大学に「飛び級」で入学した話 

私は「飛び級」、正確には飛び入学制度を使って大学に進学した。

17歳の時だ。早生まれなので、試験を受けた時はまだ16歳だった。


飛び入学というと、アメリカで15歳の少年が有名大学に合格した、などというニュースを時々聞くためか、優秀な学生が、少しでも早く専門的なことを学びたいからするものだ、というイメージを持っている人が多いのではないかと思う。


日本で飛び入学制度を実施している大学は、私が進学した平成25年当時は千葉大学・名城大学・成城大学・エリザベト音楽大学・会津大学の5校だった。(平成26年に日本体育大学が、平成28年に東京芸術大学と京都大学が飛び入学制度を始め、現在は8校になっている。)

先進科学センターを設置し、飛び級をした学生を研究者として育成する為の特別プログラムを用意している千葉大学は、上記のイメージに特に当てはまるだろう。


しかし、私は、そういった理由で飛び級をしたわけではなかった。

高校2年生の秋、家庭の事情で、今まで暮らした岡山を離れて、神奈川に移らざるを得なくなった。

当然、高校を中退することとなり、受験生となる来年度どうするかと考え、三つの選択肢を見つけた。


一つ目、神奈川の高校に転校すること。

これが最も一般的な選択だった。

ただ、高校3年生に転校してきて、果たして学校に馴染めるだろうか。

その中で受験勉強に集中して取り組むことができるだろうか。

このような不安を感じ、私はそれを拭い去ることができなかった。


二つ目、予備校に入ること。

これは転校の次に一般的な選択だった。

予備校の環境なら受験勉強に集中できるだろう。

しかし、大学入試に失敗して浪人したら、そして大学入試を諦めてしまったら、最終学歴は中卒だ。

これも私にとってはリスクが大きいように思えた。


そんな折り、三つ目の選択肢を見つけた。

それが飛び級だった。飛び入学試験に合格すれば、とりあえず大学に進学できる。

次の一年を全く不安要素無く過ごすことができる。

私はこの時、飛び入学のリスクを考えようとしなかった。

当時は無意識だったが、一つ目の選択肢も二つ目の選択肢も採用したくなかったのだと思う。

言うならば、これは消去法だった。


私は文系で、上述の5大学の中で門戸を開いている文系学科は、成城大学文芸学部英文学科だけだった。

千葉大学にも文学部人間探求コース(行動科学科)があったが、これは学際的な分野で、いわゆる理系的な素養がかなり必要なようだった。

また、研究者になることを目指していたわけでもなかった。

一般的な、楽しいキャンパスライフを送りたいと思っていた。

飛び級をする時点で一般的なキャンパスライフではないのだが、私はこの点について盲目だった。

迷った末に、成城大学に出願した。

神奈川に移り住むまで志望していた大学群とは偏差値上の開きがあったが、編入学や再入学という手段があること、そして何より大学に入れなくなるというリスクを回避できることが私を安心させた。


一次試験は英語と国語で、これは一般入試の学生と全く同じ問題だったが、教室は別だった。

二次試験は作文課題(印象に残った本を読んでそれについて書く)と面接だった。

私はこのどちらもをパスし、成城大学に進学した。





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