統合失調症になった私 第一章

統合失調症になったきっかけ

28歳の春
その日までは感じることのないストレスのはじまり

ある会社から引き抜いてもらった私はなんにも悩むことなく商業デザイナーとしてパソコンに向かって仕事をしていた。
ある日突然変わった出来事が私の潜在意識の中で眠っていた統合失調症の扉を叩くこととなる出来事が起こった。


仕事場でもプライベートでも仲良くしていた先輩からの一言
「キーボードを入力するときの音がうるさい」
最初は気にもしなかったことだった。でも、職場の先輩に迷惑をかけているならばと私は新しいキーボードを購入した。これできっと以前使っていたものより音が軽減されるから解決するのだと確信していた。
でも、違った。新しいキーボードに変えても「うるさい」という言葉がかけられ続けてだんだん入力の速度も落ちていき仕事をする上で支障がでてきた。
これ以上自分にできる改善策が見出せないまま月日が流れるにあたり出社しても仕事をうまくこなせないでいたり、残業してなんとか営業マンに提出するというギリギリのラインの中で仕事をしていた。帰宅しても精神的な疲れはとれず、夏前には職場へ行くことすらできない状態に陥った。

朝、起きてボーっとしながら飼っていたワンコと話しながら出社する準備(着替えやメイクヘアアレンジなど)ができなくなり、円形脱毛症がひどくなり最終的にフルウィッグをして外出するようになった。フルウィッグの中は自ら坊主にした坊主頭だ。クライアントへの配慮はできていたのか?自分でも複雑な状態だったが、会社へ出社できず上司から連絡があっても「今から向かいます」と話したのにもかかわらずベッドへもぐりこむ始末。結局いわゆる無断欠勤。きっと会社は大迷惑な状況だったと感じます。今だから感じ取れる状況判断だが当時はできていなかった。
出社すると連絡をして向かっても電車の中で眠くなり、新宿へ向かう電車に乗っていたのに反対の八王子についていたり、自分でも困惑状態ではあった。
当時6月ごろから新宿にあった精神科にかかっていたが、薬が身体にあっていなかったのだろうとも考えられる。8月に退職願を提出した後自宅から近いクリニックへ転院したがそのクリニックも私にはあっていなかったのだと思う。会社を退職し、社長様の配慮で傷病手当を受給し一年半のお給料は発生したが、その後どうするか?見えず、考えられず、いつの間にか苦しい状態の負のスパイラルに落ちていった。

実家(神戸)へ帰ることができなかったのは私の中でしっかりとした理由があったからだ。私の両親の存在は父は怖い、母はわからない。そして、18歳の夏に実家で自殺未遂を起こしたことにより両親や姉との距離感やココロの溝は深く深く海溝のようだったから。海溝のような溝を作ってしまったのは私自身である。自殺未遂などしなければまだ関係性は落ち着いていただろう。ただ自殺未遂をした日から両親も腫れ物に触るような状態で私には苦しくつらい生活環境だった。そのため神戸を出て東京で一人暮らしをしながら生活していくことを選んだ。

28歳まで精神科に受診することはなかったが、過呼吸発作など頻繁に起こしていた私は18歳の時に受診すべきであったと後悔はしている。28歳になって好きだったデザインの仕事も失い、次に働く場所が見つからず当時一人暮らしをしていた所から二駅ほど先のちいさなバーでバーテンダーとして働かせてもらったが、その日暮らしのお給料をもらうだけで(一日3時間ほどで2千円くらいだったと思う)生活の安定にはまったく持ち込めない状態だった。

今考えると、当時ワンコと私が生活できたのは社長様からの配慮で傷病手当を頂けたからであり、自分自身に生活を維持するものは何一つなかった。
今でも社長様の配慮には感謝している。もうお会いすることはないだろうけど感謝の気持ちは私のココロに存在し続けている。


うつ病をはじめとする精神疾患の早期発見に繋がる「受診」という部分はなかなか難しいと私も感じます。まさか自分自身が「統合失調症」になっているとは一ミリも感じていなかった(統合失調症という病気も知らなかった)ので受診するきっかけとなった職場の先輩にはありがたい部分もあわせもっているが、もう二度と会いたくない気持ちは変わらない。

当たり前のことができなくなったり、幻覚、幻聴、妄想などにより身体に変化があった時、恐れずに精神科、もしくは心療内科を受診する勇気をもっていて欲しいと思う。私のように年齢を重ねてから診断されると自分自身で築き上げたポジションを失うことに繋がりきっと後悔するからだ。精神科に通うこと、それは恥ずかしいことでもない。ストレス社会に存在する人間は大人でも子供でも必要があれば受診すべきだと私は考える。もし受診して違ったとしてもそれほど嬉しいことはないのではないだろうか。私は28歳で発症という事実を現実として受け入れざる得なかったが、数年は受診しながらも「統合失調症」を自ら偏見の意識で理解することができず、受け入れられなかった。受け入れることほど難しいものはない。簡単ではないから悩んだり躊躇したり葛藤し踏みとどまってしまうのだから。

第一章ではちいさなきっかけより精神疾患へと変化したこと。何か普段の行動よりおかしいと感じる部分が精神面で感じることがあったら一度受診して医師に確認して欲しいという思いを綴らせて頂きました。

また次の章で発症してからの変化を綴りたいと思っています。

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