第三十九章 クールヘッド、ウォームハート

第三十九章
「クールヘッド、ウォームハート

  cool head and warm heart(冷静な頭と、温かい心)

――アルフレッド・マーシャル
英国の著名な古典派経済学者、アルフレッド・マーシャルが、1885年のケンブリッジ大学経済学教授就任講演「経済学の現状」で述べた言葉。
 勉強ができる子の特徴は、常に冷静で感情的でないこと。微積分の問題を解こうとすると、生徒の反応は2つ。
「数学大嫌い。こんなのやって何になるの!」
 と叫ぶ感情型。その一方で、
「これは、どこから話を始めるといいかな」
 と解法について思索を始めるクール型。私はあまり怒らない。最近はマジメな塾生ばかりになってきたので、以前のように怒鳴る必要がなくなった。オタク型のように言われることもある。
 そういえば、私の指導させてもらっている四日市高校でトップクラスの理系女子は、一般で言われる女子度が低い。一般には、可愛いフリフリのついた服を着た女子特有の言葉を使う女子を、女子度が高いと言う。
 しかし、私の塾に来る理系女子はほとんどいつもダサいジャージばかり。よくて制服。そして、
「アホな男子に告白されて迷惑している」
 と平気で言う。バカにしているのではないですよ。数学の問題を解く時には、論理のみで語る。その延長上で、赤は赤。長いものは長い。そういう事実を客観的に述べているだけ。アホな生徒をアホということに躊躇がない。
 これでは9割の男子は近寄れない。でも、そういう女子は
「無理して結婚する気はない」 
 と言う。中年になった私は、彼女たちが優しいことを知っている。でも、たぶん高校生の男子にはキツイ子に見えるだろう。私も高校生の頃には、東大や京大に合格できるような理系女子は不気味に見えた。
 この歳になると、感情的な人がどれほど問題や事件を引き起こすか分かってきた。クールな頭を持っている人が本当は優しいのだということも分かってきた。痛みで叫びをあげている患者に同情しても始まらない。冷静に観察して、診断をつけ、治療をする人が一番やさしいと言える。私の指導している賢い子たちは、そういう子たちなのだ。
 知性に欠ける人たちは、
「大丈夫だよ。頑張れ!」
 と言うのが優しいと思う。確かに優しいだろう。そういう人も必要だろう。しかし、本当にその患者が求めているのは痛みを止めて治療してくれる人だ。そういう頼りがいのある人はクールヘッドなのだ。そういう人こそが、ウォームハートを持っている。中年の私はそう思う。
  だから、私は受験指導でも「優しく」ありたい。ところが、多くの生徒と保護者は「易しい」問題を扱い、「大丈夫」と言ってもらいたがる。それでは落ちるのに、そう言ってもらいたがる。だから、堕落した塾や知性に欠ける講師はそのように対応する。そして、落ちる。
 人気刑事ドラマ「相棒」(テレビ朝日系)の新シリーズ「シーズン13」が10月から2クールにわたって放送されることが、20日に明らかになりました。水谷豊(62)演じる杉下右京から異例のスカウトを受けて相棒となった成宮寛貴(31)演じる甲斐享が、今シーズンでは新たな成長を見せ、右京との関係にも微妙な変化が訪れるそうです。

超音波の殺人ツールを使えば胸に壊死ができることを軽く見たのが敗因だと、言われる田上。
ビールをコゴクンと飲みほす。
「あれは、失敗作だ。」
顔色が変わる田上。
「失敗作?」
「君のことを雇おうと考える軍事産業の関係者はいないね。」
憤りを必死でこらえるように語る田上。
「あなたが、絶賛した僕の卒論、あれを書いてた頃から考えてたんだ!5年かけて作りあげた。これから改良を加えれば・・・」
「君にはできない。」

 
 こういう経験を繰り返すと
「私がヒントを与えても、真意を理解できる生徒がほとんどいない」 
 と気づく。それでは、自分が今まで勉強してきたエッセンスを次世代に伝えられないではないか。すると、上記の「相棒」の杉下右京が部下をスカウトしたのも、ガリレオの湯川先生が田上にガッカリしたのも納得できる。 自分の技術を後輩に伝えようと思い始めたら、気づいてしまう。継承できるクールヘッド、ウォームハートを持っている若者がなんと少ないことか。絶妙のヒントを与えても
「授業に関係のないことはやめてください」
 と言う生徒に何度会ったことだろう。逆に、ヒントは理解できたけれど自分の出席や金儲けしか考えない生徒もいた。以前はA子ちゃんのような生徒は10年に一人くらいしか出会わなかった。
  しかし、今はそういう生徒が塾に何人もいる。本当に嬉しいことだ。できるなら、そういう子たちの背中を押して人類の役に立つ仕事をできる場を確保させてやりたい。
  私がA子ちゃんのような生徒を一生懸命に合格させようと頑張っていたら
「他の生徒が落ちても構わないのか!」
と言った人がいた。本当に頭が悪い。私が高木教育センターの塾長だ。塾生の合格のためなら何でもする。それは、結果的に塾生ではない子を落とす努力とも言える。ひねくれた人が見ると。左翼の先生によく見られる典型的な偽善者か、視野狭窄の人。なんで、そんな人が先生をしているのか不思議だ。
そんな競争の全否定教師が、運動会でみんなお手々つないでゴールインとか、学芸会で全員主役を持ち回りとか、ありえない教育を展開する。ここ三重県では、業者テスト追放で業者が倒産したし、偏差値追放、順位は本人にも隠蔽するという典型的な左翼教育が蔓延している異常事態だ。生徒が気の毒でならない。
実は、運動会でリボンなどを与えて順位を明確にする学校は少数派だ。東京都小学校体育連盟の調査(1997年)では、都内の小学校の約8割は、運動会で子どもたちの順位をつけないようにしている。ゴール前で手をつないで一緒にテープを切らせたり、足の遅い子には距離の短いコースを走らせるなどの工夫もしている。
ときどき洗脳されてしまった生徒や保護者が塾にやってみえる。とても受験指導ができない。受験とは、競争そのものなのだから。そういう方は、オリンピックの金メダルも、学問もノーベル賞も、文学の芥川賞も、音楽のレコード大賞も、すべて「差別」に見えるのだろう。
子供たちをダメにしたいのか?妄想ではなくて現実を見ると、社会主義の親玉だったソ連はとうの昔に崩壊した。生き残っている社会主義の国は、北朝鮮や中国やキューバ。こういう国がユートピアで、国民は西欧諸国や日本より楽しい生活をしているのだろうか。人権が守られているのだろうか。
何を考えているのか北朝鮮 ??? - 音楽人生万歳 ただ今、ブログ奮闘中 !
 これからの国際社会で、息子や娘たちが生きていくためには受験だけでなく就職試験や、その後の企業間競争に勝ち抜いていく力をつけてやらなければならない。私は後継者になれるような子に、自分の技術を伝えていきたい。
 そうでなければ、死んでも死に切れない。
 

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