癌が消える!?工場の話だとばかり思っていた「ザ・ゴール」の TOC(制約理論)をガン細胞のことに置き換えてみると、お金が節約できて元気になることが小学生でもわかるという話【前編】

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病院に行かなくても自力でガン細胞は消せる!?

もしそんな話を聞いたら、あなたはどんなことを想像するだろう?

そんなもの信じない? 怪しい民間療法かも?

はたまた悪魔祓いのおまじないみたいなものを想像するかもしれない。


けれどもちょっとまって欲しい。



先日私は、TOC(制約理論)を肉体への投資に応用した結果、1日の運動は12分間だけなのにもかかわらす7週間で体脂肪を7.4kg減らして仕事もはかどり元気になった、というレポートをした


物事をバラバラに捉えるのではなく「全体のつながり」で捉えると、本当に効果のあるものと効果が少ないもの、常識に反して実は逆効果だったものなどの区別が一目瞭然になる。

このことで集中力が生まれて、いってみればそれまでよりも労力は少なくなってるのにもかかわらず、飛躍的な成果が出るという話だ。

加えて、結果がどのように生み出されているかについての「全体のつながり」がはっきり見えていると、いままでは気が付かなかった、もっとよい方法についてのアイデアも見つかるようにもなる。


TOC(制約理論)そのものは、「ザ・ゴール」という小説で紹介されて多くの人の目には届いているのだけれど、最初の印象で工場だけで使える話だと思い込んでいたり、TOCの理論体系があらゆる領域に適用できることを知っている人が日本にはまだ少ないので、ダイエットにも応用できるというレポートには驚きの反響をいくつもいただいた。

同様に、日本人の死因第1位、ガンについても、TOC(制約理論)で肉体の仕組みや生活習慣などとの「全体のつながり」で理解すると、ほとんどの人たちの常識とは違った現実が見えてくる。


このレポートは、身近な人の健康と幸せを願う人が、さまざまな専門家のセオリーに振り回されて混乱して自らの健康を損なったり、家族のガンなどですでに健康を損なってしまった人に対して何の力にもなれないという罪悪感や無力感を少しでも解消するためのお役に立てればと思い書くことにした。

同時に、産業界だけでなく教育の現場でも劇的な成果を挙げているにもかかわらず、いまだに工場の話だと思い込んでその価値を見過ごしている人の多い、TOC(制約理論)に人びとの関心が向かうことも期待している。


TOC(制約理論)といっても、やることはシンプルだ。


どういう原因がどういう結果につながっているか、という因果関係のつながりをひとつひとつ丁寧に注目するところからはじめる。小学生にもわかるように、順番にその論理を追ってみよう。


私たちには毎日、10000個のガン細胞が出来ている



まず事実として、私たちの身体には毎日約5000〜10000個のガン細胞ができている。

あなたの頭の中に「ガンになったら、ああ、大変だ」「ガンになったときのための備えをしなきゃ」「ガン細胞ってひどいやつだ」「ガンなんてなければいいのに」という概念があるとしたら、それは実際のガン細胞の話ではなくて、保険業界や医療業界が開発した「ガン」というひとつの商品名についての概念だと思った方がいい。

事実として、どんなに健康な人であっても、ガン細胞自体は身体の中で毎日毎日作られているのだ。

この事実を知らずにガンを何か特別な不幸のように恐れている人は意外と多い。

そしてこの事実を知ったあなたは、つぎのようなことを疑問に思うかもしれない。


じゃあなんで全員がガンで死ぬわけじゃないの?


ガン細胞が、どんなに健康な人にも毎日約10000個できているのはわかった。

けれどなんで、そのガン細胞が増えて、胃や大腸や肺や子宮やおっぱいを切ったり、痛くて痛くて死んでいく人がいるのに、いっぽうでガンにならないで長生きする人たちも大勢いるのはなぜなの?

ガンで苦しむ人は遺伝なの? 運が悪いの? ガン細胞が作られる速度がなにかの異常で他の人たちよりも早かったりするの?

ここでももうひとつ、私たちの身体についての事実がある。


免疫チームがガン細胞を毎日やっつけてくれているから



私たちの身体には免疫チームがいて、身体の外から入ってきて体内で暴れまくる細菌やウィルスをやっつけてくれる。さらには、いちど戦った強い敵を覚えて、次からその細菌やウィルスたちが体内でテロリストのような破壊活動をすることができないように取り締まったりしてくれている。

免疫チームにはリンパさんや白血球さんなどがいて、いろいろな持ち場や得意分野があるのだけれど、ガン細胞についてもこの免疫チームが取り締まってくれている。だからガン細胞ができたその日のうちに「おい、こいつはガン細胞だぞ」と発見して、チームで連携してすぐにやっつけてくれる。

つまり私たちの身体では誰でも、ガン細胞が毎日作られ、そして毎日消えている。

そしてこの免疫チームがきちんと働いてくれる限り、ガン細胞は増えない。なぜなら、その日にできたガン細胞は、その日のうちに消えてしまうはずだからだ。


じゃあ、ガンで死ぬ人は免疫チームがサボってるの?


健康な人でも毎日ガン細胞ができているのはわかった。

そしてそのガン細胞を、毎日免疫チームがやっつけてくれているのもわかった。

それなら、ガン細胞が増えて死ぬ人は、免疫チームがちゃんと仕事をしていないの?

と、ピンときたあなたは少し疑いを持ち始めるかもしれない。

ガンになって死ぬ人がいるのは免疫さんチームがサボることもあるからなのでは?


ここで焦ってガンの犯人探しをするまえに、もう少し落ち着いて全体の状況をみてみよう。


TOC(制約理論)で「全体のつながり」を見て、最も効果的な一手を打つためには、いくつかの信念をもつことが重要だと言われている。その中のひとつが、


「人は善良であると信じる」→「人を責めないこと」


という信念だ。これは何も道徳の話ではない。単純に利益追求のための重要なルールなのだ。

たとえば工場の生産性が落ちている時に「従業員がサボっている」と人を責めてしまうと、もし、何かしら気づかないところで重大なトラブルが起きていたときに見逃してしまうことになる。また相手の言い分も聞かずに犯人を決めつけてしまうと、仕組みや手順を改善するヒントを見つける機会そのものを失ってしまう。だからまず、人を責めないという信念を持つことが、きちんと全体のつながりを理解して改善するためのスタートなのだ。


おなじように、いつもお世話になっている免疫チームを疑って犯人扱いしてしまうと、ガンについて本当の問題を見失ってしまう。


ともあれ、ガン細胞を取り締まってくれる本来の役割が果たせずにガンで死んでしまう人達がいるという意味で、免疫チームにやる気があるかないかは別として、ガンについては免疫チームがキーパーソンであることはたしかだ。


このキーパーソン、結果を左右する最重要人物のことを制約理論では「ボトルネック」と呼ぶ。


ボトルネック = キーパーソン



「能力が需要を満たしていない部分」のことをボトルネックという。

どんなに中が広いビンでも、ビンの首(ボトルネック)より大きなモノは中にはいらないし、水の入ったビンを逆さにしても、ビンの首(ボトルネック)のサイズ以上の速度で水が出て行くことはない。

全体としての結果を決めている部分、別の言い方をすると、他の部分(メンバー)の能力は余裕があるのにその部分(メンバー)が原因で全体の結果が制限されている部分(メンバー)のことを指すのにボトルネックということばを使うのを聞いたことがある人も多いだろう。


「ボトルネックを解消しなきゃ」

「おい、おまえがチームのボトルネックになっているぞ(足をひっぱっているぞ)」


ここで「ボトルネックは全体の足を引っ張っている弱い部分で、ボトルネックがあるかぎり劇的に状況が改善することはない」と思い込んで勘違いしている人が多いのだけれど、TOC(制約理論)ではそうは考えない。


ボトルネックは解消しないでOK!


確かにボトルネックが解消するのは理想だろう。理想なんだけれど、そこがボトルネックであるのにはなにかしらの経緯と理由があるはずだし、そのボトルネックを解消しようとすると、これから新たに頑張ったり、新たにお金をかけたり、新たに人を割いたりしなければならない。

ましてやそのボトルネックがまえまえから気づいていることならば、いまよりもっと「頑張って」ボトルネックを解消する、という戦略にそもそも問題があるということなのだ。

じゃあどうすればいいのか? 


解決策は「全体のつながり」にある。

TOC(制約理論)では、ボトルネックを特定したら、ボトルネックを強化して解消する前に2つのステップで「ボトルネックと他の部分との関係性を変える」ことで十分な利益を確保する。それで余裕が出たときになってやっとボトルネックを強化して、解消することを考えればよいのだ。

全体のつながりがきちんとわかって、正しい集中力が注がれれば、ボトルネックを解消しなくても利益を2倍3倍にしたという事例は、TOCを導入した企業には掃いて捨てるほどある。ボトルネックを解消するまえに、いまのままのメンバー、いまのままの能力、いまのままの予算でも結果を劇的に改善することはできる。重要なのは「全体のつながり」をきちんと理解して、効果が出ることに注意を払えるような関係性をつくること。

要は、ボトルネックへの集中力の問題なのだ。




「つながり」に注目した、全体最適の問題解決


「弱点を補うのではなく強みを伸ばすことに集中した方がいい」という格言はあなたもどこかで聞いたことがあるだろう。TOC(制約理論)でも同様だ。ボトルネックに集中するとは、弱点に集中するという意味ではない。結果に最も影響力を持っているキーパーソンに敬意を払って、注意を向けることにほかならない。

本来ならば結果に最も影響力のあるキーパーソンのことを「弱点」と見なしてしまう思い込みのことをTOC(制約理論)では、コストワールドのパラダイムと呼んだりする。全体をバラバラに分断されたものとしてみなす世界観のことだ。たしかに、既存の学校教育をはじめ、私たちは物事をバラバラに捉えることに慣れてしまっている。「仕事と家庭は別物」「お金と健康は別物」「夢と現実は別物」だから、どちらか一方が大事ならもう一方をおろそかにしても仕方がないと考えてしまったりする。けれど実際の世界はバラバラではない。TOC(制約理論)はこの一見対立するようなものでさえも「全体のつながり」に注目して両立する打開策を見つけるために考えることをサポートする。


私たちの肉体も同様に考えてみる。

それぞれの部分がバラバラにガンになったり、ならなかったりするわけではない。全体のつながりに注目して、結果によい影響があるような集中力がボトルネックに注がれるように「つながり(関係性)」を変えていく。


では、どのようにボトルネックへ集中力を注ぐのかについて、TOC(制約理論)で「継続的改善の5ステップ」と呼ばれるプロセスで、キーパーソンの免疫チームさんとのつながりを整理してみよう。



■TOC(制約理論)の5つの改善ステップ

1.ボトルネックを特定する

2.ボトルネックを徹底活用する

3.ボトルネックに従属させる

4.ボトルネックを強化する

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