オーストラリア留学中にネット中傷被害に合い、裁判を起こした話【番外編】
わかってもらえない辛さ
メルボルンでの出来事をStorys.jpで公開しようと決意したもう一つの理由は、第三者に何が起きたか話すと、
という返答が返ってくることが度々あったからだ。親しい友人、特に私が中傷を受けている真っ最中にも連絡を取り、事件の詳細を理解している人はそんなことは言わない。ただ、それほど親しくない知人や友人の友人などの中には全ての経緯がなかなか上手く伝わらず、もどかしさが募った。
そして、最も私にとって腹立たしかったのは以下の発言である。
誰にレイプされるかなんてわからないだろ!?
後に本編のストーリーでも触れることになるが、中傷事件が一段落した頃、私にはフランス人の彼氏ができた(現在の夫である)。実は、本編で書いたアイの彼氏もフランス人である。
これは偶然などではない、私の夫とアイの彼氏はもともと家族ぐるみの付き合いのある友人同士で(母親同士が同郷の友人らしい)、一緒にワーキングホリデーでオーストラリアに来て私たちと知り合ったからだ。
詳細はいずれ本編に書くつもりだが、アイの彼氏の友人ということで私は夫のことも当初は非常に警戒しており、付き合うつもりなど全くなかったのだが、紆余曲折を経て現在は夫婦になった。
そんな夫と付き合い始めた頃、中傷事件が一段落したといっても裁判が終わったばかりで、まだまだ警察の捜査は続いていたのだが、何も新しい動きが無いという腹立たしい状況だった。
付き合い始めたとはいえ、常にイライラ、攻撃的で事件前とは別人のようになってしまった私に対して、夫は言葉では言い表せないほど献身的に尽くしてくれた。大げさに聞こえるかもしれないが、夫は私にとって一生の恩人である。
彼は私の気分が少しでも良くなるよう何かできることはないか、日々考えてくれていた。一緒に出かけたり、公園でのんびりしても落ち込んだままの私の姿を見て、見るに見かねたのだろう。彼は私に「アイの彼氏に会って話をしてみたらどうだ?」と提案してくれたのだ。
当時、アイは既にメルボルンを離れてイギリスに滞在していたが、アイの彼氏はまだメルボルンに残っていた。夫は代わりにアイの彼氏に言いたいことをぶつけることで、私の気分が楽になるのではと思い、友人であるアイの彼氏と私が会えるよう取り持ってくれたのだった。
その日、私たちは街の中心地で会うことになっていた。不安だった私は英語が堪能な日本人の友人(本編(9)で書いたアズサ)にも来てもらうことにしていた。まずはアズサと合流し、彼氏(現夫)とアイの彼氏と合流すると、近くのタイレストランで話をすることにした。
アイの彼氏、ママドゥ(仮名)はアフリカ系フランス人(両親はアフリカの某国出身だが、本人はフランスで出生)で、細身ですらりとしたまるで駅伝留学生のような容姿をしている。以前にカナダにワーキングホリデーで滞在していたこともあり、英語が堪能でフランス語なまりもほとんど無いため、本人が黙っていれば誰もフランス人だと気がつかないだろう。
テーブルに着いて注文を済ますと、私はある書類を取り出してママドゥに手渡した。
私が手渡した書類とは、警察、そして裁判所にも提出したStatement (被害届のようなもので、事件の経緯が時系列で書かれている)だ。
ママドゥは、最初の数ページにチラっと目を通した。そして、次のように言った。
「Mami、あの子(Deana)は病気なんだ。仕方なかったんだよ。もしかしたら君に嫉妬していたのかもしれない。」
はあーーーーーーーーー???????????
何言ってるのこの人…病気だったから仕方ない???被害にあってるのは私なんですけど??
仕方ないの一言で済ませるようなこと???
言い争いはしたくなかったが、これは直接言わないといけないなと思った。
わかってんの!?あの子がDeanaを拒否しなければDeanaは私に嫌がらせをしなかったんだし、そもそもDeanaを私に紹介したのは誰?あんたの彼女でしょ??
ママドゥは負けん気が強く、言われたら倍返しにして言い返すタイプである。
上の私の発言に黙っているわけがない。
「アイはこんなことになるなんて知らなかったんだんよ!だからアイが悪いんじゃない。」
知らなかった・・・・?この言葉を聞いて、私は完全に怒りモードに突入した。
本編(5)に書いたが、アイはDeanaが過去に別のアジア人女性とトラブルを起こしたことをしっていたのである。そして、その手口が陰湿であったことも・・・そして、何よりDeanaが精神的に問題を抱えていたことをアイは知っていたのだ。
たしかに、まさかネット上で他人を中傷するとは予測できなかったかもしれない。だが、過去の出来事、Deanaの精神状況から、明らかに少なからず問題を抱えた、他社に危害を加える可能性がある人物であることは予測できたのではないだろうか。
また、ママドゥの前では
とでも言っているのだろう。吐き気がした。人間ってなんて汚いのだろうと思った。
後日夫から聞いたのだが、アイはママドゥが私に会うと知り、
とまで言っていたらしい。あの優しそうな笑顔の裏で・・・自分の彼女の反対を振り切って会いにきてくれたママドゥにはまだ良心があったのだろう。
話は戻るが、怒りモードで話し合いにならなくなった私に対してママドゥはこう言った。
「例えば、誰がレイプされるかなんて僕らには予測できないだろ!?それと同じだよ!」
なんて酷い例えだ。だが、今回のケースに当てはめてみてほしい。
Deana:私をレイプした犯人。過去に他のアジア人をレイプしたことがあり。精神的に問題を抱えている。
アイ:Deanaの友人。Deanaを私たちに紹介した人物。Deanaが過去にレイプ犯罪を犯したことを知っていた。
こういうことになるではないか???これでも何もアイは悪くないと言えるのか???筋が通らない。
この言葉によって、私の怒りは完全に限界を超えた。もうその場に残って話を続けることなんて無理だった。私はノートを取り出し、一枚破りとるとある漢字を書きなぐって、ママドゥに手渡した。
私は「死ね」と日本語で書きなぐっていた。そしてそのまま席を立ち、その場を去った。
アズサが困って私を呼び止める声が聞こえた。夫は私を追い止めようとしたが、私はその場に残るように命じて、さっさと店から出た。
後日談:後日夫から聞いたのだが、私が店を去った後、アズサとフランス人2人でスタバに移動してお茶をしたらしい。アズサは日本人から見ても本当に可愛い女の子なのだが(眼がぱっちり、華奢でアニメヒロインのような容姿)、ママドゥはアズサにべた惚れで、またアズサと会えないか、アズサのFacebookは?としつこく聞いていたそうだ・・・。まったく・・・。
あなたの親御さんの人生を雑誌にしませんか?
著者のFouret Mamiさんにメッセージを送る
著者の方だけが読めます