カナダNLで折り紙家庭教師、8歳の男の子との出会い

カナダのニューファンドランド・ラブラドール州(NL)をご存知だろうか?

ラブラドール犬なら知っている人も多いだろう。ニューファンドランド犬、ラブラドール犬の出身地だ。

カナダの中でも日本から最も遠く、アメリカ大陸の最東端にあるNLのSt. John'sという街で私はワーキングホリデーをスタートさせた。

(写真はSt. John'sのダウンタウン、カナダ最東端の港町)


なぜこの地を選んだかというと、単にカナダ人の友人がいたからだった。カナダでの生活をスタートさせるにあたって知り合いがいる場所からはじめたかったのだ。


しかし、住み始めたはいいがなかなか仕事が見つからない。学校で「カナダは他民族国家」と習った気がするけどそれは都市部の話。NLは先祖がアイルランドから来た人が多数を占め、ほかにはスコットランドや他ヨーロッパなど、圧倒的に白人社会だった。


そもそも町の人も東洋人にあまり慣れていなかった。お土産屋さんにアルバイト募集の張り紙があったので入って尋ねると「東洋人なんだから、あの寿司屋さんはどうだい?」と中国人経営の、私からすると「これは寿司じゃないぞ」と言いたくなるような ”なんちゃって寿司屋”を指差した。「いや私日本人なんで、中国語話さないから働けないよ。むしろ英語は話せるよ」と言っても無駄で、全く相手にされなかった。(後にプリンスエドワード島に移るとはじめの一週間で仕事が決まったので、NLの求人率が低かったのも原因だったと思う。)


仕方がないので「自分でお金をつくり出すしかない」と私はファーマーズマーケットで手作りの折り紙クラフトを売り始めた。ある日、いつものようにファーマーズマーケットでいると、私の作品を見た女性が「友だちの息子で折り紙を習いたいと言ってる男の子がいるのよ」と話しかけてきた。


連絡先を交換して、後日その男の子とお母さんと会うことに。

待ち合わせ場所は広いスーパーのオープンスペースで、どきどきしながら待っていたのを覚えている。


(Quidi Vidi Lakeという湖が目の前にある景色のいいスーパーのオープンスペース)


やって来たのはかわいらしい8歳の男の子とサリーが似合うお母さん。

その男の子の話は面白かった。

お母さんが「どんな習い事をしたい?水泳?サッカー?ピアノ?何がいい?」と聞くと「折り紙!」と答えたとのこと。お母さんはこの街に折り紙を教えてくれる人なんているのかしらと思っていたそうだ。


そうして私の折り紙家庭教師が始まった。

週に1回、バスを乗り継いで男の子の家に行く。その家族はご両親がインドからの移民で、お家にはヒンズー教の神様の像などエキゾチックなものが置いてあった。


初日。

私は「8歳の男の子だからこれくらいかな〜」と簡単な動物の折り紙を何種類か用意していった。

すると・・・

男の子「うーん、これ全部つくったことあるよ。Youtubeで作り方見てつくったんだよ」

私「えっ!!」

えええっ!8歳の男の子はタブレットを自在に操り、Youtubeで折り紙の作り方を何種類も知っていたのだった。


それからは毎週、リクエストに答えて一緒にスターウォーズ折り紙(かなり難易度が高い)をつくったり、せっかくだからと日本語も教えた。


お母さんも親切な人で、送り迎えしながら家族の話をしてくれたり、料理を作ってくれたりした。お礼にと日本流カレーを作って持ってゆく「インドのカレーも好きだけど、日本のカレーも美味しい」と好評で、下宿してたお家に招待して食べに来てもらったこともあった。



その後私はプリンスエドワード島に移り、カナダでトータル2年4ヶ月をすごし帰国。



そして先日、その男の子からこんな写真が送られてきた。


学校で海外の国を紹介する授業があったとのこと。そこで彼は日本をテーマにしてプレゼンテーションをしたよ、とのこと。

うるっ。


当時8歳だったから今頃は10歳くらいかな。よく見ると「ポケモン」「折り紙」「スポーツ」とか項目別になっていて、ひらがな、日本地図、スカイツリーまであるじゃないか!


嬉しい。しみじみ嬉しい。


「いつか日本に来たいな。ポケモンセンターに行きたいんだ。」

うん。おいでおいで。


自分の子っていうわけじゃないけど、人生のある期間を一緒にすごした子になにか伝えることができたのかなって思うと嬉しかった。


「なにかを通して、誰かを通して想いはつながってゆくのでしょう」

っていう"to U"の歌詞が頭の中に流れた。



成長が楽しみ。

いつか再会するのも楽しみ。

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