いま、私が自分らしく生きていられるのは、小さい頃から母が「うちの子は◯◯◯◯◯から」と言い続けてくれたからだっていう話

このエントリーをはてなブックマークに追加
55

ノセ29歳、教育の仕事をしています

私は今、教育関係の仕事をしています。家庭教師や生活保護受給世帯向けの学習支援で学習支援専門員という仕事をしていまして、たくさんの子どもと話してきました。

私が話してきた子どもたちの中に、誰ひとりとして同じ子はいなくて、それぞれに好きなモノや大事なものがあり、悩みがあり、得意なことも苦手なこともあって、それはそれは愛しくない教え子なんて一人もいません。

私はとても幸運で、その中で、不登校の子が勇気を出して学校に復帰して高校進学にこじつけたり、学校でトラブっちゃって…とか家庭でゴタゴタして…という子が悩みながらも自分だけの”解”を見つけたり、将来の夢を大人に踏みにじられたと語る高校生が「もう一度、また新しい夢を見つけたら良いんだって思った。頑張ろうと思う」と勇気を持ったり…といった場面を何度も見てきました。今、これを書きながらちょっと泣けてきちゃうぐらい、どれもこれも私の大事な宝物です。


そんな私が母からもらったギフト。それは「”ふつう学”」への招待。

ところで、みなさんは小さい頃、身近な所に「博士」はいませんでしたか?昆虫大好き「昆虫博士」、車大好き「くるま博士」、ポケモン大好き「ポケモン博士」、魚大好き…さかなクン?同じクラスに一人はいたのではないでしょうか。ひょっとしたらご自身がそうだったかも?戦隊モノ、セーラームーン、いや、きっと博士クラスではなくても、何か心ときめくものがあって、それについて知りたいと思ったり、グッズを集めたりしたことはあるんじゃないかな、と思います。

私も例に漏れず、ポケモン大好きでしたし、他にもたくさん好きなモノがあり、それを追いかけていました。でも、私にとって何よりも興味があったのは「ふつう」だったのです。そう、私は小さい頃から「ふつうって何だろう」ということに興味津々で、ずっとそれを追いかけて、そしてたぶん、今での追いかけてるんです。たぶん私は今も昔も「ふつう博士」だと思います。それは、母がいつも言っていた言葉のお陰だったんです。


母の口癖。それは「うちの子は、ひと昔前の子なのよねぇ。だから人とは違うのよ。」


これ。これなんです。母が私に小さい頃からずーっと言い聞かせていたこと。大体いつも、こんな感じで。

うちの子は変わってるから。
そうなの?
うん、人とは違うのよ。一昔前の子どもなのよねぇ。
へー、そうなんだ

私には5歳以上年の離れた兄と姉がいて、たぶん類にもれずそういうオリジナリティあふれる子ども時代を過ごしていたのでしょう。その中できっと母はそう感じたのだと思います。人と違うということは、ひょっとしたら他の子とソリが合わなくなることもあるかもしれない。最悪いじめられたりすることもあるかもしれない。だから覚悟しておきなさい、そんな気持ちもひょっとしたら混じっていたのかもしれません。


「他の子と何が違うんだろう?」”ふつう学”の道のり

口癖のように聞かされる内に、私の中では「人と違うんだ」という意識が芽生え、そしてそれがいつしか「人と違っても良いんだ」という気持ちになってたような気がします。幼いノセは「どう人と違うんだろう」という素直な疑問を行動に移すようになりました。

友達
いやだってさ、ここはふつうあいさつするでしょ?
そうなんだー。なんで?
友達
いやだって…ほら、その方がきもちいいじゃん!
そっかー、なるほどね!

こうして、私の素朴なフィールドワークが始まったのです。


若い日のノセ、みんなの「ふつう」が違うと気づく

そうやって、いろんな人の「ふつう」や「考え方の違い」を集めるのが私のライフワークとなりました。最初は単純に、自分がどう違うのか知りたくて。でも、そのうち、みんながお互いに違うことを知って、しかもその違いのことで悩んでるらしいと気付きました。また、それこそ私が「変わった人」であり、フィールドワークのために「話を聞く人」になっていたので、私のところには、少しずつですがいろんな悩みがやってくるようになりました。

聞けば聞くほど、みんな、驚くほど持っている「ふつう」が違う!そしてお互いにそれに気づいてない。

それでも、私の中では「自分がふつうじゃない」ということが、一方で良いことだと思いつつ、もう一方で「それでいいのかな?」と思うことでもありました。いろんな人のふつうが自分とずれているのを知れば知るほど、やっぱり思春期の私には、ちょっとした悩み事にもなっていたんです。


社会人ノセ、人と違うことを求められて大歓喜。

そんな私も大学に入り、悩みもありながら自由闊達に過ごした後に就活の時期を迎えました。その頃には「他人と変わっていることは結構お得だな」と思うこともいくつかあったのですが、決定的なことが起こるんです。就活で社会人と話してみると、なんと「他の人と同じようなことをする人は必要ない」なんてことを言うんです。

それもっと早く教えてよ!


「変わってるのは”うちの子”だけじゃなくて、みんななんだ」

長年に渡るフィールドワークの結果、みんなちょっとずつ変わっていて、社会ではその違いが求められるのだという結論に達しました。金子みすゞ並の発見です。その発見が、人の気持ちやコミュニケーションへの興味につながり、その知識が今の教育の仕事につながっています。それこそ、今でも子どもたちは「ふつうじゃない」ことに悩んでいて、でも社会に出たら「ほかの人と違うことが考えられないと価値が無い」って言われるなんて知らない。そんなとき、母公認でふつうじゃなかった自分のことと、フィールドワークの話をするのです。そうすると、少しだけ子どもの近くに寄れるんです。


お母さん「ふつうと違う」ことに対する勇気をくれてありがとう!

そういう訳で、私が母からしてもらって感謝していることは「他の人と違う」と言い続けてくれたことです。こういう教育効果を狙っていたのか、はたまた本当にそう思ってたから正直にポロポロ言ってたのか、よくわかりません。でも、結果として私の人生をものすごい勢いで転がして、とても大事な価値観を与えてくれたんです。ひょっとすると、母からすれば「まさかそんなこと言い出すなんて思ってもいなかった」ことかもしれませんが、心をこめてやったことも、何気なく言ったことも、全部宝物だなと思って私は生きています。そんな感じです。

読んでよかった
このエントリーをはてなブックマークに追加
このストーリーをブログ等で紹介する

まわりから変だと言われているような人が、このstoryを読んで、プラスに捉えられるようになってくれればいいなと思いました。

加藤さん、コメントありがとうございます!そういう助けになれれば、私としてはそれ以上のことはありません。特に学校にいる子どもたちは「自分が変である」ことに悩んでも、周りにそういうことを言う人しかいない状況になりやすく、一歩踏み出すのに難しかったりしますので、まわりまわって、伝わったら良いなと思います!(もちろん、大人の方にも勇気を持って頂けたらそんな嬉しいことはありません。)

僕自身、storyにも投稿してますが、家庭環境が原因で性格が歪んでしまい、周りに変と言われ続けています。そして、Noseさんと同じ思いを持っています。多くの人に伝わればいいなと。

読んで気持ちよかったです。同じ色見ても人によって微妙に違うはず。なのに「普通」という一つの基準(例えば多数決)でまとめちゃう。要は管理する側が楽する方便に「普通は、、」と無理矢理「正解」作ってるのでは。

Nose Hiroyo

外資系ゲーム会社のデータアナリスト。英語と音楽の研究をしていた元大学院生であり、元塾構バイト。元教育系NPO勤務で生活保護受給世帯向け学習支援事業担当。趣味は南米の民族音楽。 interests: education/linguistics/folk musics/JOJO/English

Nose Hiroyoさんが次に書こうと思っていること

|

家族・育児のタグがついたストーリー

2016年4月4日 滞在リミット4時間で地元警察のお世話になる

2015年12月 ばあちゃんの入院

2014年9月 帰省 果たして許すとは何か?

私の妹は辻調理専門学校の講師を経て、大好きなディズニーランドのウェルカムセンターでバイトするために正社員をやめる。そのために一時期姉の私と二年同居した話。

2014年9月 帰省 そして対峙すべき者

2014年9月 帰省 ばあちゃんとの再会

2014年9月 帰省 序章

2014年9月 帰省 妹の顔が分からない

ぼーっとしたい。けどママにはぼーっとする時間はない。週末、祝日はデジタルデトックスする方法。緊急や出欠以外のLINEを休日に休んでみた話。

苦しい時期の乗り越え方?

物に魂が宿ります「お気に入りのお弁当箱との別れ」

ママは強いというけど、強くならざるを得ない話。働くなら保育園(でも正社員じゃないと入るのは難しい)預かり保育のある幼稚園にいれてもママが働く大変さは変わらない。入園式では先生を待遇のいい都内に引き抜かれた園長先生が幼稚園の経営の大変さを語った話。

写真家長谷川美祈さんの【Internal Notebook】がドイツのカッセルダミーアワードのショートリストに選考されました

人生最後の日に笑ったおばあちゃんの話

猫に与えちゃいけない物!

Nose Hiroyo

外資系ゲーム会社のデータアナリスト。英語と音楽の研究をしていた元大学院生であり、元塾構バイト。元教育系NPO勤務で生活保護受給世帯向け学習支援事業担当。趣味は南米の民族音楽。 interests: education/linguistics/folk musics/JOJO/English

Nose Hiroyo

外資系ゲーム会社のデータアナリスト。英語と音楽の研究をしていた元大学院生であり、元塾構バイト。元教育系NPO勤務で生活保護受給世帯向け学習支援事業担当。趣味は南米の民族音楽。 interests: education/linguistics/folk musics/JOJO/English

Noseさんの他のストーリー

  • いま、私が自分らしく生きていられるのは、小さい頃から母が「うちの子は◯◯◯◯◯から」と言い続けてくれたからだっていう話

  • Noseさんの読んでよかったストーリー

  • はじめての下北暮らし