お辞儀女子

電車で、とても興味深い女の子に出会いました。


彼女は、とにかく頻繁に「お辞儀」をしていました。


乗客が乗ってくると、お辞儀。


乗客が降りるときも、お辞儀。


誰かの前を通るとき、お辞儀。


誰かが彼女の前を通ると、その人に向かって、お辞儀。


その「お辞儀女子」は、どこでもお辞儀をしていたので、とても興味が湧きました。


僕は頭の中で、彼女の日常を想像しました。


コンビニのレジでお会計をする前に、お辞儀。終わったあとも、お辞儀。店を出る前に店員の方に振り返って、お辞儀。


これは鉄板中の鉄板でしょう。


仕事で資料を印刷するのでコピー機に向かって、お辞儀。


自宅に帰って「ただいま」を言いながら、お辞儀。


彼氏が浮気しちゃって、怒ってはいるんだけどなかなか言葉が出てこなくて上手く怒れないから包丁片手に、お辞儀。


その頭を下げるという行為に、

「すみません」

「ごめんなさい」

「失礼します(しました)」

「ありがとうございます」

などの相手に対する敬意が込められているわけで、わざわざ言葉を交わさなくても、そのお辞儀ひとつで成立する、とても素敵なコミュニケーションツールなんだなぁと、そのお辞儀女子を見ていて思いました。


今度もし会ったら、僕もお辞儀をします。


お辞儀女子は、メガネが似合うとても肌のキレイな女の子でした。


ぺこり。

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