うつだっていいじゃない!【其の十・主夫】

前話: うつだっていいじゃない!【其の九・断念】

【とりあえずやれることは主夫業か?】


一度目の鬱で何かをしようという気力が起きなかった頃は、体を鍛えることに勤しんでいた。


体を鍛えていると頭の中が真っ白になり余計なことを考える必要がない。


心身ともにスッキリしたものだ。



しかし二度目の鬱はどうもそういう気力はわかず、当初は鬱屈とした日々を過ごしていた気がする。


「仕事ができないのならそれなりに何かした方が気が紛れるかな…」


そんなことを考えながらアフィリエイトに手を出してみたり、ヤフオクで家財処分をしてみたりした。



そういったことは未体験だったこともあり、最初のうちは結構楽しいものだと感じていたが、いつしか虚しさみたいなものを覚えていった。


他にやれることがないから虚しくてもやっていくしかない。


このジレンマは何とも形容しがたいものがあった。


ただ、洗濯や掃除という「生活必需品」のような家事仕事は、毎日とは言わないまでも自然とするようになっていた。



「妻が外で働いてくれているのだから、せめて自分は家を守るしかなかろう。少なくとも家の中ならば自分もある程度動けるはず…」


そう。「主夫」になってしまえばいい。


引きこもりでも、ただの引きこもりよりちょっといい肩書じゃないか「主夫」って。


料理だけは昔から全くできないので、それ以外の家事はできる範囲でこなしていく主夫。



うん、悪くない。


自分に「主夫」であるという暗示をかけてしまう。


そんな些細な事でも結構自分が救われてしまうことに気づいたのだった。



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