自分探しをしていたニートが試しに3日間山籠もりをしてみた。~第三話 ずっと一人で山に~

前話: 自分探しをしていたニートが試しに3日間山籠もりをしてみた。~第二話 山籠もりスタート~
次話: 自分探しをしていたニートが試しに3日間山籠もりをしてみた。~最終話 山籠もりをして分かったこと~

清々しい朝


キャップ場での朝。

自然の中での目覚めは最高。

低血圧の岩間でもとてもすっきり目が覚めた。

天候は雨。

この日は、山を散策しようとしたが、遠くに行かず、キャンプ場で過ごそうと決めた。

とりあえず、朝ご飯のカロリーメイトを食べて、テントの中でじっとしていた。

携帯は電波が悪くほぼ使えず、本も持ってこなかったため、何もすることがない。

何をしようと不安になったが、「まぁせっかくだから」と何も考えず、テントに当たる雨音をただ聞いていた。


情報過多社会。

たまには、こんな瞬間があってもいいのかもしれない。


久しぶりの人との会話

午後になり、雨も止んできたので、外に出た。

自然の空気を吸いながら、キャンプ場をふらふらと歩いていた。


登山客がちらほら横の道を歩いている。

すると、キャンプ場を行ったり来たりしているご婦人がいた。


「なんだろう?もしかして、テントしていることを注意されるのか?」

と不安になった。

ご婦人が近寄ってきた。

ドキドキしていると、ご婦人が声をかけてきた。


ご婦人「あれ?学生じゃないのね?」

岩間「違いますが。。。」

ご婦人「そうなの!てっきり高校生が家出してきたのかと思ったわ!良かった!」

岩間「そうですか。。。(ここは、家出の聖地なのか?)」


そして、ご婦人が近くの自販機でコーヒーを買って、

「頑張ってね!」

とコーヒーをくれた。


何を頑張るのか謎だったが、(それは置いておいて)久しぶりに人と会話し、人の温かさを感じた。

少しの気持ちがこうも幸せなものなのかとしんみりしていた。


ドキドキの夜


そうこうしているうちに空も暗くなり、夜が近づいてきた。

夜ご飯は、持ってきた魚の缶詰とみそ汁。

外で食べる缶詰とみそ汁は格別だった。

環境が違うだけで、美味しさが違っているというのも不思議だ。


食べ終わり、テントの中でまたじっとしていた。

そろそろ寝ようかと横になるが、やはり石との戦いが再び始まった。

痛くて寝れなかったが、また時間が経てば寝れるだろうと油断していた。

・・・寝れない。どうしても寝れない。

昨日は疲れていたが、今日は特に動いてないから疲れていない。

そりゃ寝れない。


寝ようと頑張っている時にそれは起こった。

「カランカラン」

(ん?)


「カランカラン」

(ん?なんだ?)


外から聞こえた。


(この音は、缶詰の音?)


「カランカラン」

・・・嫌な予感が。

確実に誰かが缶詰を動かしている。


(まさか熊?!)


やばい。恐れていたことが起こった。

山籠もりのルールにもあった”熊に出会わないようにする”

これが現実になってしまったのか。

(これはどうしたものか?気づかれたら、テントを破かれて、襲われるのでは!どうしよう。。。)


「カランカラン」


この音を聞くたびに恐怖が襲ってきた。

熊に襲われた時のシミュレーションを考えた。


①熊がテントを爪で破く。

②破かれたテントの隙間から熊が見える。

③目が合う。

④熊が吠える。

⑤岩間が怯える。

⑥岩間は目を閉じ、死んだふりをする。

⑦熊去る。

⑧岩間生き残る。


(生き残るストーリーはこれしかない!)

ずっとシミュレーションしていた。

生き残るため、何度も何度もしていた。

・・・そうしていると、奇跡が起こった。


ずっと寝れなかったはずがなんと恐怖で疲れたのか、いつの間にか寝ていた。

気づいた頃には、「カランカラン」という恐怖の音はなくなっていた。


「生き残った。」

そう、岩間は恐怖を乗り越えて、生き残ったのである。

岩間は、安堵感と達成感で再び眠りについた。

(あとで調べたら、高尾山には熊はいなく、あれはイノシシだった可能性が高い)


そうして、山籠もり2日目の夜は明けていく。

続きのストーリーはこちら!

自分探しをしていたニートが試しに3日間山籠もりをしてみた。~最終話 山籠もりをして分かったこと~

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