レイテ島、パロ高地にて戦死。高木重雄、光男(2)

レイテ島、パロ高地にて戦死。高木重雄、光男 (2)

  フィピリンのレイテ島で重雄おじさんは、奥さんと子供のことを考えていたことは想像に難くない。光男おじさんは、独身だったそうなので私の今踏みしめている阿下喜の地を想っていたのだろう。帰りたかったに違いない。

  もし、吹っ飛ばされるのではなく苦しみながら亡くなっていったのなら間違いなくここ阿下喜で平和に暮らすことを夢見ながら亡くなっていったのだろう。

  「一所懸命」[イッショケンメイ]は、「昔、武士が賜った『一か所』の領地を命がけで守り、それを生活の頼りにして生きたこと」に由来したことばです。これが「物事を命がけでやる」という意味に転じて、文字のほうも「一生懸命」[イッショーケンメイ]とも書かれるようになりました。今では、「一所懸命」よりも「一生懸命」と表記・表現される場合が多くなっています。

 私の塾生の子たちは、毎日「一生懸命」に勉強している。勉強のできる子に共通した姿勢だ。私自身、入院騒ぎを起こすほど勉強した。そして、当たり前のことに思い当たる。

 サムライや戦前の軍人の生き残りが、明治維新を実行し奇跡と言われた戦後復興を成し遂げたのは当然なのだ。文字通り、作戦を誤ったら死ぬしかない過酷な状況で生きていた人たちだから。

 受験勉強をしていたら、必ず壁にぶち当たる時が来る。その時に
「教え方が悪い。参考書が悪い」
 と言うのか
「何がなんでも乗り越える」
 と言うのか。

 私は生徒たちを見ていて悟った。
「結局のところ、動機づけだな」
 朝方か夜型か、A問題集かB問題集か。そんなこと、どうでもいい。受験はそんなテクニックで乗り越えられるものではない。

「絶対に合格する。どんな犠牲を払っても合格する!」
 こういう強烈な思いの子には、なかなか勝てるものではない。エジソンも言っているではないか。

 Genius is one per cent inspiration and ninety-nine per cent perspiration. 天才とは99%の発汗であり、残りの1%が霊感である

トーマス・エジソンの名言・格言

  私が「オリジナル」「チェック&リピート」「1対1」を2周やり、Z回を8年間続け、京大模試を10回受け、センター試験を10回受け、京大二次試験を7回受けたことを驚く人もいるが、こんなことは塾講師として当たり前。才能がない証拠にしかならない。

 英検1級、通訳ガイドの国家試験、国連英検A級、ビジネス英検A級の方は少し才能が関係していると思う。しかし、大したことはない。

 私には生まれて間もなく亡くなった二人の兄がいた。二人の亡くなった伯父さんがいる。自分が平和な社会の中で健康で生きていることに感謝していた。
「一生懸命に生きないと、チャンスを与えられたのに申し訳ない」
 そういう強い思いがあった。どんな壁にぶち当たっても倒れてなんかいられない。
    受験など、しょせん命がけではない。戦時中のような過酷さはない。しかし、その平和な競争を命がけの気魄でやる子がいるのだ。ノンビリやる子、全生活を賭けずにやる子が勝てるわけがない。

 どんなに立派なレストランを用意しても、最新の視聴覚教室を用意しても、ヤンキー講師を招聘しても、何をやろうと生徒本人が「一生懸命」にならないと意味はない。
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  それどころか、そういう恵まれた環境が学生をダメにする場合も多い。金持ちのバカ息子やバカ娘の例が多い。豊かな生活は悪いものではないが、人間を堕落させることが多い。
 そういう環境にあっても、驕らずに頑張れる人は少ない。

 どんな偉人伝を読んでも共通していることは明らかであって、憑かれたように没頭する姿勢だ。他人には狂ったように見える場合もあるほどの決意だ。
 
 ところが、この真実を口にすると反発されることが多い。だから、私は一部の子にしか伝えない。多くの人は、この自発性ではなく「強制」されることを望む。勉強は嫌なことだから、強制するしかないと考える。
そのような人に語っても時間とエネルギーのムダになる。

 A子ちゃんだけではない。成績がトップクラスの子は自発的にやる。時には宿題や学校の指示も無視して効率を追及する。私は実際に、そういう子に何人も会った。指導させてもらった。

   今、日本では高校は可愛い制服で生徒を集めようとしている。大学は美味しくて美しい学生食堂や設備で学生を集めようとしている。塾や予備校は暴走族講師を雇い、タレントのCMで生徒集めに必死だ。明らかに異常だ。

博多女子高等学校(福岡県)

「あとは頼む」
 と言い残して敵に突入して亡くなっていった先人たちに顔向けできない。こんな状態では、犠牲になられた先人の方たちに申し訳ない。
 
    しかし、そんなことを言っても老人の繰言なのだろう。私も若い頃は若気の至りをいっぱいやった。豊かになった国は、気持ちが緩んで没落していくのは嫌というほど歴史に見られる。

 人というのは、そういうものなんだ。


     右から重雄おじさん、光男おじさん、父、数男おじさん

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