「偽りのない美容師」【STORY4】~地球髪切屋~世界一周後、世界でたった一つの「鏡のない美容室」を作ろうとする変わった美容師の話。

前話: 「父がくれたもの」【STORY3】~地球髪切屋~世界一周後、世界でたった一つの「鏡にない美容室」を作ろうとする変わった美容師の話。
次話: 「美容師として大事なことに気付かされた日々」【STORY5】~地球髪切屋~世界一周後、世界でたった一つの「鏡のない美容室」を作ろうとする変わった美容師の話。

STORY3で書いたように、僕は父から大切なものをもらった。

それだけでは美容師という世界は厳しいものだったけど、それがあったから僕は美容師を続けられた。

人は嘘をつくのも偽るのもうまい。

もはや社会やテレビも嘘ばかりだ。

美容師だって口が巧けりゃうれる。

だからこそ髪を通してあなたと向き合う時だけは、偽りのない美容師でいたい。

だけというと語弊があるけれど、、、笑

自分に素直に自分らしくやることの大切さを学んだ日々のSTORY。


やっと働きたいと思えた美容室に入ったのに、スタートから壁にぶち当たった。

美容師として有名になりたい!カリスマとよばれたい!雑誌に出たい!

という美容師なら美容師として当然持つような欲を僕は一切持っていなかった。

ただ父のように働きたい。そう思っていた僕。


お客さんと接する毎日の営業は大変ながら楽しい日々だった。

でも当然、技術職だから技術を学ばないといけない。

毎日営業後に深夜遅くまでやる技術レッスンはやる気がしない。

学生気分が抜けきらず、本当に甘えていたなぁと今は思う。

そのせいで、当然技術テストでも点が低く、オーナーにもっと将来を考えろと怒られたことも何度もあった。

それでも人と接することができる日々の楽しさは、僕が美容師をやるには充分な理由になっていた。


そのおかげで徐々に技術に対しての意識も芽生えていき、3年目になってスタイリストデビューが目前に迫ってきていた。

もうじきアシスタントではなくスタイリストとして髪を任せてもらえる立場にたつんだと意識したとき、まだまだ不安はあるものの少し誇らしげな、そんな気持ちになったのを覚えている。


23歳でスタイリストになって更にぶつかった壁があった。

同じ店に、僕以外に11歳も離れたオーナーと、2歳離れた先輩スタイリストがいた。

それに、僕が年齢よりも若くみられることが理由で、デビュー当時ほぼ100%お客さんに年齢を聞かれていた。

経験が未熟なんだろうという僕に対するお客さんの不安な気持ちがその一言に表れていたと思う。

それに加え、髪を全て任せられる責任、数字で競う世界の重圧。

色んな要因で僕は自分を偽るようになっていった。

出来るように演じてみたり、大人びて見せたり。


しかし、うまくいくはずがなかった。

毎日が苦痛で、悩みの日々だった。

楽しさを感じる事はなかった。

もちろん支持される事もなかった。

必死になっていた僕は、ふと父のことを思い出した。


そして次の日から、背伸びする事をやめた。

昔のように自分が楽しいと思える働き方をしようと、自分らしくいくことにした。

それでもしお客さんに支持されなければ、それが僕の実力なんだと割り切ることにした。


自分らしくやってみると、みるみるうちに良い結果に繋がっていった。

僕を指名してまた来てくれる人が圧倒的に増えていった。

素直に嬉しかった。嬉しくなるとまた楽しくなる。

毎日を自分らしく楽しんでやるだけで感じ取れるものが変わっていくのだ。

こちらが心を開くだけで、相手の心も開く。

髪という人の一部に触らせてもらってるからか、手仕事をする僕の手から伝わるのか、心というものは凄く敏感だということを知った。

そして、自分を偽っていたことをお客さんたちはわかっていたんだと、改めて気づかされた。

そこからたくさんのお客さんたちに支持されるようになった僕は、25歳で運もよく店長をまかせてもらえることになった。

今度は個人ではなく店として考える立場になってスタッフ達に口を酸っぱくして言っていたことがある。

「大事なのは技術じゃない、心だ」と。

小手先の技術や偽りの接客で手に入れたお客さんの信頼はすぐになくなる。

でも、心から得た信頼は簡単にはなくならない。

それが僕が学んできたことだった。

僕らの仕事は技術職。

だから勿論、カットで5000円もらうなら技術だけで最低5000円もらえる技術は提供する。

それは当たり前のこと。

でも大事なのは、髪だけじゃなくその先にある「何か」に価値を感じてもらいたかった。

来てくれる人達にもスタッフ達にも。

それができるのは、心を込めることだと確信していた。

おかげでもっとたくさんの人が来てくれるようになった。

店として支持してくれるようになっていった。

そしてお客さん達が言ってくれる言葉が変わった。

「こんな美容室や美容師さんは初めてです!」

「初めてなのに緊張しなかったです!」

「美容室に来るのが楽しいと思えるようになりました!」

勿論、デザインした髪の毛を褒めてくれる人もたくさんいた。

ただそれは言ったように美容師としてお金をもらってる以上当然のこと。

こんな言葉たちをお客さんが言ってくれた時いつも僕は、唇を噛み締め涙をこらえていた。

本当に嬉しかった。

美容師としてではなく、人として認められた。 そんな気がしたからだ。

そして同時に、お客さん達が美容室や美容師に抱えている問題に気がつくことにもなった。

問題に気がつけたこと、美容師として生きる覚悟を決めて、そしてどう生きるべきか、

そんなことを考えだすようになって僕の意識は変わっていった。

僕が美容師としてどう生きればいいかということを教えてくれた「東日本大震災ボランティアカット」。

そして、小さい頃の夢を叶える為の一歩を踏み出す勇気をくれたきっかけ。

ストーリー1で書いた、僕の背中を押す様々な出来事がここから重なって起こりだしました。

それはまた次のストーリーで。




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