76歳の父が18歳の娘に語った、生き甲斐、人生。

高校3年生になって進路に悩んでいた。どうしても芸術系の大学に行きたかったのだが、母が失業した。それからというもの働かずにずっと家にいる。よって高校の学費、大学の学費全てを自分で賄うこととなった。芸術系の大学は学費がとても高く、年間200万も払って進学しよう。とは到底思えなかった。何も勉強は大学でしなくてもいい。でもそんなことを言えばそもそも大学へ行く必要なんてあるのか?
いろいろな思いが交錯していた。中には気合いで払え!と言う人も、社会へ出ろ!と言う人もいた。どれもしっくりこなかった。
そんな中、家を出た父と話す機会があった。悩み相談なんてしたことがなかった。でも、人生の選択を身内にしてみるのも悪くない。と思い切って相談してみたのだ。返ってきたのは涙が出るほどカッコいい意見だった。

学費なぁ。お金なんてな、後から返せばいいわ。いくらでも借りたらええ。
でもな、これだけは言えるわ。
お父さんが若い頃な、宝石店で働いとってん。そこな、社長が早稲田で社員が慶應の奴ばっかりでな、お父さんみたいな三流私大の奴なんておらんかったわ。景気は良かったわ。でも、お父さんな転職してん。そしたらやで、そこすぐ倒産したんや。あんだけ羽振り良かったあいつらがやで。無職になって金なくなったら早稲田もくそもあらへんわ。どうしてんやろうなぁ。

今、お父さんマンションの管理人なんてやってるけどな、掃除のおじさんな、昔は大企業で年収2000万はあって退職金もたんまり貰いよったわ。そいつは立命館卒や。でもな、掃除のおじさんなんてやっとんねん。なんでやねん?って聞いたらな、家におっても嫁に追い出される、でも何をしていいかわからへん。ってな言うねん。贅沢できるだけの金はあるんやで?

お父さんなぁ、もう76やけど働くの辞めよう。って全く思わへんねん。だって暇で暇でしゃーないもん。働くのが好きなんやわ。
人生のうち、どんなくだらんもんでもな、夢中になれるもの見つけて胸張って働け。人間夢中になれるものなかったら、悲しい。虚しい。でも、そんなんに学歴も金も関係あらへんわ。ここまで来るとな、そんなんホンマにどーでもええわ。だからな、後悔だけはしたらあかんで。お金とか学歴とかそんなもん見とったらあかん。ホンマにこれや!思うこと、見つけ。そしたら自然と答えが出るわ。

私はこの人のことを心底カッコいいと思った。

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