私立幼稚園と公立幼稚園を経験して感じた事

 私立幼稚園ではとにかく行事の多さに目の回る激務でした。行事だけではなく、製作やお絵描きも多く、毎日なにかしらやっていました。 新人は毎日があっという間に終了し、反省どころか明日がすぐやってくる!という状態で1年が過ぎていきます。 
行事になると、毎日「練習しなければならない」という、遊びからの発展ではなく、「やらなければならない」雰囲気をつかみ取りやすい子は泣いていました。
先生達も疲れてきますが、運動会や生活発表会で少しでも子ども達のいいところを見てもらおうと必至になってきます。
本来の幼児教育では「遊びの延長に行事がある」という姿が理想です。その理想通りに保育を行えるように、教師もいろんな計画を立てます。でも、正直これだけの行事をこなすには、そこを意識するものの達成出来ない事も多々あります。
これは、教師が悪いとかでもなく、ニーズとして親がどうしても「立派に行事をやっている姿を望む」ことが多くなっているので、それに答えようとする私立が多くなっている事も事実だと思います。実際、子ども達は教えればそれに答えて一生懸命頑張ります。 その結果、素晴らしい結果がでます。いいとか悪いとかの評価ではなく子どもの底力を感じます。
公立は、行事に追われる事はほとんどありません。実際、運動会等の行事前は大変ですが、やる内容が私立と全く違うので、ゆったりとした感じさえ私は思えました。
普段の保育も遊びが中心になるので、製作や絵画をやらなければ、という事はありません。 
両方経験して感じたのは、公立はとにかく残す書類の多い事! なんでも記録として残し、次の年度で本当に見て活用するのか?!と思うほど残します。 ファイルの量も半端無く多いです。指導案あっての保育といったところでしょうか。 研修も多く、自分のクラスを他の先生にお願いして他の幼稚園に行って、先生の保育を見させていただくというのもあります。見られるのも年に数回あります。これは苦痛で、反省会も「お疲れさまでした。でもこういうところはちょっとどうかと思いました」というダメ出しの多い事!かなり凹みます。 私はこんな感じもしましたよ、等と後々参考になる反省なら歓迎ですが、評価される場なので「また保育をがんばろう!」という気持ちより「ダメだしの多い事!なんでこんなに評価されなきゃいけないの?!」という気持ちになる事が残念な研修でした。これは勿論、私個人的な感想で、皆さんがそう思って臨んでいる研修ではないということだけ、付け加えておきます。
その点、私立は、評価は無かったです。先輩の先生から学ぶ事が多く、夏の研修も自分の気になる研修を選んで参加するので研修を楽しめるという利点はあります。 また、指導案など書類はありますが、それをファイルして保存しなければならないものではなく、個人で綴っておく感じでしたので、同じ書く作業もそんなに力をいれなくてもよかったです。
実際親として我が子は、私立幼稚園に3人とも通園させました。先生達の大変さを感じながら、子どもの成長は著しく、親としてとても満足でした。でも何故、満足したのか?
*子どもが毎日楽しい!と喜んで通園していた。
*製作や絵が苦手だったけど、遅くても怒られたり残されてやらされてはなく、やりたい時にやったと子どもは言っていて、本人も出来上がったことを嬉しそうに報告していた事。
*やはり親に対しても、子どもに対しても幼稚園をあげてほとんどの先生が「見守っている」その姿勢の中で育てていただけたこと。
これにつきます。ようするに「やらされ感や押しつけの保育ではなかった」ことがなによりだったのではないか、そう感じています。卒園した後、仲良くしている先生に話を聴くと「行事に追われて大変だった。やる事も多く、目の回る忙しさ」だったそうです。
どちらがいいとか悪いとかの評価を書きたいと思ったのではなく、基本は子どもが楽しいと思える場所であり、その場所を提供する保育者がどれだけ自分で気づいて勉強をし続けるか、が大切な視点であり、みんなでやらなければならない研修であったり、例年通り行えばいい、というモノではないという事です。 子どもの育ちのために保育者個々が何を必要と感じるか、どんな力が自分に備わればいいのか、そんな判断を自分自身が行う事で、保育の質を高めていける、そんな幼稚園という場所であってほしいと思います。
あくまで、これは個人的見解です。すべての保育者がこのように考えているわけではありません。多分。

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