吃音の私が自分を認めてあげたら人生が変わった話 2

・・・

(株)JAICによる「営業カレッジ」に参加することになり初日を迎えた。

T講師の圧倒的な「覇気」に圧倒されながら、

いきなり最初の試練が訪れた。


「自己紹介」だ。


ただでさえ異様な空気の中、大勢の前で自分は何者なのかを語る。


私は恐怖と緊張に押しつぶされていた。


しかし、これこそ今私が越えなければならない壁だった。


吃音。

人前でどもる。


そんな自分を苦しめている吃音がどうしても許せない。

劣等感の塊だった自分がたったひとつだけ誇れたものは、

何度バカにされ、笑われ、倒されても、

決してくじけなかったこと。


今回もどうせ失敗するだろう。

でもやりつづけるしかない。

それくらいしか私のとりえはないのだから。


そしてT講師が

「最初にやりたい人!」と言った瞬間

私は無心で手を挙げていた。

小学校2年生の時とは違う。

私は自分を変えたい一心でここに来た。

「失敗したっていい 何かをつかむんだ。」

そんな気持ちだった。


そして案の定、

自己紹介では聴いている人にとっては何がなんだかわけがわからない状態、

どもりまくりで散々な結果だった。

しかし、とにかく変な人っていう印象だけは与えられたと思う。


そして、ある瞬間は訪れる。


・・・


セミナー二日目の帰り道、

一緒にセミナーを受けているSさんと話していた。

するとSさんは、

セミナー中ろくに話すこともできず、人との会話もままならない私に対して、


「なんだ、春田さん全然普通に喋れるじゃん!全然おかしくない!もっと自信もって大丈夫だよ。」


と言った。


「え!?・・・」


衝撃が走った。


今まで自分なんて人前でまともにしゃべることもできないし、

みんなより劣っている存在だと思っていた。

普通以下の人間なんだって思ってた。

そんな劣等感の塊だった私に、

Sさんは私のことを「普通」と言う。

みんな奇妙な目で見たり、

憐みの目で見たりする私のことをこの人は「普通」と言ってくれる。


私はその言葉に妙に納得してスーッと何かがわかった気がした。


確かに人前では緊張してどもってうまくしゃべれないけど、

別にただそれだけで自分が思っているほど自分って変じゃないよな?って。


私は自分で自分を決めつけて、

ダメな人間だと思い込んでしまっていただけなんだってことに気が付いた。


だったらもっと自分を認めてあげよう。

どもったっていいじゃん。

それが自分なんだから。

別にどもったって誰も私のことを嫌いになったりしてないじゃん。


今までなんでこんなに悩んでいたんだろう?

Sさんの一言で、

本当は自分でもわかっていたんだけど、

気づいていなかった本当の気持ちに気づけたのだと思う。


「よし、じゃあこのことを明日、みんなに話そう。」

そう決めた。


そして、


生まれて初めて自分の吃音のこと


それをコンプレックスとして避けていたこと


今まで苦しくて苦しくて仕方なかったこと


そんな自分が嫌いで仕方がなかったこと


でも、


これからはそんな自分を認めてあげるって決めたこと


こんな自分でも「大丈夫」って言ってあげると決めたこと


そんな自分のすべてを包み隠さずさらけ出した。


そうしたら、

不思議なことにそれをみんなの前で話しているときは

まったくどもらなかった。

どもるどころか、

その時の私は自信に満ち溢れていてどもることなんか忘れてしまっていたみたいだった。

話し終わって私は本当に爽快な気持ちになった。

この世でこんなに充実してすがすがしいことがあるんだってくらい気持ちよかった。

聴いてくれたみんなも感動してくれて、泣いてくれた人もいた。


・・・




それをきっかけに、

私の吃音はとても軽くなった。


でも今もよくどもる。

だがもう「コンプレックス」ではない。

吃音は私の「個性」だ。


今では、

もとから目立つのが好きで、

人が好きなのか、

人前で話すことや会話をすることを仕事にしている。


いや、たぶん、

私が吃音だからこそ、

人を相手にすることが好きなのかもしれない。

本当の意味で「言葉の重み」を知っているつもりだ。



人は誰だって自分を信じて認めてあげることで変われるし前に進める。



もしあなたも自分に自信がなくて劣等感をもって悩んでいるのなら、

そばにいる人に相談してみてほしい。

自分ひとりで抱え込んで、自分で解決しようとしないでほしい。

人は誰かに話を聞いてもらうことで自分のことが分かってくるのだから。

あなたのことを大切に思ってくれている人は必ずいる。


大丈夫。すべてうまくいっている。


最後まで聞いてくださりありがとうございました。


春田淳


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