25歳にもどって

「ママはもう25才じゃないんだから、夢ばっかりみていないで、現実を見つめてよ、現実を。」と相変わらず口のきつい長女に言われた。

ちょっと前まで、オムツを変えていた子供たちにそういうことを言われちゃう年に私もなっちゃったのかと感慨ぶかい気持ちになったが、確かに娘の言うことにも一理ある。私は50代に入っても、いや50代に入ってからのほうが、夢を見て生きている。

もう25歳じゃないんだから、と言われて自分の25歳のころを思い出した。私はまだ子供もいなくて若くて、怖いものなんてなにもなかった。心は自由そのものだったのである。でも、そのあと次々と子供ができるたびに、責任感が増えていって、自分に何かあったら子供たちはどうなるかと考えるとだんだん何もできなくなって、怖がり人間になっていったのである。言葉もまともに話せないよその国で、4人の子供たちを守って育て上げることに30代40代を生きてきた。

でも50代になって、子供たちが一人、そしてまた一人と旅立っていったとき、自分がまた若いころのように一人で生きていくことになることに気がついた。でもそれは若いころとは違って外見も体力も気力も年老いた自分がそこにいた。一人になることに怯え、淋しさと必死に戦っている自分がいた。孤独になるのを避けて、居心地の悪い人間関係でも我慢していくしかないかとあきらめようとしていた。

でもある日そういう自分にがまんができなくなって、思い切って一人で歩き始めた。なんだ50代でも25歳の時のように決断できるじゃない。まだ夢を持って前にすすめるじゃない。淋しさの代わりに肩の荷を下ろしたすがすがしさがあった。今までできなかったやりたいことを全部やろう。行きたいところに全部いきたい。そして全く新しい自分を見つけて、一人で生きていく技術もみにつけたい。

そんな夢見る50代の私に娘からのきつーい一言。そして、そのあとに、「ママ、夢を見るのもいいけど、今私とコーヒーを飲んでいるこの瞬間も大事にして、一日一日をたのしんでね。」

はい、わかっております。幸せは今この瞬間にここにあるのだから。毎日が自分に与えられたプレゼントだと思って大事に大事に生きていきたい!

私は25才からの人生をもう一度挑戦している。





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