TOEIC350点、貯金無し、今までパスポートすら作ったことの無かった大学生が実費0円で世界一周した話。

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次話: 初海外で世界一周!初日にロサンゼルス空港でパスポートを無くした話


まだまだ一人前にもほど遠い未熟な学生ですが、このエピソードを通してお伝えしたいことがあります。

それは情熱を持って自分のやりたいことを貫くことで、それが社会の共感を得られたら資金をはじめとした協力を得られるということ。

学生は時間はあるけど、お金は無い。大抵の学生はやりたいことをお金という問題で諦めてしまうと思います。僕もそのうちの一人でした。

しかし、この経験を通してどんなに遠くてもコツコツ積み重ねていけば必ず実現すると確信することが出来ました。

『世界一志友おふくろの味巡りの旅』を応援していただいてる皆様へ、拙い文章ですが感謝の気持ちを込めて、ありのままのストーリーを書いていこうと思います。

世界一志友おふくろの味巡りの旅公式サイト

3分の動画で分かる当プロジェクトにかける想い



メインスポンサー服部学園校長 服部幸應先生との記念撮影




旅立つ前日、海外にいる自分が全く想像出来なかった。




ロンドンのおふくろの味


2014年5月20日、この日、数ヶ月前の予定では、既に卒業して新卒一年目で働いているはずだった。しかし、僕はこのときまだ大学4年生。単位が足りなくて留年したんじゃない。休学中だ。N○Kのディレクターさんが、カメラをこっちに向けながらパッキングしているところを取材している。僕の旅プロジェクトに興味を持っていただき、わざわざ東京から埼玉の草加市まで来ていた。

ディレクターさん
斎藤さん、明日出発なのに準備終わってないんですか?
ユースケ
はい・・。いつも前日になって慌てちゃうんですよね。明日出発なのに、全然実感が湧きません。

そう、明日世界一周に旅立つのだ。

まだ海外にいる自分が全く想像出来ていない。気分はサークル合宿の前日のようだ。というのも僕は、今までパスポートすら作ったことが無い。勿論、日本から出たことが無かった。一番遠くに行ったのは、中学の修学旅行のときに沖縄に行ったときだ。そんな海外旅行はもちろんのことましてや世界一周に一番遠いであろう自分が、なぜ明日世界一周に出ることになったのか。それは約一年前に遡る。




先輩に誘われて勢いで世界一周に行くことを決意。




メキシコのおふくろの味


世界一周に旅立つ約一年前。僕が通っている獨協大学には大学非公認だが、世界一志友(しゆう)プロジェクトがある。3個上の先輩から続いているプロジェクトだが、簡単に説明すると毎年大学の4年生の有志が世界一周に行って世界の大学を訪問し、各地で学生に夢を聞いて回り、友達を作っていくプロジェクトだ。先輩はそのプロジェクトの2期で世界一周をした人だ。

ある日、先輩に言われた。

先輩
世界一周に行ってみない?

世界一周。それは当時の僕にとってあまりにも壮大な未知の言葉だった。facebookやTwitterのタイムラインに流れてくる世界一周経験者の投稿を通して、いつもそれに憧れを持っていたし、同時に未知な国へ足を踏み込むことへの恐怖感すら覚えていた。

学生生活を送る上で、重要な一つのテーマがある。それは、『学生のうちにやっておきたいと思ったことは全て実行する』だ。世界一周もそれに当てはまると考えていた。もちろん、社会人になって旅に出る人はたくさんいる。でも、社会人になる前に世界をこの目で見るという行為はとても魅力的だった。しかしながら、誰もがしたいと思ってもなかなか出来ないものである。お金も時間も勇気もいる。僕は貯金も無いし、卒業するまできっちり単位を取らなければいけないのと、当時学生だけで居酒屋を経営していたので時間も無かった。また、先述した通り海外にも行ったことが無いし、TOEIC350点で英語も全く話せないのでかなりの勇気も必要だった。だから、僕にとって旅というものは、憧れがあったもののなかなか手をつけづらいものだった。

このまま、苦手なものから逃げていていいのか?と自問自答する。世界一周をするにあたって自分が足りないものをどうやって備えるかなんて全く考えず、また、『恐怖』という感情を一度取り除き、反射的に答えてしまった。

ユースケ
行きます!

僕はこの一言だけで、世界一周に行くことが決まった。普通の人と違うかもしれない点は、自ら行きたいと思ったんじゃなく先輩に誘われたという外発的なきっかけで旅に行くことを決断した点である。


また、先述した世界の大学を訪問して夢を聞いて友達を作るという活動以外に、もう一つ自分だけのオリジナルなテーマを設けようと思った。なぜなら世界一周にどうせ行くなら、その経験によって新しいキャリアを形成したいと思ったからだ。自分だけの旅のテーマを持ち、多くの人々に情報を発信して誰にも負けない自分の強みを作る。そして、それを基に仕事をしたいと思った。




まずは世界一周に必要なものを箇条書きにしてみた。



アメリカのおふくろの味


世界一周に行くことを決め、いよいよ本格的に準備を始めた。実際に旅立ったのは当初の出発予定日よりも半年ほど遅れている。それくらい準備はスムーズにいかなかった。現時点で僕にとって足りないものは下記になる。


1,お金

何と言ってもこれが一番の問題。総費用は150万に設定した。


2,時間

4年生になっても単位を取らなければいけなかったので、仕方なく休学という道を選んだ。また、当時経営していた居酒屋は大学の後輩に任せることにした。


3,語学力

世界一周経験者の方々は英語出来なくても問題無いよと言っていたので、これはとりあえず後回しにした。


4,パスポートや保険、旅に持っていくものなどの諸々の準備

パスポートを人生で初めて作り、必要なものを旅の先輩方に色々聞いて勉強した。


どう考えても一番の問題はお金である。アルバイトでお金を貯める以外にもっと早く資金を集める方法は無いか考えた。




スポンサーを募り、150万円集めてタダで世界一周するという選択肢。



ポルトガルの親父の味


休学をして世界一周するということは、周りの同世代より社会に出るのが遅れるということ。それなら『自分のやりたい旅』と『社会に共感してもらう旅』の共通項を探して旅を企画して、社会と接点を持った旅をしたいと思っていた。ここで重要なのは旅のテーマ決め。コンセプトは僕はもちろんのこと、応援してくれる皆さんが楽しくなるような旅をすること。そして、少しでもいいから社会に何か貢献出来るような旅をすること。


まずはじめに、どんな旅をするかを決めるところから世界一周の準備が始まった。


21歳のときに大学を盛り上げたいという気持ちから、学生だけで経営する居酒屋を立ち上げた。なぜ、立ち上げたかというと、大学生が居心地の良い空間を作り、学生生活を更に豊かにしていきたいと思ったからだ。コミュニティを作るには場所が必要だった。テナントを借りるとお金が発生してしまうので、ビジネスで成り立たせる必要があったので飲食店を開業することにした。これを作るのにも大変だったが、色々とご縁もありなんとか開業にこぎつけることが出来たのである。そういった経緯から『食』への関心が深まった。だから旅も『食』をテーマにすることに決めた。




旅のテーマを考えるときに気をつけた3つのこと


ドイツのおふくろの味


スポンサーをつけるためには人の心を動かさないといけない。協賛活動中に気づいた人の心を動かすために必要なことは以下の3つである。


1,共感性

これが最も重要だと思う。人の心を動かすときはいつも論理ではなく、共感だ。人々が大切にしている感性に響かせなければいけない。


2,独自性

未だかつて誰もやってきたことがないようなものを作る。自分が今まで送ってきた人生はオンリーワンであり、今までに経験してきた原体験から導きだされるビジョンは誰にも真似出来ないオリジナルなものになる。


3,クオリティ

やるからには中途半端ではダメだ。より強い情報発信が必要になるため、思いついたことは出来るだけ高いクオリティでやっていかなければ、人々には想いは届かない。


まず1つ目の共感性についてだが、現時点で決まっているのは『食』であることだけで、これだけではざっくりしすぎていて上手く伝わらない。『食』をどの切り口で表現していけば人々の共感を得られるか考えた結果、テーマは『おふくろの味』に決めた。理由は4つある。1つ目は、『おふくろの味』は誰もが幼少の頃から持っている原体験であること。2つ目は、居酒屋の経営で悩み、お金が無くてご飯があまり食べられなくなったとき実家に帰ると何もしなくても普通に食卓に並ぶ数々の料理を見て、感激したという自信の原体験から。3つ目は、家庭料理はその国の気候や風土、その土地の食材を使っているものだから、食文化を一番表しているものだと思ったから。そして、4つ目は、日本では色んな国の料理をレストランで食べることが出来るが、おふくろの味は現地の家庭にお邪魔しないと食べられないものなので、希少価値が高いと思ったからだ。


2つ目の独自性について。学生だけで居酒屋を経営していた経験を活かして、世界一周後に世界の料理が味わえる飲食店をオープンさせるというゴールを作った。旅中にwebで発信するだけでなく、帰国後にリアルな空間で、『飲食店』という箱を通して旅の成果を発信するのだ。これをまた、学生だけの力で作りたいという想いもあった。僕の世界一周は帰国までではなく、この新しい飲食店を作るまでが世界一周だ。


3つ目のクオリティについて。想いを伝えたり、プロジェクトの説明をするときには色んな手段があるが、僕は動画にこだわった。あとで詳しく書くが、クラウドファンディングで残り一週間を切っても目標金額の半分も到達していなかったピンチのとき、動画をリリースすることで想いがみなさんに伝わり、無事にサクセスすることが出来た。




世界一周が怖くて、朝起きるのも憂鬱だった。


イタリアのおふくろの味


実はテーマを決めてからあまり進展が無かった。というのも、勢いで世界一周に行くことを決断して、テーマを決めたものの僕にとって世界一周は『恐怖』であることに変わりはなかった。今まで困ったときは誰かが助けてくれた。でも、海外に行ったら助けてくれる人もいないし、もしかしたら事件に巻き込まれて死ぬかもしれないとまで思った。だから、刻一刻と迫る出国予定日を恐れ、朝起きるのまで憂鬱だった。しかし、過ぎていくのは時間だけで、何も進展は無い。


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