死ぬほど痛かった「包茎手術」

前話: 失恋

福岡の家を出て、大学進学で京都へ。実は京都に着いて数日後、泌尿器科へ行った。包茎手術を受けるためだ。一大決心して。素人診断だが、オレは仮性包茎を超えて真性包茎。いや、単に悪徳広告に煽られているだけかもしれない。が、とにかく、「その時」のために、男にならねばと一人悩んでいた。

そう。今書きながら、最初の悪夢を思い出した。

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高2の秋に修学旅行があったが、恐怖は風呂だった。裸になれば包茎がバレる。いろいろ考え、私は風呂にはいる1時間前、皮を剥いて巻き上げ、戻らないように輪ゴムで留めた。そして脱衣場でパンツを脱いだ瞬間、我が目を疑った。局部が大きなミミズのように腫れ上がっている!

輪ゴムでリンパ腺か血液の流れが止まったのかわからないが、まさに水膨れ状態なのだ。


一瞬、頭が真っ白になったが、またパンツを履くのもおかしい。タオルで隠し、思い切って大浴場へ入った。素知らぬ顔で。すると幸運にも中は湯気で真っ白。見えない見えない。やった。これなら安心だ。バレない。・・・・という経験は二度としたくない。「その時」がきた時、女の子に笑われたくない。性の悩みは深刻だ。

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というわけで、当時は美容外科とかなかったので、普通に泌尿器科へ電話予約して行った。診察台に寝るとささっと診察され、「うーん、これは仮性包茎だから保険は効かないね」と言われたが、その微笑は「本当は真性包茎で保険は効くけど、それじゃ儲からんから仮性だと言いくるめ、自由診療でボッタクろう」だとしても、まさにまな板の鯉。横には若い看護婦もいる。覚悟を決めて「お願いします」。


そして、恐れたことが起きた。看護婦さんが消毒の最中、やはり、ムスコはむっくりと起きてきた。情けないが仕方ない。まあ、でも慣れてるよね。たぶん。

そして、次なる不安が現実のものに。本当は眠っている間に手術して欲しいが、やはり局部麻酔だった。目をつむり、大丈夫さと思ったが、でもどうかな。わからない。ままよ!

そしていざ、ジョキジョキという感触が伝わり、おー、ハサミで切ってるのか?皮を。なんかイタイ感じもするが、まあ、それは気のせいだ。いや、痛い!オイッ!麻酔が効いてない!あり得ない!嘘だろ!?助けてくれ!


ギャ~!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!


・・という間は数分か数十秒かわからないが、終わった。・・・ようだ。事後処理をされ、1週間か10日か忘れたが、当面は風呂にはいるなと。うーん、まあそうだろう。でも、これでオレは男だ!

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が、数日後か、痛みで目が覚めた。段々痛みが強くなる。なんだ!?これは!朝勃ちかなんかわからんが、局部の縫った箇所が勃起して引っ張られ、猛烈な痛みが襲ったのだ。屈んでなんとか這うようにションベンしに行ったが、その後も痛みが続く。鈍痛と激痛が繰り返す。何時間か沈静化した時もあるが、数日間は強い痛みに繰り返し襲われた。


そんな時、京都大学に入った高校の同級生・永友が下宿に来た。ちょうど激痛がおさまらない時で、常にカラダを前のめりにし、腰を引いた状態だった。「お前?どしたーーん?」もはや隠すわけにもいかない。「実は包茎手術をしたんよ・・・」。すると永友は破顔一笑。が、「そうか。お前もか。オレもやったよ」と苦笑い。が、さすが天才。一瞬で気を使い、嘘をついたなと思ったが、有り難い友だ。


この話は後日談がある。なんとか抜糸し、晴れて男になったと思ったが、18年間陽の目を見なかったからか、はたまた縫い方がヘタだったからか、ムスコがツートンカラーで明らかにおかしい。それから数年間、夏になると海へ行き、誰もいない遠くの岩場で局部を出し、焼いた。なんかほとんど効果はなかったが。


まあしかし、包茎手術で生まれ変わったのは間違いない。永年のコンプレックスが解消した。これで堂々と勝負できる。どこに出ても恥ずかしくない。ツートンだが。気分が晴れ晴れしたのを覚えている。この10数年後、広告代理店時代に美容外科を担当することになるが、その使命や存在意義は身を持って経験していたので、正々堂々とした広告コピーが書けた。

包茎手術や美容外科は賛否両論あるが、外見の悩み=精神の悩みとなる。ことはよくある。着るものや髪型が変われば、自分の気分も他人の見方もガラリと変わる。しかも、化粧やダイエットやエステや健康食品に比べ、その効果や結果は劇的で、しかも半永久的に持続する。腕の良し悪しはあるが、確実に変わる。もちろん、外見の悪さをバネに、頭脳や中身を磨く人も多数。人それぞれ。

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たかが包茎体験で長くなったが、やはり思い入れが深い。

ちなみに、日本人は過半数が仮性包茎や真性包茎状態。が、特に仮性はそのうち剥けてくるし、真性も頑張れば剥けるらしい。欧米やイスラム?の割礼を知り、なんで生まれた時にしてくれなかったと悔やんだが、包茎で悩む半数以上は、手術を受ける必要はないと思う。まあわからん。

今はネットに情報が山ほどある。その半分以上は広告やヤラセ記事やアフィリエイトなので、信頼おけそうな自己努力方法を探し、いろいろ試して頑張って欲しい。くれぐれも、トータルネックの男性広告と「今のままじゃモテないぞ!」という煽り広告コピーを鵜呑みしないこと。幸運を祈る。

で、たぶん、今は麻酔技術は大幅に向上してるはず。ご安心を。

が、「包茎商法」には気をつけて。検索で山ほど出る。

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