それは神がかり的な出会いから始まった~その9

それは神がかり的な出会いから始まった~つづきの話


偶然の出会いから始まった話には、まだまだつづきがあり、素晴らしい展開がありました。

中国から帰った数年後、ガイドのEさんと久しぶりに会うことになりました。

中国での懐かしい思い出話をひとしきりした後、話はEさんが残留孤児の母親と中国から日本に、初めて来たときの話題に。

「日本に移住していたとき、日本語は話せたんですか?」

「いえいえ、全然でしたよ。

 市のほうで用意してくれた日本語教室に通って、一から先生に習ったんです。

 若くてステキな男の先生でした。憧れの人です。

 今はどこで何をしていらっしゃるのか……」

男性教師と聞いて、ふと私の頭に思い浮かんだ人がいました。

主人の同僚で国語の先生だったK先生です。

中国語ができる人で、たしか中国残留孤児の方々にボランティアで日本語を教えていたとか…。


「もしかして、その先生はKさんという名前じゃなかったですか?」

「えっ!!なんでK先生を知っているんですか?

 そうです、私、K先生に日本語を教えてもらったんです!」

「K先生と、うちの主人は以前同じ学校の同僚だったんですよ。

 うちにもよく遊びに来ていて、今でも連絡を取り合っているんです」


私とガイドのEさんは、お互いを見つめ合いポカンとしてしまいました。

神がかり的な出会いは、義母の満洲里帰りだけでなく、Eさんの恩師ともつながりがあったのです。


その後、K先生に連絡を取ったら、Eさん親子のことをよく覚えていました。

「私が日本語を教えた中国残留孤児第一号が、Eさんだったんです。

 中学生だった彼女も、もういい大人なんでしょうね~」


Eさんが、恩師のK先生に再会してはじめて、私たちの神がかり的な出会いは完結するのでしょう。

30年ぶりの再会を楽しみに、このお話の幕を閉じたいと思います。


全9話、最後までお読みいただき、どうもありがとうございました!










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