオ番組っぽく凝って作ったものだった。


沼に至ってはストⅡのマル秘コマンドなどの情報をリサーチしていてその情報を独自のアニメ声のマシンガントークで一生懸命吹き込んでいてビビったものだった。今思うと非常に痛い小学生だったのだが当時は大真面目で本当に楽しく収録をしていた。


一時期、沼が周辺何百メートルに放送が可能な機械を持ち込んできて


何それ?沼
これで周辺数百メートルにラジオ番組を発信できるんだ!
マジでそれっていいの?
いやまぁほらオレタチノ番組流したいじゃん
ジャックしちゃう?藤沢の町に?(なぞ)放送で・・・
Fさん
いいねぇ~

ってな感じで「藤沢にオレタチノ電波を載せてやるぜー」と息巻いて電波ジャックしたこともあった。当時10歳離れた僕の弟(当時1~2歳)も怪獣として参加させたり、途中で収録に飽きちゃって「スーファミやろうぜー」という流れになりテープの後半が単純にゲームしてるだけの収録もあったがまぁそれも含めて楽しんでいた。


そんなこんながあり、僕の将来の夢は当然の様にラジオDJになることとなっていった。この活動の延長線上にラジオのDJとなる輝かしい未来が待っていて、僕は伊集院光の様にTVで有名ではないけどラジオで鬼の様に楽しいトークを展開し好きなゲームをしてその模様をまたラジオで話して一部の人に共感を呼ぶような芸能人になるのだと夢想した。その夢を小学生の卒業文集にガッツリ書いた。今思うと本当に痛い。でも真剣(マジ)だった。


そしてその為の一歩を踏み出そうと中学生になったら放送部に入ってお昼の放送でDJとなりAMラジオ風の番組制作をしながらラジオ道を駆け上がっていくんだと思い描いていた―


◆次回中学生以降編予告◆

~中学に進んだ僕はDJへの道をどう進んだのか?

そして高校生で出演した全国規模のあの番組やこの番組でどんなことを喋ったのか?今に至るラジオとの付き合いと今回終わってしまうあの番組について語ります。


乞うご期待!

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