人生初のクリーンルーム

寒い夏

 
室温22度。2012年の夏は、ほとんどこの気温に保たれた中にいました。夏なのに寒い時も度々あったほど!
 
 私は、6月の終わりから9月の半ばまで工場で生産ラインに入り、作業員をしていました。その時、東京でのトレーニングもまだ残っていたのですが、突然のスケジュール変更でした。
 5日後に三重県に行く事を知らされた時は…かなり動揺しました。
 ですが、まだ会社は始まったばかりでしたし、突然の事だったのでどうすることもできず、とにかく急いで引っ越しの準備をしました。

初体験…

 
 そして、人生初のクリーンルーム。
 上下スウェットの上には、ジャンプスーツみたいな服、ゴム手袋、膝まで覆うシューズ。そして、頭には布製の水泳キャップみたいなモノをかぶって、その上から目だけ出ている覆面のようなものを着用。防塵服というやつです。
 勤務体制は、工場なのでもちろん24時間稼働。そのため、日勤と夜勤のシフト体制。勤務時間は、日勤が朝8時から夜8時、夜勤が夜8時から朝8時。そして、工場まではバスで片道30分でした。
 そして、初夜勤。
 これが、私を苦しめました。規則正しくな生活リズムがモットーな私。夜勤の夜中2時から4時は、どんなに頑張っても眠気と寒気に襲われました。夕方に寝てきても眠い。休み時間も満足に仮眠は取れず…というか、仮眠をとる場所は充分になかったのです。
 そして、帰ってきたらもう何もしたくない、とにかくお風呂に入って寝たい!こんな調子でした。

自分と向き合う

 こんな生活で1ヶ月程経ったころ、自分について、これからについて、毎日考えるようになっていました。自分の人生に対する様々な疑問や心配が湧いてきていたのです。そして、これが私に転職活動を始めさせるきっかけになったのです。
 そう決めた日から、三重県で勤務をしている間は、インターネットで転職活動、休み時間に面接日程の電話、Web上の履歴書をアップデート。休みの日は、東京に戻って面接することもしばしばありました。スーツと靴、ビジネスバッグを持って東京駅で着替え、ロッカーに荷物を入れて面接へ。そんな日々を過ごしました。

決断

 そんな中、工場での期間が終わり、選択する時がきました。
 
 約半年で退職。その後がとても怖いと思いましたが…何もしない事の方が怖い、そう思ったのです。
 それから転職活動にフォーカスし、転職サイトやフェアを探していました。そして、前から連絡を取っていた会社が、たまたま東京に帰ってから一週間後の転職フェアで参加しており、その会社との面接が最終まで進んだのです。ご縁を感じました。
 ついに、内定。
 その時、やっとスタート地点にたった気持ちでした。三重県にいる間、考え続け、諦めなかった事を本当によかったと思っています。
 そして、工場で作業をした経験は、再スタートのきっかけでありましたが、めったに経験する事が出来ない、とても貴重な出来事でもありました。夜勤で働き、品質を第一に情熱を持って仕事に取り組んでいる素敵な方々に出会う事が出来たのですから。

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