オーストラリア留学中にネット中傷被害に合い、裁判を起こした話(1)

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2013年2月、私は知人にFacebookと出会い系サイトに自分の偽のアカウントを作られ、その偽のアカウントを使って中傷を受けるというとんでもない目に合った。オーストラリアのメルボルンでグラフィックデザインを学ぶ為に留学中の出来事だった。

嫌がらせは1ヶ月以上続き、その後も地元警察への被害届の提出、そして裁判所への申し立てと限られた留学生活の時間を事件の対応に費やすこととなってしまった。人生を変える最後のチャンスとアラサーで挑んだ留学生活は、メチャクチャになった。2年たった今も、まだ気持ちの整理はできていない。今でも思い出すと、悔しくて悔しくて怒りが収まらない。書くことで少しでもこの気持ちを楽にしたい、無かったことにはしたくないという思いから、当時私がどうやって嫌がらせと戦ったのか、嫌がらせで何を失い、そして何を得たのかを書くことにした。

(※以下、英語でのやり取りも一部を除き日本語に訳しています。)

嫌がらせのはじまり

2013年2月26日(火)

その日は午後の授業が無かったので、14時くらいに自分の部屋に戻った。携帯にFacebookから何かを通知するメールが来ており、正確には覚えていないが "アカウントの状態を確認してください。"といった内容だったと思う。今思えば、それが私の偽物のアカウントが作成されたことを警告する通知だったのだと思うが、疲れていた私は特に気に留めず夕方まで眠ってしまった。また、ほぼ同時刻、Rachel Bagerという見知らぬ女性から友達申請が届いていたが、こちらも特に気にせず無視することにした。

18時過ぎに目を覚まし、いつものように何気なく自分のFacebookを見ると、タイムラインに奇妙な現象が表示されていた。何人かの友人が、私の名前を名乗り、私と全く同じプロフィール写真を使ったアカウントと友達になったことが表示されていたのだ。正直なところ、最初はそれが何者かによって作られた自分の偽アカウントだと思いもせず、Facebookのエラーでそのような表示がされてしまっているのだと思ったくらいだった。

その奇妙なアカウントにアクセスしてみると、背景の写真まで私のアカウントと全く同じ画像を使っており、まるで私のアカウントを丸まるコピーしたかのようだった。しかし、よくよく詳細を見てみると、そのアカウントが何者かに悪意を持って作られたということは明らかだった。

1. プロフィール欄で携帯番号を全世界に向けて公開、自己紹介は"I love sex"
私はもともと人見知りで警戒心が強いということもあり、Facebookで自分の情報はほとんど公開していない。携帯番号を全体公開するなんて、絶対にあり得ない。ところが、その怪しいアカウントでは私の当時使用していた携帯番号が全世界に向けて堂々と公開されていた。そして、その携帯番号の下には一言、"I love sex" というメッセージが…絶句した。また、当時私はVictoria Market(観光地としても有名なメルボルン市内の市場)にあるジュエリーショップでアルバイトをしていたのだが、そのアカウントの勤務先はVictoria Marketになっていた。

2. 私になりすまし、HIV感染していると発言。
既に何人かの友人は、私が新しくアカウントを作り直したのだと思い、偽アカウントからの友達申請を承認してしまっていた。友人の一人は、タイムラインで偽アカウントと以下のようなやり取りまでしていた。


偽アカウント
今日は病院へ行ってきた。
友人
大丈夫?どこか悪いの?
偽アカウント
HIVに感染してた。

後でわかったのだが、偽アカウントは他の友人にもメッセージを送り、私のふりをして連絡を取っていた。

偽アカウント
ハーイ、○○(友人の名前)元気?私、日本に帰らなきゃいけなくなっちゃったあ♡
友人
えっ、そうなんだ。日本でも頑張ってね。
偽アカウント
帰る前にあなたに会えなくて残念…ねえ、○○…私、あなたと話していると胸がドキドキする♡
友人
...................................

上で書いたように、私のFacebookのセキュリティ設定は厳しかったが、一点大きなミスを犯していた。プロフィール写真を友達のみに公開に設定しておらず、全体に公開していたのだ。つまり、友達以外も私のプロフィール写真にアクセスし、プロフィール写真をダウンロード、保存できる状態だった。しかも、うかつなことに友達2人と一緒に顔を出して写している写真を使っていたのだ。

アルバイト先の情報、携帯番号が公開されていたことからも、私のことを知る何者かが中傷目的で偽アカウントを作成したことは明らかだった。そして、この時点では半信半疑だったが、私には誰がやったのか心当たりがあった。

とにかく偽アカウントの存在を周知し、友達申請が来ても申請しないように、メッセージが送られてきても相手にしないよう伝えるため、私は自分のタイムラインで偽アカウントの投稿をシェアした。また、Facebookのサポートにもこの問題を報告した。それから数時間以内に、このアカウントは削除されたようだった。後からわかったのだが、私が偽アカウントの存在に気がついたことを察知し、偽アカウントを作成した人物自身が削除したらしい。

2つ目の偽アカウント

この時どういうわけか、昼間に友達申請をしてきた見知らぬアカウント Rachel Bager が気になりページにアクセスした。プロフィール写真はきれいな白人女性の写真で、ニューヨークからメルボルンへ来たばかりだという投稿がされていた。タイムラインの投稿を一つ一つ確認していくと、以下の投稿が目にとまった。

This is my Australia number 61 xxx xxx xxx CALL ME!!
(オーストラリアでの携帯番号は 61 xxx xxx xxx です 電話してね!!)

それは、私の携帯番号だった。先ほどの偽アカウントが作成されたのとほぼ同時刻に投稿されたようだ。

頭が真っ白になった。この後しばらくの間、私は何をしていたのか記憶が無い。当時のメールを見ると、パニックになってとにかく複数の友人に連絡を取り、何が起きているのか説明しようとしていたようだ。

1時間ほどたった頃、私は状況を確認するためもう一度 Rachel Bager のページにアクセスした。そこに、Rachel Bager のページは存在していなかった。そこには、私の名前と私のプロフィール写真が表示されていた。2つ目の偽アカウントが作られていたのだ。

先ほどの携帯番号に加え、2つ目の偽アカウントにも私を中傷する内容が次々と投稿されていた。そのうちの一つが以下である。

I have a mental problem and I wish the hospital killed me. I'm ashamed to be alive.
(私は精神に問題がある、いっそ病院で殺してくれたらいいのに。生きていることが恥だ。)

頭に血が上った私は、中傷コメントのいくつかを自分のタイムラインでシェアした。そして、この2つ目の偽アカウントに以下のコメントを残した。

あなたが誰なのかはわかってるし、既に警察にも領事館にもこの件を報告しました。法廷で会えるのを楽しみにしています。

もちろん、この時点では警察にも領事館にも相談していない。ただ、根拠の無い必死の抵抗だった。

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