「耐える力」から「ワクワクする力」へ

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「勉強がおもしろくない…」


誰もが感じたことのある不満だろう。
朝から晩までせっせと取り組んで、そのくせ将来役立つかもわからない。「だったらせめて面白かったら良いのに」と、誰もが不満を抱くもの。

それが「勉強」だ。

実際にその不満はデータにも表れている。
文科省が実施したアンケートによると、「勉強が好きか?」という質問に「嫌い」と答える割合は、小学生で半分以上、中高生では4人に3人となる。

こうした状況に問題意識を強くする人は少なくない。
なぜなら子どもたちの勉強への意欲は、ひとりひとりの人生にとっても、国家の将来にとっても、大きな影響力をもつことは明白だからだ。




料理がまずいのに、食べ方の工夫で美味しくできるの!?



そこで文科省や学校の教育関係者は策を講じた。 
それが「アクティブ・ラーニング」という新しい教育手法の導入である。


子ども達が勉強をもっと好きになるように!

自発的に取り組みだすように!

これまでの一方通行の授業の仕組みを改める。


授業の解説部分は事前に動画で見てもらい、教室では質疑応答に時間を割くという工夫が始まった。「反転授業」と呼ばれるもので、授業の活性化を狙ってみる。

課題やテーマごとにグループを分けて、協力しながら学習を組み立てるという工夫もある。「協働学習」と呼ばれるもので、教えあいの効果を狙ってみる。

あの手この手の授業改革が始まったのだ。

しかしこのようなアプローチでは、結局のところ不満の声はいつまでも解消できない。


なぜか——。


それは「勉強内容そのもの」が変わっていないからだ。


内容はそのままに、それに対する取り組み方を変えるという問題解決法は表面的と言わざるを得ない。まるで、料理はまずいままなのに、食べ方の工夫で美味しく感じてもらおうとするようなもの。
根本的に無理がある。




“耐える力”を重視する発想



料理人なら料理を美味しくする工夫をすぐに始めるだろうに、なぜ教育者は勉強そのものを面白くする工夫を始めないのか。この奇妙な問題に対して、私は以下のように考える。 

教育者が勉強によって身につけたい力は様々あるだろうが、最も重視してきたもの、それが「耐える力」なのだろう。 

「もともと勉強は面白くないものなのだ。だから、それに耐えてやりきる姿勢を育てたい」

きっとそんな風に考えている。


 やりたいこと、好きなことばかりに取り組むのが人生

 ではない。むしろやりたくないことにどう向き合うか

 そういう姿勢が問われている。なぜなら将来仕事をす

 れば分かる通り、生きることは「やりたくないことの

 連続」 だからだ。「つまらない、退屈な日常にきちん

 と向き合うこと」こそが人生の中心テーマであり、そ

 のために勉強に取り組ませ、忍耐力を鍛えていこう。


少し極端な表現だが、大なり小なりこのように考えている教育者は少なくない。 
そしてこうした考えを支えているのは「仕事がおもしろくない」という現実なのである。

確かに大人が日々取り組んでいる仕事に対して「おもしろくない…」という感情を抱いていれば、人生を通して“耐える力”が重視されるのも自然な発想だ。




「仕事がおもしろい!」時代が始まる



だが、もはやこのロジックは通用しない。

なぜなら「仕事がおもしろい!」という現実が立ち上がってきているからだ。

これまでのように、九時から五時まで会社に勤務するというワークスタイルだけでなく、様々な働き方が認められている。職種も実に多様に広がっている。
大人たちは仕事に生きがいや、やりがいを見出そうと、たくさんの創意工夫を始めている。

まだまだ少数かもしれないが、少しずつその波紋は広がり、いずれ多くの人が『仕事がおもしろい!』と感じる時代がやってくる。 

だとするならば、
勉強もおもしろくなくてはならない。

勉強を通してワクワクすることが、将来の仕事にも通じるからだ。

人生全体の価値観も変わるだろう。
人生で問われているのは、退屈な日常に向き合う姿勢ではなく、「毎日をワクワクしながら生きる工夫にある」というように。




"ワクワクする力"を磨こう



「勉強がおもしろくない…」という声は、子どもたちにとってまだまだ当たり前の現実だ。

だからこそその現実の中で、アクティブ・ラーニングのような表面的な手法ではなく、「勉強内容そのものをおもしろくする工夫」に努力を注ごうではないか。

勉強を通して"耐える力"を鍛えるのではなく"ワクワクする力"を磨こうではないか。

もちろんこの工夫には長い時間がかかるだろう。
それでも挑戦を始めよう。


「勉強っておもしろい!」

子ども達が口にするその日に向けて——。





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寳槻 泰伸

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寳槻 泰伸

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