「毒親に育てられると自分も毒親になる」らしいから自分なりにあがいた結果、子育てタイプ分析ツールを作ることになった話

このエントリーをはてなブックマークに追加

ぼくは中学生の頃にどこからともなく、こんなことを知りました。


「虐待を受けて育った人は、自分が親になった時に自分の子どもにも虐待する」


身に覚えがあったぼくは、これを知ってとても怖くなりました。


ぼくが小学校に上る前に、両親は離婚していました。別れた父親は、ぼくのことをしょっちゅう怒鳴ったり脅したり、時には叩いたりしてたようです。保育園からの母親との帰り道、ぼくは急に立ち止まって「おうちに おとおさんいるの?かえりたくないよう(泣)」と言っていたこともあるそうです。

「もしかしたら、自分も自分の子どもにひどいことをするのかもしれない」


そう考えると、中学生のぼくは暗い気持ちになりました。自分にはどうすることもできない「呪い」のようなものがかかっていて、そこから逃れられない気分でした。



中学高校生の時には、毎日死にたい気分で過ごしていた時期もありました。今考えると、あの時期の症状はおそらくうつ病です。20年近く前はうつ病なんて言葉はほとんど耳にすることはありませんから、自分にそんな症状があることに気づくこともありませんでした。うつ病が虐待を受けた経験のある子どもに多く起こる症状であることを知ったのは大人になってからでした。


▼心理学を勉強して、自分の虐待経験について学んだ

ぼくはたまたま心理学に興味があったので、大学では心理学を勉強しました。その後も自分で勉強を続けて、現在は発達障害やパーソナリティ障害の支援・研究活動をしています。


心理学を勉強すると、自分の経験についても客観的に学び直すことが出来ました。虐待を受けた人の心にどんな変化が生じるのか?どうすれば虐待の経験を消化することができるのか?親から子に、まるで遺伝のように伝わっていく虐待の連鎖はどのようにして断ちきるのか?


このようなことについて調べ、自分自身を教育し直すことによって、ぼくが中学生の頃から抱えていた不安感は時間をかけながら解消されていきました。幸いなことに、現在、妻と子ども(4歳と2歳)に虐待を浴びせることなく楽しく生活することができています。


▼助かったぼくは幸運だった。だけど自分だけ助かればいいのか?

ぼくは自分のことを幸運だと思っています。ぼくに降りかかった幸運とは、自分の興味が心理学に向かったこと、自分で勉強するだけの根気があったこと、勉強しながら自分なりに理解して自分自身を変えていけたこと、などです。他にも多くの人たちの助けや幸運が積み重なって、ぼくは自分自身に家族との関わり方を教育することが出来ました。


自分の幸運について考えると嬉しいと同時に、やるせない気持ちにもなります。なぜなら、このような幸運は誰にでも降りかかるものではないからです。幸運によって虐待を乗りきれることがあるということは、逆に、もし幸運がかけていたら自分の子どもに対して虐待をしてしまう可能性があることを意味するからです。


実際、ぼくの周りには子どもの頃に辛い体験をして、今でもつらい気持ちで過ごしている友人がたくさんいます。もしかしたら、その友人たちも心のどこかで「虐待を受けて育った人は、自分が親になった時に自分の子どもにも虐待する」という不安に囚われているかもしれません。


そしてぼくは、自分に降り掛かった幸運を自分一人で独占することの罪深さについて考えました。そして、どうすればより多くの親子の虐待の連鎖を断ち切ることができるだろうと考えました。そして、子育てタイプ分析ツールのベータ版を開発するところまでこぎつけました。


▼どんな親も「このやり方が良いはずだ」と思っている

親御さんにもいろいろな方がいらっしゃいます。ある人は過保護かもしれませんし、別の人はスパルタかもしれません。ただ、どちらの親御さんにも共通するのは「この育て方が、子どもにとって良いはずだ」と考えていることです。例え子どもを叩く親御さんだって、叩く目的は「子どもにちゃんと育って欲しい」からのはずです。親御さんのやり方に対する周囲の見方はどうあれ、自分の子どもに対して愛情を注いでいることは揺るがない事実として認める必要があります。


ただ残念なことに、愛情が親の心の中にありさえすればそれが上手く伝わるかというと、どうやらそうではなさそうです。恋人同士や夫婦関係において上手な愛情の伝え方が必要なのと同様に、親子関係でも上手に伝わる愛情の伝え方があるようなのです。


子育てタイプ分析ツールを使うと、日頃自分がどんなやり方で子どもと接しているのか、またその接し方によって子どもに対してどのような影響があるのかがわかるようになります。一例としてこのようなことを尋ねられます。


「あなたは、拒絶や精神的に追いつめることをせずに子どもに接していますか?」


もし親御さんが「拒絶的に接し」たり「精神的に追い詰める」度合いが強い場合、子どもには「自分には愛される価値がない」という思考が身につきやすくなります。そしてこの思考が身につくと、将来うつ病になりやすいことがわかっています。もしかしたらこのような接し方をする親御さんは「子どもに強くなってほしい。そしてたくましく育って欲しい」という愛情からこの様にしているのかもしれません。ですが、実際には親御さんが期待していることとは逆の結果を子どもにもたらしてしまう恐れがあるのです。


子育てタイプ分析ツールでは、このようにして親御さんの子どもに対する接し方について尋ね、それが子どもに与える影響について知らせます。また、どうすれば今よりも良い関わりができるのかについて教えてくれるようになっています。


子育てタイプ分析ツールは2014年11月28日までクラウドファンディングで資金集めをしています。ご興味ある方は御覧ください。10月18日時点であと約20万円足りません。ご支援お待ち申し上げます。

「子育てタイプ分析ツールで軽度発達障害の子の自尊心を保ちたい」

https://readyfor.jp/projects/bunseki-tool

(虐待の問題は自尊心の問題でもあったり、発達障害に関わる問題であったりと切り口が色々とあります。説明の仕方は違いますが、子どもに元気に育ってもらうためのツールであることは同じです。)


メンタル発達インフォ

ぼくのブログです。「発達障害は能力です」「子どもとはこう遊ぶと楽しい」などの記事が最近は多いです。

読んでよかった
このエントリーをはてなブックマークに追加
このストーリーをブログ等で紹介する

私も自分の生い立ちから心理学を学びました。心の靄が晴れたのは45歳を過ぎたころかな?! 自分の体験が仕事に活かされています。その日の教室に来た子どもの顔色、御家庭の方の心配や悩みなど ストーンと心で感じます。(自称ですが…) 誰にだって得意な事不得意な事あるんだし、得意なところを見つけて育んで行ってほしいと思います。みんなちがってみんないい♪

おお~なんか安堵感にあふれました

私も親からの虐待によるPTSDに悩まされていて、障害者2級になってしまいました。しかし、親は、社会的に優位になるため(この論理が理解できない)に詐病で障害者になったと言います。何事も自分たちが正しくて、私が悪者だといって虐待を受けてきました。今でも受けています。それによって1日中、心臓を釘で打たれている感じがして、1日が終わると恐怖疲れ、死との戦い疲れで、かといって夜も、また心臓を釘で打たれている感覚で眠れずという感じです。21日は私の誕生日だったのですが、何の音沙汰もないどころか、こちらから電話をすると脅迫です。意外と、そういう育ちをした人が多いことに気が付き、私も後者のために書いています。ぜひ、体験を他の人の役に立ててください。

生きにくいのは親のせい?
育った環境そうかもしれない
他人と過去は変えられない
けれど自分と未来は変えられる
【なんでだろうよりどうしたら?】
毒親に苦しんだ一人でも多くの人が
自分の人生を自分の意思で歩けるようになる
それが願いです

読んで良かったです

実の母親が毒母でした。衝撃のないようです。雷に打たれたことがないけど、こんな感じかもしれません。私は母親のようにならないよう反面教師にし、私も心理学を学びましたので、経緯も似ていてびっくりしました。応援させてください。

荒川 泰之

メンタル発達インフォ http://yasuyukiarakawa.hatenablog.com 発達障害やコミュ障の理解や子育てのための記事があります。 発達障害とうつ病の研究者をやっています。 保育園にいる発達に課題がある子への支援、保育園の先生への研修も行います。子育ては20年、だから守備範

|

荒川 泰之

メンタル発達インフォ http://yasuyukiarakawa.hatenablog.com 発達障害やコミュ障の理解や子育てのための記事があります。 発達障害とうつ病の研究者をやっています。 保育園にいる発達に課題がある子への支援、保育園の先生への研修も行います。子育ては20年、だから守備範

荒川 泰之

メンタル発達インフォ http://yasuyukiarakawa.hatenablog.com 発達障害やコミュ障の理解や子育てのための記事があります。 発達障害とうつ病の研究者をやっています。 保育園にいる発達に課題がある子への支援、保育園の先生への研修も行います。子育ては20年、だから守備範

荒川 泰之さんの他のストーリー

  • 「私と同じ苦しみを、子どもたちが受けずに済むように」:発達障害のある大人たちの願い

  • 荒川 泰之さんの読んでよかったストーリー

  • 強烈なオヤジが高校も塾も通わせずに3人の息子を京都大学に放り込んだ話