3年間弁当当番だった落ちこぼれ営業マンがニューヨークへ一人旅し、帰国後1年半で営業のリーダーに昇進した話

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お前、また弁当の個数間違えてるぞ!

そんなのも出来ないのか!


っす、すいません!!!!



すいません、すいません、すいません。



この言葉を言うのは何度目か。

こんな言葉から土曜の朝は始まってしまう。


しかも土曜は休日なのに当たり前の休日出勤である。

世に言うブラック企業出身だ。


大学卒業後就職したこの会社もすでに3年。

後輩もすぐ辞める環境だったので、私はいつまでたっても下っ端。

下っ端の役割といえば、「弁当当番」なのである。


全営業30人。

みんな頼むものもバラバラで、その上細かい注文が多い。

結果、混乱し挙句の果てに弁当が1つ足りないなんて事がしばしばあった。


足りない1つの弁当はもちろん自分の分をあげた。


「弁当もろくにとれねえのかお前は」


私は弁当をあげる代わりに、いつもこの言葉をもらう。


いつかこの会社を辞めてやる。

でも、自分にはどんな取り柄があるのだろう。

結局、転職しても。。


不安ばかりの毎日だった。


その不安もそのはず。

私の成績は全営業30人中30位が定位置だった。

良くて一度だけ25位になった事がある。


成績はふるわないのだが、顧客からのクレームは人一倍多かった。

一度だけ、お客さんが会社に怒鳴り込んできた事もある。


「なんであいつが担当なの!どうなってんの!呼んできて!」


す、すいません。。
連絡もろくによこさないで何やってんの!?あんた担当者でしょ!?
以後、気をつけます。。本当に申し訳ございません。。
◯月◯日までに会社に届けるって言ったよね?なんで守れなかったの!?
はい。。
はいじゃ分かんねよ、もうお前じゃ話なんないから担当変えて!!
上司呼んできます。。


お客さんとの連絡と打ち合わせを怠った結果がこれである。


しかも、相手は温厚そうな女性。。

優しそうな彼女を声高らかに怒らせたのは、ほかでもない自分だ。


その後、上司と上司のさらに上司と平謝りだった。

結局、担当は変えられた。


会社にお客さんが乗り込んできたのは過去はじめてだと言う。


伝説のダメ男


この日から、これが影の通り名になった。

営業のくせに上手くお客さんとの会話ができない。

提案もできない。

何を求めてるかなんてさっぱり分からない。

全てはお客さんの言いなり。


恐かった。

営業するのが恐かった。


でも、なんで営業を選んだんだろう??

こんなにつらい毎日なのに??


ふと思い出した。

お客さんから信頼されて、多くの事を任される営業マンがかっこいいなと思っていたからだ。

バリバリ働く営業マン。

そんなのはカッコイイに決まっている。

でも、自分とじゃ天と地の差じゃないか。

一生そんなの無理だ。


そんな中、丸3年が経ったある日。

私は決意した。

当時、25歳の私は会社に辞表を提出した。


ののしる社員はいなかったがダメなやつほど可愛いのか。

上司は心配してくれた。


自分で言うにもなんだが可愛がられるタイプなので、最後にはがんばれと背中を押してくれた人もいる。

でも、気付いていた。


「こいつはどこに行ってもしょせん何も出来ない。弁当すらまともに注文できないんだから」


間違いなくこう思っていたんだ彼らは。

こいつらを見返す。陰ながらフツフツと思いが溢れ出す。


アッと驚かせる事をやってやろう。


海外へ一人で行ってやる。



もともと、海外に興味があったわけではない。

だが、何かしらの証を作りたかった自分はなぜかアメリカを選択した。


初海外、それも一人でニューヨークへ行ったら面白いかもしれない。

思い切って語学学校に通ってホームステイもしてみよう。

なんの根拠もなく、ただ面白そうという思いだけで決断した。


2012年10月。初めて、日本から旅立った。

13時間かけて到着したニューヨークはまさに衝撃の連続だった。


空港に着いた途端、周りはみんな外人だらけだ。

銃をむき出しにこちらを睨んでくる黒人の警備員もいた。

初日には、白タクシーというぼったくりの名物にも遭った。


ホームステイ先についても、まさかの黒人夫婦のお出迎えだ。

今でこそ、抵抗はないが当時の私からしたら十分すぎるほど

黒人は怖い。


疲れはてた私だったがそれでも初日の夜は眠れずにいた。

なんてったって、夜中に荒いだ声で叫ぶ人たちの声やパトカーのサイレンの音が鳴り止まない。


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