何をやっても中途半端の意識高い系が社長になった。第四回

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チャンスの神様って

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よく自己啓発本ばかりよんでいる意識高い系の人間だったので

チャンスの神様の話を何度となく読んでいた。


チャンスの神様は前髪しか髪がないから

いまだとおもったときにつかまえないと

後ろ髪がないつるっぱげだから、捕まえられない。


チャンスとおもったときに動けないと、準備してからではダメだ


という内容だったと思う。


はたして、今回の選択はチャンスなんだろうか???


自宅にもどり妻に相談する。


わたし
かくかくしかじかで、転勤の話があるんだが・・・
え??まだ仕事かわって日も浅いし、まだ子供小さすぎるのに引っ越し??無理でしょう。
それに今までだって大変だった店舗なんでしょ?それを貴方がやるの?リスクが高すぎるわよ。
わたし
それはそうなんだけど、チャンスでもあるわけで・・・
言いたいことはわかるけど
何より今は何の保証もないんだから安定を選ぶべきよ。
わたし
・・・・・じゃあなにか?俺には無理ってことか?
だからそういうわけじゃないけど、リスクが高すぎるって話。
わたし
うるさい、もういい。


応援してくれないまでも、一緒に考えてくれるスタンスをとってくれると思っていたが

リスクリスクという妻がこの時はうっとおしく

チャンスの神様の話ばかりが頭の中でくりかえしていた。

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そしてこれだから自己啓発をしてない人間はだめなんだと

妻すらも見下していたと思う。


その結果、意固地になり

会長の申し出を受けることにした。

ほぼ独断で決めた形だ。


最後は妻も渋々ではあるが、了承してくれた。


そんなこんなで、愛着もわき始めた店舗を離れ

新天地で統括マネージャーに向けた動きがはじまりだした。


妻は引っ越しの関係などでしばらく地元に残し

短期の単身赴任という形で

ビジネスホテル暮らしが始まった。


単身赴任の始まり

3店舗あるうちでとある1店舗マネージャーにまず据えられて

ほかの2店舗との連携を図りつつ地固めをする。

そういう位置づけで仕事が始まる。


統括マネージャーというのは実際もう少し先の話である。


もちろんそこは自分自身でも理解していた。

まだなにも実績も残してないからである。


任された店舗のマーケティングから人事の相談など

レイアウト変更やサービプランの見直し

多くの事をテコ入れし

会長の期待に応えようとした。


ネイリストのお仕事は基本的に

電話などで予約をうけつけ

1回の施術で2時間から4時間程度の時間がかかり

代金も3000円~1万円が相場だと思う。


そうなってくるとどれだけ予約をうまく組めるか?

事前に予約したくなる店舗の魅力を打ち出せるか?

そういった事が重要になってくる。

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私がこの地区に来た時の予約状況は、予約表という紙をつかって

管理するんだが、スカスカでド暇な状態だった。

その中でも任された店舗まだマシなほうだった。

他の2店舗は完全に閑古鳥が鳴いている状態だった。


そこで自分はまずは自分の店舗で実績をつくって

自分の実力を認めてもらえば

ほかの店舗の人もわかってくれると思った。


問題・障害も多くあったが、なんとか予約もうまりだし

結果も残せるようになってきた。

反面、他の2店舗はあまり変化のない状態だった。


そんなある日問題が表面化した。


私の店舗は忙しく、予約が溢れるほどの問い合わせな状況になった。

そこで、暇な店舗から空いているネイリストをヘルプで来てもらい

予約をうけるというシステムを使った。

これは昔からある慣習で、相互でカバーしあう助け合いの精神で

できた仕組みだった。


いつもそこまで予約が入ってない店舗に電話をしてみる


わたし
いついつの日なんですが、一人こちらにヘルプをいただきたいんですが。
他店マネージャ
・・・あぁ、その日は無理だね。
うちも忙しいから、無理無理。
わたし
そうですか。わかりました。ありがとうございます。

心の中では『うーん可笑しいな?いつも予約空き空きじゃないか?』と思いながらも

まぁ忙しいのはいい事だと思い。

問い合わせいただいお客様にお断りして、その日を迎えた。


その地区では各店その日一日の予約状況を閉店後に紙の予約表をFAXする

という習わしがあった。

そうすることで、忙しい店舗と忙しくない店舗との差がみえるのである。


するとどうだ、ヘルプを断った店舗の予約表は明らかにスカスカである。

怒りの感情が沸き起こった。


すぐに連絡をとった。

わたし
今日の予約はどういうことですか?こんなに空き空きならヘルプ出せたでしょう!
他店マネージャ
ああ、あれね、元々は予約はいってたんだけどキャンセルになっちゃってね。それにまってたらお客さんくるかもしれないだろ?
わたし
でも、キャンセルになったんだったら教えてくれてもいいんでは?
他店マネージャ
はぁ???お前何言ってんの?
大体お前何様なんだよ。
わたし
何様とかそんな問題じゃないでしょう!
他店マネージャ
うるせぇよ、大体目障りなんだよ。
急にやってきて、うちらの輪を乱すんじゃねぇよ。大体何が統括マネージャーだよ。だれもお前なんかの指示に従わないからな。
わたし
赤字だしといてよくもそんなことがいえますね。しかもこれは会長からの辞令ですので!
他店マネージャ
はぁ??会長がどうした?
仕事してんのウチらだし、お前一人が頑張ってもうちらの一声で誰も動かないからな。
わたし
・・・『(こいつバカすぎる、話にならない)』

このマネージャーは本当に腐っていた。

怒りに震え、もう一店舗のマネージャーに電話してみた。

すると、びっくりする答えが返ってきた。

『そこまでわかってるのならいうけど、あいつだけが思ってるわけじゃなくて皆の総意なんだ、笠原君の居場所はここにはないよ』

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すべてがバカバカしくなった。

コイツらがやってるママゴトに躍起になっていた自分が

心底バカらしくなった。

この歳になってまさかのイジメみたいなことにあるとは思ってもなかった。


すぐ、その日の晩に会長に電話をした。

会長は自分が赴任してから、本社にもどっていた。

わたし
かくかくしかじかで・・・もうやっていけません。
会長
・・・・・そうか。
わたし
もう地元帰ります。
会長
分かった。明日、俺の所に来い。
わたし
え?明日はまだ勤務が・・・
会長
いいからすぐにチケットとって来い・・・プチッ

その日はほとんど怒りとバカバカしさで眠れなかった。

朝一のチケットをとって、本社に向かった。


豪快な会長が笑顔で待っていた。

会長
ガッハハ!笠原よく来た!
大変だったなぁ!
わたし
はぁ・・・
会長
まぁしばらくはこっちでがんばれ
わたし
え?本社でですか?
会長
そうそう、こっちならあんなクソみたいなシガラミないし、気楽にやれる、何より俺もいるからな!また豪快に飲みに行こう!
わたし
はぁ・・・


妻には事後報告になったが、転勤は中止になった事

しばらくは本社勤務で単身赴任(1か月程度)がつづく事

それを伝えると、意外とあっさりとわかってくれた。


今思えば、妻の言っていた通りだと、意固地になった自分を深く後悔している。



その後、本社でしばらく勤務していた時に、自分が居た地区は

会長の判断で知人の経営者に3店舗とも身売りする事になった。


風のうわさで聞いたが、しばらくは経営者が変わったことでおとなしくしていた

スタッフやマネージャーたちだったようだが

経営者の方が当然一枚も二枚も上手で、マネージャーたちはことごとくクビになったと聞いた。

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ざまぁみろという感情が湧き上がってくるのか?

といえば、何も起こらなかった。

どうでもよかった。

ただ一つあるとすれば

『そらそうなるわ』だけだった。

無関係の無関心で虚しさだけが残っていた。


そうして、また転機の時期だ。


会長
名古屋に店舗をだそうとおもおうんだけど、どうだお前やってみないか?
わたし
新店舗ですか?
会長
そうだ!ゼロからつくるんだ。
わたし
名古屋ですか?
会長
どうせ引っ越す予定だったんだ、名古屋もいっしょだろ?
わたし
(一緒ではなけども・・・)はぁ・・・
(でも新店舗は魅力的だなぁ)


妻とも相談する形ではあったが

ゼロから作る事

その他の条件面も考慮しながら

なんとか名古屋出店での転勤については前よりはスムーズに了解してくれた。


本社から名古屋へ向けて事態が動き出した。

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何をやっても中途半端の意識高い系が社長になった。第五回

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