17歳の夏

17歳になる年の夏のお話。この年は冷夏と言われる夏でした。

日照時間が短くて野菜や米が不作で、そん時はタイ米の輸入とかがニュースで騒がれていたかな、と。学校のグラウンドがまともに使えず、部活の練習が思いっきり出来なくてとても悔しかったですね。

そんなことからこの「僕が17歳になる夏休み」は思い出のある夏休みなんですが、もう一つ起きた「現象」もあって特に忘れられない夏になりました。


毎年夏になると叔母の家に避暑兼ねて遊びに行ってたんですよ。


叔母の家は山の麓にあって夏でも朝夕は涼しく、高校生になってからは小学生の従姉妹の勉強みたり、その家の手伝い、叔母の仕事の手伝いなんかと「アルバイト」のため長逗留してました。


その日も朝から叔母の仕事を手伝い、予定より少し早めに仕事が終わりました。そこで時期もちょうどお盆だったため叔母と一緒に墓参りに行くことに。


墓は集団墓地(霊園とは呼べないなぁ)の入口近くにあって比較的に密集してる場所にあります。いつも通りに墓に水をかけ、線香を焚き、花を指し、お参りをしました。


その墓は母方の親族が眠る墓でして母方の祖母と幼くして亡くなった母の妹、祖父の兄が眠っています(他にもいるんだろうけど知らない)。


一通りお参りを済ませ草を抜いたり、包み紙などを片付けたりしてる時に、ふと隣の墓石に足が当たりました。まぁわざと蹴ったわけでもないんで気にも止めずそのまま帰ってきたんです。


帰ってから普通にメシ食ってのんびりして23時ぐらいかな、明日も朝から仕事があるので早めに床につきました。


僕が寝ていたのは仏間の縁側。そこが1番涼しいのでそこに布団敷いて寝てました。

どれぐらい経ったのか、完全に眠っていたんですが、ふと腹の辺りに重みを感じるようになりました。


そんな潰れてしまうような重みではなく小学生が座ってるぐらいの重みっていうんですかね。僕も結構体格いいほうなんで、そんなキツイ重さには感じませんでしたが、「誰か乗っているな」と。


その家には当時8歳になる従兄弟がいて、年の割に小さく、またイタズラ好きで、てっきりその子が夜中にトイレかなんかで起きてきて、僕にちょっかいかけてきたと思ったんですよね。


「しゃぁないやっちゃなぁ~」

なんて思いながら眠たかったんでそのまま寝たフリ決めてやり過ごすことにしたんですよ。そのうち諦めるやろ、と。

そうこうしてるうちに今度は胸の辺りが重たくなってきて。


「しつこいなぁ~」なんて思いながらもこっちもそのまま寝たフリして、しつこい従兄弟に腹立てながら「早く寝ろよ」などとイライラしていました。


すると、いきなり首を絞めてきたんですよ。

前に目に指突っ込まれたことがあって、今回もそんな感じかと思ったのですが、握ってるとか触ってるというレベルじゃない、完全に絞めにきてる。


さすがにこれは「イタズラが過ぎる、怒らなあかん」と、僕の首を絞めている手を払い除けようとした時、自分の体が金縛りで動かないことに気がつきました。


「あれ?動かない。なんで?」


と頭ん中パニックです。


必死にもがきますが指一本動きません。そうこうしてるうちに首を絞める力はドンドン強くなり息が出来ないようになりました。益々パニックになり、わけがわからなくなる僕。


完全に「もうヤバイ」と、今何が起きているのかを確認するため思い切って目を開けました。


すると、目を開けたそこには、青白い顔をした老人がものすごい形相で僕の首を絞めてました。


表情は怒り憎しみで目が吊り上がり、「憤怒」の表情というんですかね、僕を睨めつけながら「死ね~死ね~」と呟いています。


何故、じいさんが僕の首を絞めているのか、状況は把握出来ないけど、とにかくこのままではマズイので何とか体が動かないかと色々もがきますが首も手も足も動かない、助けを呼ぼうとしても声が出ないというか口が開かない。


とにかく頭のなかで「どけ!やめろ!消えろ!」などと念じながら、気持ち折れたら死ぬかもしれない、と何故か感じていたので、心を強く保つために必死に念じてました。

そして、そのまま気を失ってしまったようで気が付いたら朝でした。


周りを見渡してみると、何も変わらない。争ったあともないし、窓には鍵がかかったまま。

叔母が既に起きて朝食の用意をしていたので、台所へ行き、昨夜の顛末を話してみました。

「もしかしたら信じてもらえないかな~」と思いながら話したんですが、一通り話し終わると叔母が、


「私もな夢に伯父さん(墓に入ってた祖父の兄)が出てきたんよ。夕暮れ時に坂の上におってな、私が子供で伯父さんのあとをついて歩いてたんよ。もしかして墓参りに行ったときに一緒に(伯父さんと他の霊が)憑いてきちゃったのかもな」と。


そう聞いてピンと来たのが「足が当たった墓」。


多少罪悪感があったのか僕にはその墓の主が懲らしめるために一緒に来たのではないかと咄嗟に感じました。それが理由なのかはわかんないですけどね。


それからというもの墓参りに行くと絶対に墓石に当たったりしないようにもんのすごく注意しています。もう、あんな怖い思いしたくないんで。


そういえば一昨年に墓参りした時、墓参りに行ったことは親には言ってなかったのに母親から電話が鳴り「墓参り行っててくれたんやなぁ~かあちゃん(母の母)夢のなかで喜んでたわ」と伝えられました(これはこれで怖い)。


信じるも信じないも自由です。僕もあまり信じないタチなんで。

著者の平田 睦さんにメッセージを送る

メッセージを送る

著者の方だけが読めます

みんなの読んで良かった!

STORYS.JPは、人生のヒントが得られる ライフストーリー共有プラットホームです。