パプアの森の勇者デメギョの復活(アトピー地獄からの脱出) 2

気持ちは上向いてきたけどアトピーはまだあまり変わらず、顔や首は赤いしブツブツだらけ、薄〜くステロイドも使っている、夜は眠れず睡眠導入剤が欠かせない。

でも心と体はつながっている、何かつかめそうな気がする、今まで見えてなかったものが見えるようになるメガネがアトピーではないか、アトピーを通してしか見えないものがあるはず。

そんな時、アレンジの注文が入り配達という事になった。

ちょうど大崎医院の自宅前を通る、気になっていた、10数年お世話になっていたが、 半年前ぐらいから注文が入らなくなっていた。おそらく別の花屋さんに乗り換えられたんだろう。

しかし、長く可愛がっていただいた奥さんに一言お礼を言いたかった。

ちょこちょこ通った勝手口も今となっては行きづらい、突然伺うのは迷惑ではないか迷った。

しかし、僕の中のデメギョが、気になっているなら行くべきだ、何の迷惑になる事があろか、お礼を言うだけだろうと背中を押す、白いポンポン咲きのガーベラで小さいブーケを作り、大崎医院自宅の勝手口のチャイムを押すした。

いつものように奥さんが出てきた。

「あら、大久保さん久しぶりね。」

ちょっとびっくりされていたが、迷惑そうな顔には見えない。

「長い間お世話になってありがとうございました。また何かご用がありましたらよろしくお願いします。」と、ガーベラのブーケを渡し頭を下げた。

「あら綺麗ね、ありがとう。」喜んで受け取っていただいた。

また、深々と礼をして車に乗り込み配達に向かった。

店に戻り仕事をしていると、お水っぽい女性、いや、ゴージャスな女性が来店した。

「おたくが、大崎医院の奥さんのお気に入りの花屋さん。」

もう半年前から仕事を切られているから、正直言えばお気に入りじゃない、しかし出た言葉は。

「はいそうです。いつも大崎医院さんには可愛がっていただいております。」

「そう、だったら今日医院長の誕生日だから、奥さんの好みで一万円の花束を届けてくれる。」

一万円の花束なんて年に一回あるかないかの注文、有難い。

「じゃあお願いね。」領収書を渡すと、結構な自己主張、いや、香水の匂いを残して去っていった。

数時間前に押したばかりの勝手口のチャイムを再び押した。

「医院長先生に花束のお届けです。」

「まあ綺麗、素敵。」奥さんは上機嫌だった。

「ありがとうございます。」頭を下げ店に帰った。

次の日、居酒屋どさん娘のママがやって来た。

「私ね、忘れてた、大崎医院の医院長の誕生日、昨日だったの、今から五千円のアレンジ作ってもらえる、私が持って行くから。」

急いで作ったけど、良い感じのができた。

「良いわね。」ママは、喜んで持って行った。

なかなか行きづらかったけど、デメギョに背中を押されてお礼を言いにいったら、倍になって帰って来た。

金額にすると¥1500の小さなブーケが¥15000になった、0が一つ増えたのだ。

お供えをしたらご利益あったというか、笠地蔵というか、お供えをした御本尊からではなく、別のところから来たのだ。

風が吹けば桶屋が儲かるとも違うか、とにかく世の中の仕組み、見えていなかったものが見えた。



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