親友

おい見てみろよ


バンっと俺の肩を叩きながら 慈海は言った



慈海   これでじかいと読むそいつは俺の幼馴染み



むかしから 漫画を貸してくれとか言われても 次回のお楽しみだよ なんていってからかっていた



言われた先に目をやると  バジバジ と音を立てながら


バカでかい蛾が コンビニの殺虫灯で 焦げかけている




あれ オオミズアオじゃね?



俺らの小学校の理科室に標本あったじゃん





あれをお前の姉貴のパンツにすり替えて めちゃくちゃ怒られたよな ファハハハ





慈海は いつもこんな調子で昔の事を思い出しては一人笑いをしている


あーそうだったな


蛾を横目に コンビニの自動ドアを潜る




慈海はまだオオミズアオがバタバタしてるのを 見ているから 



しょうがないあいつの分のコーヒーも買ってやるか




あいつはいつも マウントレーニアという甘ったるいコーヒーを飲む


俺はブラックだ




レジに並んでいると ピンポーン と音がして自動ドアが開く音がした




にやにやしている慈海だ




そのまま近づいてきて



シャリ‐ン♪




電子マネーでお会計を済ませ


マウントレーニアだけを手に取ると



俺 バイトだから行くわ


じゃ




といって颯爽と出て行った





店員は笑いをこらえようとしているのか 


あの、くじ、ひひ引きますか?


とこちらを見ずに言っている





いや けっこう


つぶやいて表に出ると




オオミズアオはその動きをもう止めていた





遠くに慈海の自転車が去っていくのが見える





そしてふと思った



あいつはどうやって俺の姉のパンツを手に入れたのだろうか・・

著者の吉川 将大さんにメッセージを送る

メッセージを送る

著者の方だけが読めます

みんなの読んで良かった!

STORYS.JPは、人生のヒントが得られる ライフストーリー共有プラットホームです。