みんなにチョコを配ってた女子からさえも、チョコをもらえなかった男子の話。

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小学生の頃、

バレンタインデーが、一年で一番嫌いな日になりました。


小学生になった頃から、バレンタインデーの存在を意識し始めました。

正確に言うと、意識させられはじめました。




「これ、いらないんだよなー。」

「気持ちわりー。」

と口では言いつつも、ニヤニヤしながら

女子からもらったチョコをかばんに入れてる友達が増えたから。

僕の真横で、チョコレートを女子から手渡しされてる友達がいたから。

弟さえも、チョコレートをもらって帰ってきていたから。



肥満児教室から声がかかるほど(笑)太ってたせいか・・・


運動神経0だったせいか・・・


魅力がなかったせいか・・・


その全てが当てはまってた僕にチョコレートをくれる人なんていませんでした。


6年間ずっと、淡い期待はしてみるものの・・・



机の中や靴箱を気付かれないようにチェックしてみるものの・・・

わざと放課後に残ってはみるものの・・・

チョコレートが入ってることはありませんでした。


平気な顔をして、家に帰ると母がいつも言ってた言葉。

お母さんから、もらえて幸せね


慰めのつもりだったのかもしれませんが、寂しさが倍増し

思いっきりスルーしてました。


だから、小学5年生のバレンタインデーの日も、朝から憂鬱でした。


一応、靴箱はチェックするし

一応、机の中もチェックしましたが

当たり前のようになーーーんにも入ってません。


何もないまま、昼休みになりました。




毎年恒例の、「一年で一番男子が教室に残っている昼休み」でした。


その時、胸が高鳴りはじめました。

なぜなら、端から順番に男子に義理チョコを配ってる女子がいたから!


別に、その子のことを好きだったわけでもなんでもありません。

だけど、生まれて初めて同級生からもらえるチョコへの期待で胸が高鳴りました。


いや、でもちゃんと選んで配ってるよな…

最初はそう思ってました。


「期待しない方が、傷つかなくて済む」

そう思ってた僕は、もらえなくても傷つかないように

必死でもらえない理由を考えていました。


しかし・・・

えっ!あいつにも配ってる。
あっ!あいつにも配ってる。
これは、僕ももらえる。

だんだんと期待が膨らんでいきました。


帰ったら、お母さんに見せよう!
驚くだろうなー。
みんなに配ってたのは、内緒にしとこう・・・

いつのまにか、もらった後のことまで考えていました。


そうこうしているうちに、



僕の列の先頭にその子がチョコを配りはじめました。


列の先頭・・・

2番目・・・

3番目・・・

僕の前の席・・・


いよいよ・・・

・・・

・・・

僕の横をその子は素通りしていきました。

僕の順番は飛ばされました・・・。


もしかしたら、チョコがなくなったのかも?

と一瞬だけ思いました。


だけど、すぐ後ろの席から

その女の子の「はい。どうぞ。」の声が聞こえてきました。





その瞬間、消えてなくなりたくなりました。


もしかしたら、

みんなから「かわいそうな目」で見られてるかもしれない。

みんなから「あいつだけ・・・」と噂されるかもしれない。


今日、来なきゃ良かった・・・。

昼休み、外に行けば良かった・・・。


沢山の後悔が襲ってきました。




その日の帰り、友達はそのことには一言も触れませんでした

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