何をやっても中途半端の意識高い系が社長になった。第二回

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30歳手前での人生の転機が来た。

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最初に勤めていた時の会社の元同僚からの仕事の誘いだった。

元同僚
お前いまなにしてるの?
わたし
とある会社で面接官やってるよ
元同僚
それよか、もしよかったら一緒に仕事しないか?俺があのあとお前といた会社やめてラーメン屋やってるのしってるよな。その仕事だよ。
わたし
何をするの?
元同僚
俺がいまやってるラーメン屋の仕事なんだけど、知り合いの経営者がフランチャイズ化したいっていってきてるんだけど、俺一人だし共同経営って形でやれる人さがしてて、お前は絶対やれるよ!
わたし
え?!俺がラーメン屋?
元同僚
その中でもフランチャイズの方の仕事だから、今までの経験とかも生かせるとおもうんだよね。お前一緒に仕事してた時、そういった人当りとかよかったし、お前にとってもチャンスだとおもうんだ。
わたし
・・・そうかな?
元同僚
やろうぜ。
わたし
・・・うん(この人が俺を必要としてくれている人でチャンスをくれる人かも?)

あっというまに平社員で過ごしてた自分が

元同僚を中心とした、会社をつくることになった。

もちろん、甘い話だけではなく

小さいながら資本金が必要だったので50万の出資を自分はすることになり

身内に借金をしてなんとか作った。

そして、

小さいながら会社ができ

その中で自分は取締役という役付きになった。


こころのなかでは、

『(やっときた人生の転機!イメージしていた感じとはちょっとちがうけど、きっとこれが自分の人生を一遍させるチャンスなんだ!)』

そう思っていた。


いままで元同僚だった友人が社長になり

自分が部長になり

もうひとりもともとラーメン屋の現場で働いていた店長と3人で始める

会社組織の始まりである。

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いままで包丁もろくににぎったことがない人間が

いきなりラーメン屋の幹部になり

技術を覚えて

それをフランチャイズ店に指導する立場につく

もちろん生半可な、努力ではできない

時間も体力もすべてを捧げて

今ここの人生にかける思いで

技術習得に没頭した。


問題も多かったが、何とかフランチャイズ化も形になり

ラーメン屋自体も店舗展開できる程に成長していた。

社員も増えて、気づけば3年が経とうとしていた。

年も30歳を超えていた。


このラーメン屋時代に結婚もし、将来を夢見て

明るい未来がまっているとおもっていました。


そこには逃げられない現実がまっていました。


飲食店は今もあまりかわらないと思うが

基本的に薄利多売でどこもやっていると思う。

もちろんうちのラーメン屋もそうだ。

価値を高めるといったところで

所詮1杯500円から600円のラーメンをどれだけ売ったか?

どれだけ安定してお客様にきていただけるか?である。


うちがやっていたのは豚骨ラーメンである。

とにかくこの豚骨ラーメンという代物はスープ代がほとんどで

その中でもほとんどがガス代が占める。

利益なんて微々たるもので、どんどん給料はさがっていった。


部長という立場ではあるものの

毎日現場に立ち

スープをつくり

接客をし

毎日を終える

充実したといえばウソかもしれない

いつまでこんなこと続けるのか?不安ばかり募った。

社会保険もなかった。

そんなものを払える余裕が会社にはなかったのだ。

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心の中で隠れていた呪文が唱えられ始めた。

『自分は社長になる器で特別なんだ』

『俺の人生を賭ける職場ってここじゃないのかも?』

心の中の不安を正当化する

この都合のいい麻薬の言葉。



今の心の不安に対して、原因を外に向けて

一生懸命やってるんだから、報われて当然と思う

『当たり前』の精神

『自分は社長になる器で特別なんだ』

そんな自分がこんな待遇に甘んじてはだめだ!

逃避のパターンをし始める。


『将来に不安を感じて』

『家族の将来があるから』

『40歳になった時に身体がついてこなくなってからではこまるから』


すべての言訳を正当化し、社長に退社の意思を伝えた。


なにをやっても中途半端な自分ではあるが

こころの呪文を拠り所に

30過ぎての転職である。


前職:ラーメン屋 取締役部長


そんな肩書きで仕事を探す。


見つからない。

部長であろうが

取締役であろうが


結果がすべてである。

結果が出せない責任者を採用する企業なんかありはしない。



面接で過去の栄光にすがり、自分の経歴を話す。

すぐに相手の目の輝きは失われるのが分かった。

いくら自分を飾りたてた所で

本当にわかる人は簡単に看破していく。


『あなたは何をやっても中途半端な人間です』

言葉にならない視線が自分にささる。


面接に落ちるたびに

自己啓発の本を読み漁り

考え方を体に染み込ませる。



でも、実際にはなにも行動しない。

『自分は社長になる器で特別なんだ』

特別だから、チャンスがあれば自分をわかってくれる人が現れる。


そんな面接をしては落とされる、そして本を読んでは持ち直すという不毛な日々をすごしていた。


もう気概もなければ


ただ生きるためだけに仕事をさがしていた。


なんでもよかった。

生きるために。

家族を養うために。


とある企業が眼に止まる。

ネイルサロンの店舗マネージャーの仕事だ。


ネイルなんて興味もなければ

よく知らない。


でも男性でもよさそうだ。

待遇もそこまでよくもないけど、暮らしていけない金額じゃないし

何より贅沢なんていえる立場ではない。


なにより自分でも面接にいける。


すぐに応募した。




面接してくれたのも40を過ぎた男性の方だった。


過去の経歴を話、不安も話、必死に仕事がしたい想いを伝えた。


なんの自信もなかった。

ただ、祈る思いで結果をまった。


『採用しますので、一度会社にきてください』


まさかの採用だった。


30代半ばで

ネイルサロンではたらくことになった。


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何をやっても中途半端の意識高い系が社長になった。第三回

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