第二十四章 「本当のことを言え!」

第二十四章

「本当のことを言え!」 

  私は大学に入るまでは

「大学に行けば何でも分かる」

 と学問に絶大の期待を持っていた。サイエンスはこの世の全てを解明しているのだと信じていた。心理学を学べば、人の心は理解できると思っていた。そうでなければ、

「あの人の心は故障しているから、犯罪を許してあげましょう」

 なんていう精神鑑定が成立しない。

 ところが、名古屋大学の教授に会って授業を受け本を読んだら

「なんだ、コレは?すべてデタラメではないか」

 と思った。意識や知能といった基本的な概念でさえデタラメ。つまり、学者によっていろいろ説がバラバラ。普遍的な定義さえない。分かりやすく言えば、勝手に思いついたことを話しているだけ。それを支えるデータがない。

  精神鑑定に用いられるテストでさえ、よくて統計的な支えがあるだけ。つまり、数学的に言えば相関関係がいいところで因果関係の説明などいっさいない。

 

 カウンセラーは心理学系が多いだろうが、心療内科という医学系もある。それで、医学的なアプローチならもっと科学的かと本を読んだり人から話を聞いたら、脳の働きは謎、なぞ、ナゾの連発だった。つまり、何も分かっていない。

 脳どころか、生命が何かさえ分かっていない。

「同じ原子で出来ているのに、どうして人は動き、机は動けないのか」

 こんな当たり前なことさえ、明確な答えが出来ない。私は小学生に尋ねられたら答えられない。大人になったら、ランクの上の大学に行ったら、いろいろ期待したけど全て期待はずれ。結局、

「何も分からない!」

 ではないか。旧帝に合格し、英検1級に合格し、京大に合格できる数学力がついて、それでも何も進歩がない。何も分からないではないか。

 ノーベル賞をとっても、金メダルをとっても、世界一の金持ちになっても、私たちが住んでいるこの世界、つまり宇宙の構造が分かると思えない。自分の身体がどうして動くのかも分からない。病気や死を避けることも出来ない。

 

  教育産業にいると、教師や講師に日常的に会う。そして、その多くが分かったような顔をして授業を行っている。しかし、本当は何も分かっていないのだ。

「ごめんなさい。何も分かってません。ほんの少し分かっていることは」

  これが正しいスタンスのはず。

 

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