人生と幸せについて夏のギリシャの島で考えた。vol.1

2012年の夏。僕はギリシャのある島にいた。
美しい地中海に数多もの島々を持つギリシャという国の中でも「最も美しい島」とされ、毎年多くの観光客を世界中から集めている島、サントリーニ島。僕が愛する多くの巨匠と言われている小説家が作品を執筆してきたこの神聖な土地を肌で感じたいと、夏の旅路の中の工程に入れておいたのだ。
首都アテネの港から大型フェリーに乗り海風に揺られる事8時間。サントリーニ島に到着したのは深夜を過ぎていた。崖を切り崩して作った断崖絶壁の港。真っ暗な街。そこから見える真っ黒な海・・・。島に着いて初めに感じたのはそこでの圧倒的な孤独感である。
アテネを発った時点では100名以上いた乗船客も、最終到着地のこの島に到着するまでに半数近くは途中に立ち寄った別の島で降りていった。残ったのは大きな買い物袋や荷物を抱えた島住人(おそらくアテネに買い物に行っていたのだろう)、家族連れの旅行者、ギリシャの旅に慣れていそうな顔をしている老夫婦が何組か、20代のバックパックを背負った若者たちなど様々だった。
フェリーを降りるとすぐに何人もの人々が僕に話しかけてきた。宿の勧誘である。この辺りには千を超える島があり、時間が有り余っているバックパッカーや物好きな旅行者は気分次第で宿も取らずに島巡り(英語でアイランドトリップという)を行なっているのだ。僕は念のため前々日に宿を予約しておいたため彼らの誘いを当然断った。
ヨーロッパ旅行の高額なイメージを持っている人も中にはいるかもしれないが、ここギリシャの物価は我々日本人から見ても安い。特に僕がギリシャにいた時期は記録的な円高ユーロ安で、1ユーロを100円で計算してもお釣りがくるほどであった。この時期ここでは僕はちょっとした小金持ちだったのだ。
vol.2へ続く...

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