父と遊んだ記憶の中で1番楽しかった「カブトムシ採集の思い出」を振り返って気が付いた、本気で向き合うことの大切さ

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最近の悩みの一つに「父と話が長く続かない」というものがある。

とにかく何の話題にしても一分以上持たないのだ。

例えば、

父に「なにかやりたいことがあって今の仕事に就いたのか」と聞くと

「別に。それより早く就職して給料もらえるようになれ」と返ってくる。


しかし、ここから会話が広がらない。


今でこそコミュニケーションが円滑とは言い難い父と僕だが、子どもの頃はよく遊んでくれたものだ。せっかくの機会なので、父と遊んだ思い出の中で、最も楽しかった「カブトムシ採集」の思い出を振り返ってみようと思う。




いつからか夏がめぐってくると、父はよく突然こんな提案をした。

「明日の朝カブトムシ取りに行こう!朝早いからちゃんと寝ておくように!


起きるのは早朝3時か4時くらい。
日が出るとカブトムシは地中に撤収してしまうので、5時だと少し遅いのだ。
父は早起きが得意ではなくて、カブトムシ採集の前日には、テレビを見ながら約束の時間になるまで待っていてくれていた。


睡眠よりも自分との時間を取ってくれることが、どれほど愛情深いことだったのか。
まだ子どもだった僕は全然分かっていなかった。


カブトムシが採集できる場所は、住んでいる千葉のベッドタウンのマンションから車で20分程度の場所で、祖父母の家から近い場所だった。


目的地の林にやっと到着し、網と虫かごの用意をする。
懐中電灯で照らしながら林の中を探索する。


あるクヌギの木から、柿が腐ったような独特な樹液のにおいがして、
そこには大小さまざまな虫がうごめいていた。


蟻、カナブン、スズメバチやゴキブリ、カブトムシ、のこぎりクワガタ。


その時は、僕もどれほど興奮していたかわからない。狩猟本能というやつだろうか、目は爛々と輝いていたはずだ父の目も輝き、ニヤニヤしている。




帰宅するのは朝6時頃だった。


父との冒険譚を話す相手は、いつも母親だった。

母にいろんな話を聞いてもらった記憶はあるが、父と長い会話をした記憶が殆どない。

それなのに、楽しい思い出はちゃんと残っている。なぜだろうか。

それはきっと、父本人が楽しんでいたからだと思う。


そしてそれが、1番楽しかった思い出として僕の心に残っている。


基本的に面倒なことはやりたがらない父だったけれど、楽しいと思ったら凄まじい集中力を発揮する芸術家肌的なところもあった。

寝る間も惜しんで一緒に遊んでくれた「カブトムシ採集」は、父自身が楽しみにしていたから、僕にもその楽しさを知ってほしかったのかもしれない。


改めて父との思い出を振り返ってみて、とても大事なことに気がついた。

お互いが夢中になって楽しい時間を過ごす。長い会話をしなくとも、向き合うこと、楽しい時間を共有すること。それが自分の中に1番心に残っている思い出であること。自分と本気で向き合って、一緒になってなにかをしてくれる。純粋な気持ちで正面から向き合うことで、親子の、そして人間同士の強い結びつきができるのだと思う。

(特に僕と父は男同士だし、変に言葉数が多いよりも、こんなふうに一緒に時間を過ごすほうが合っていたのかもしれない。)


"親だから"といって「子どもの見本にならなくては」と思ったり、見栄を張ったりする必要は全くなく、子どもと一緒になって全力で楽しむことが大切なのではないだろうか。


それはきっと親子だけでなく、人付き合い全般に言えることだ。楽しさは伝染するし、イライラも伝染する。本気で向き合ってくれる人には本気で向き合いたくなる


もしかしたら父はこんなことまで考えていなくて、本当に自分が楽しいだけだったかもしれない。だけど、そんなふうに僕と向き合ってくれたおかげで、大切なことを学べた気がする。


僕はまだ学生だけど、これから社会に出て、結婚して家庭を持つようになる。

そのときにはカブトムシ採集のときの父のように、心から人と、子供と向き合える人でありたいと思う。


そして、いつか子どもが今の自分と同じように昔を振り返るときに「いい思い出だった」と思ってくれるようなものであれば嬉しい。欲を言えば、それが子供からその子供へ、そしてそのまた子供へ、ずっと続いていくものであってほしい。


無理に話なんてしなくても、行動や思い出の中に、愛情や思いやりがきちんと感じられる。

それは、家族や親子ならではの絆なのかもしれない。


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