【Part 2】 「26歳、職ナシ、彼女ナシ、実家暮らし男子が、とりあえず、統合失調症になってみた。」~トラウマの源流は三歳から~
第一章~幼稚園から高校まで~
目次
・幼稚園で味わった「最後の靴」
・朝食を食べなかったから、ぶっ倒れた。
・卓球部、あれ?カラダガ、ウゴカナイ
・地獄地獄地獄の高校生活
・父親の死
・心療内科から、精神科へ。~心療内科と精神科の違いについて~
・27時間テレビがテレビが見たくて、精神病棟を退院した。
・休学、転入、アルバイト。~高校は卒業しておこうと思った~
・演劇ボランティア部より愛を込めて
・高校卒業、漢字検定二級取得
・幼稚園で味わった「最後の靴」
自分は、心療内科、精神科を点々としていた。中でも直近の心療内科である先生から受けた治療は、
「くわばらさんのトラウマの源流を探しましょう」
というものだった。
最初は、何を言っているのかわからなかったが、中学生、小学生、幼稚園と、「自分が嫌だった時の事」をほじくりだす作業をするものであった。
そして、最終的に自分が認識する「トラウマの源流」が、「最後の靴」であった。
自分の両親は、当時共働きで、幼稚園に迎えに来るのが、いつも遅かった。次々と帰っていくクラスメート。そして、いつも残る、自分の靴。何よりつらかったのは、それを見ている保育士さんが、「くわばらくんは、かわいそうだ」という視線だった。
「統合失調症患者は、いい人がなっちゃう病気である」
と、言ったのは、自分のケアワーカーをしてもらっている鈴木一由(すずき・かずよし)さんである。幼稚園の時から、「あ、保育士さんに気を遣わせてしまっているな」と思ういい人っぷりを露わにしている。
しかし、こと自分に置き換えると、「都合のいい人」で26年間生きてきたような気がする。もちろん、「どうしてもっと早く来てくれないんだろう」と、心の中で思っていても、それを口に出せない性格だったのかもしれない。
言いたい事も言えないこんな世の中では、本当にポイズンを味わってしまうのである。もし、三歳ぐらいのお子さんがいる家庭の方々に聞いてもらいたいのだが、子どもは、三歳までに負った心の傷を、一生背負うものなのだ。
・朝食を食べなかったから、ぶっ倒れた。
朝食は絶対に食べさせた方がいい。自分は、小学生の時、朝食を食べなかったせいで、ぶっ倒れた経験があるからだ。
忘れもしないその日、自分は、朝食を食べるのが面倒くさくなり、そのまま学校へ足を運んだ。それが地獄の第一歩だった。
学校の校歌を歌うとき、目がちかちかしだしたのである。統合失調症というのは、「もっともっと頑張らんばいかん」と、思ってしまう悪い癖がある。
自分も、もれなくその癖を持っていて、より大きな声を出そうとしたら、突然、目の前が真っ白になり、その場に倒れこんでしまった。
幸い、先生が身体を支えてくださったので、無事に済んだ。その後、保健室に運ばれ、白湯を飲んだ。おいしかった。栄養を取るという作業をおろそかにしてはいけない。強くそう思った。
今では毎日欠かさずとは、行かないが、出来る限り、朝食を食べる生活をしている。
・卓球部、あれ?カラダガ、ウゴカナイ
中学校、団体で何かをすることが苦手だった自分は、卓球部に入部した。しかし、そこは女子卓球団体が、全国で6位入賞する強豪校で、相当なスパルタだった。今、巷でにぎわせている「運動系の部活では、昔、水を飲むことを許されなかった」部類に入る卓球部だった。
小さな大会で、自分が6位入賞した時に、顧問に言われた、
「お前の入賞は、運だからな。」
という言葉を自分は一生忘れない。その言葉から、「どうして、自分は卓球を続けているんだろう?」と疑問に思いながら部活に行っていた。
そんな曖昧な純情な感情を抱きながら、部活をやっているのだから、頭と心と身体のバランスが取れなくなっていった。見る見るうちに視界が狭くなる。呼吸が荒くなる。立っていられなくなる。
自分の身体は、SOSを出している。それなのにも関わらず、頭の中では、
「ぶっ倒れたら、また先生に怒られるぞ!」
と叱責している。
ね?異常でしょう?
間もなく、自分は卓球部を去った。あんなに大好きだった卓球を続けられなくなるのは、病気のせいではない。周りの、そして自分自身の病気の理解が遅かったせいである。誰のせいでもないのだ。
・地獄地獄地獄の高校生活
自分は、第一志望校だった高校入試に失敗した。第二志望校の高校は、風紀があまり良くなく、授業中に、他のクラスの女子がやってきて、
「○○ちゃん、遊び行こーぜー!」
と、乱入し、その○○ちゃんも一緒に、教室の外に出て行ってしまう高校だった。そして、それを注意するために、先生までで行ってしまい、その時間の授業、45分間は、先生不在で過ぎていった。
堪忍袋の緒が切れた。
こっちは、親が汗水流して働いて出してくれた学費で、真面目に授業を受けたいだけなのに、なぜ、その権利を奪われなければいけないのか。
自分は、授業の終わりのベルを聴いて、乱入した女子生徒と、注意をしている先生の間に割って入った。
「○○先生、きつく言っといてください。」
これには、乱入少女の堪忍袋の緒が切れた。
「はぁ~~?!なんで、私に直接言わずに、先生に言うわけ?」
自分は、言い返せないでいると、
「殴りたければ、殴れば?どうせ、その勇気もないくせに。」
あなたの親御さんの人生を雑誌にしませんか?
著者の桑原 和也さんにメッセージを送る
著者の方だけが読めます