(4位)音速は秒速340メートルですよ。

音速は秒速340メートルですよ。


  私は長女が生まれた時に、

「この子の父親として恥ずかしくない生き方をしなければ」

  と思った。


  雷が鳴ると、光ってからしばらくして音が聞こえる。音の速さが光の速さより遅いという事実のためだ。中学校で習ったと思う。本当は、音の速さの方が速い方が助かる。音が聞こえたら身を伏せて、落雷のリスクを少しでも減らせるからだ。

  しかし、自然の法則にさからってもムダなことだ。科学技術のめざましい進歩は、数々の物理法則を調べてそれに「従う」ことから始まる。自分に都合の良いように利用するには、従うことから始めるしかない。

  これは、受験にも言えることだ。数が少ないので、出会う機会はあまりないかもしれないが東大や京大に合格する子が人格のすぐれた聖人君子であると期待すると現実と違うことを思い知るはずだ。

  私は四日市高校で、全国で5本の指に入るような秀才が隣の席だった。特に親しいわけではなかったが、1年間の言動は見ていた。その後も、名古屋大学からアメリカへ渡り教育畑を歩いてきて秀才と呼ばれる人と話す機会にめぐまれた。


四日市高校


  そして、現在多くの「秀才」の指導をさせてもらっている。全員ではないが、「変わっている」と言われる子が多い。少数派だから、当たり前のことだ。

  最近は、塾講師をしている関係で私程度でも

「先生は賢い」

  と言われる。公立中学校で学ぶ平均的な生徒から見ると、そう見えるのだろう。仕事柄、

「どうしたら、英検1級に合格したり京大で合格点がとれるの?」

  と尋ねられることが多い。私は正直に、自分が何をしたのか話してあげる。仕事の一部だ。そして、そういう行動をとるための生活態度も教えてあげる。受験とは、生き方そのものだからだ。

  英語だけに限って言うと、

「難関校に合格するには6000語の単語が必要」

  と言うと、

「それって、毎日7個ぐらいを覚え続けること?」

  と嫌な顔をされることがある。長文問題について尋ねられるから

「長文問題対策には、毎日長文問題を1題はやること」

  このように、多くの合格者がやっている事実を教えてやると

「それでは、1日中勉強ばかりになってしまう!」

  と言われる。

「両立できないなら遊び、デート、生徒会、クラブなどは諦める」

  と告げると、大抵は反発される。

「そんな非人間的な生活するくらいなら、高額でも私立にする!」

  と言う子もでてくる。


名屋大学

http://www.nagoya-u.ac.jp/

  つまり、それは

「音が秒速340メートルで進むのは許せない」

  と言うのに等しい。事実が気に入らないから、自然界の法則を自分に合わせるように要求しているようなもの。もちろん、通るわけがない。先人は「苦い薬は良く効く」と言った。

  嫌でも、まず「従う」ことから始めないと何も始まらない。中には、事実を語る私を個人攻撃してくる人までいる。大袈裟に言うと、ガリレオが地動説を語ったら、教会から訴えられたようなものだ。


「それでも地球は動く」(それでもちきゅうはうごく、イタリア語:E pur si muove エ・プル・スィ・ムオーヴェ または Eppur si muove エップル・スィ・ムオーヴェ)は、イタリア天文学者ガリレオ・ガリレイが、1633年に開かれた2回目の異端審問宗教裁判)の際につぶやいたとされる言葉。

ガリレオは1632年、地球が動くという旨を書いた著書『天文対話』を発刊した。それに対する罪で1633年に裁判が開かれ、有罪が告げられ、地動説を放棄する旨の異端誓絶文を読み上げた後につぶやいたとされる。


  地元の北勢中学校も、東員第二中学校も、四日市高校の合格者は今年も去年も1名だ。これは全校生徒の1%以下だ。その四日市高校で旧帝に合格できる子は、上位の2割以下。つまり、こういった理屈を理解して利用している子は全体の0.2%という状態。

  少数派は黙るしかないが、何百年も経つと地動説が常識になったように魔女裁判も終わるのだろう。大人だったら、

「結婚すると淋しさは減るが、自由は失われる」

  くらいのことは受け入れる。現実だからだ。両方は得られないことを知っている。受験も同じことだ。難関校に合格したいのなら、友人は自分を理解しないことが多いので友人から離れなくてはならないことが多いのだ。変人と呼ばれても、受け入れるしかないのだ。


 





 私は、酒・タバコ・ギャンブル・女遊び・ゴルフなどをやらない代わりに、英語や数学の勉強をしてきた。同年代のオジサンから付き合いが悪いと思われているだろう。

  両方を得ることは、できない。

「酒もタバコもやめたら人生に何の楽しみがあるのだ!」

  と言うのなら、それがその人の選択。私は何も言わない。生徒も、

「人付き合いが人生で一番大切」

  と言う子もいるだろうから、それならそれで良いことだと思う。しかし、そういう人や子が知的な職業で成功する確率は低い。もちろん、人生は学歴だけではない。

  しかし、正社員になる人の確率は高学歴である事実は厳然とある。

  その事実を私は小学校の頃に知った。中学校から高校にあがる頃に、歴史上の人物に興味を持ち、大学では歴史小説マニアだった。そして、歴史に名前の残る人たちの行動原理が何か興味を持った。

  社会に出てから、その行動原理に従って働いた。アメリカに渡れたのも、英検1級に合格できたのも、京大二次試験の数学で7割取れたのも、その原理のおかげだと感謝している。

  現在、塾講師として私の指導に耳を傾けてくれる子がいるのは、そういう実証があるからだと感じている。



賞状  賞状 賞状

英検1級、 通訳ガイド、 国連英検A級



  世間では、受験指導というと「詰め込み」の無味乾燥で強制的な「嫌なこと」だと思われている。しかし、勉強を楽しいと感じている子たちも多い。少数派だから、無視されているだけだ。

  しかし、そういう経験者の言葉ではなくて「暴走族講師」や「ヤンキー講師」の言うことに耳を貸せばいいとは言えない。IT危機を用いても、動画授業を受けても効果がないことはそのうち知れ渡るだろう。

  受験とは、そういうテクニックの問題ではない。「生き方」そのものなのだ。ゲームが大好きで、ゲームのクリエイターになる人。野球が大好きで、プロをめざす人。そういう生き方そのものなのだ。

 「この世の現象すべてには、原因が必ずある」

  と信じて、それを解明せずにはいられない。論理的なもの以外は受け付けない。そういう信念にもとづいた生き方なのだ。そう考えれば、京大合格のためのベストの方法を探るために50代で京大を7回受けても全く変な話ではないことが分かるはずだ。




  私のやっていることなど、スケールがちっちゃい。織田信長は、むごい戦国時代を終わらせたかった。坂本竜馬は、貿易の邪魔になる江戸幕府を終わらせたかった。

  結局、抵抗勢力のために殺されてしまったが、自分に恥ずかしくない生き方をしたのだろうと思う。

 

  私も、娘たちの期待に応えたい。たとえ途中で倒れても、自分に恥ずかしくない生き方をする方が大切だ。


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