BINGO

一人暮らしだった俺の家に


ビンゴが来てから1年6か月


柴犬とビーグルの雑種で


見かけは柴犬だが 耳だけが垂れていた


随分と可愛がっていたのに 

飛び上がって遊んでいる最中に

棚に飾っていた日本酒が落ちて割れ、こぼれた酒を飲んだ瞬間 

泡を吹いてあっけなく死んでしまった




せめて盛大に弔ってやろうと


旅行に行くときなんかに預かってくれていた友達を呼んで


お別れの会を開く事にした


なんならビンゴは俺よりもそいつの方に懐いていたかもしれない



ビンゴを溺愛していた友達は花を持ってきてくれたり


高い缶フードを持ってきてくれて


俺たちはビンゴの動画をパソコンで流しながら


思い出を語っていた



そういえばちょうど人間で言えば成人になるくらいの年だよな 小型犬だし・・


友達が呟く


そいつには祖父の遺産が転がり込んで

大きな家を手に入れたので


余った部屋でたまにビンゴを預かって貰っていた



そうか 人間で言えばちょうど酒を飲んでもいいくらいの年か・・


大人の仲間入りでもしたかったのかもな



そう思いながら パソコンの画面の中でくるくるとはしゃいでいるビンゴの姿を眺める




あの時残っていた日本酒を持ってきたのはその友人だった


責めるつもりは毛頭なかったが


その旨を伝えていなかった事を思い出し


あいつはこの間持ってきてくれた酒を飲んで死んじゃったんだ と言うと


友人は急に青ざめて肩を震わせ始めた




『あの酒は嫁から美味しいから飲んでみてって貰ったんだ』


俺も青ざめた


友人の嫁は酒を飲まないからだ

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