TOEIC, IELTS満点でも意味がない!オックスフォード大学で通用しなかったゆとり世代の日本の英語教育!

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CHAPTER1〜5はこちらをご覧ください。

英語教育の被害者が留学し虐められ17歳で起業、20歳で出版、そしてオックスフォード大学院ロンドン大学院ダブル合格
学生起業家のオックスフォード大学院ロンドン大学院ダブル合格法

CHAPTER 6


2012年のオックスフォード留学から2年間かけて手にしたオックスフォード大学の入学合格証書とIELTSの試験結果を握りしめ成田空港からオックスフォードへ向かった。日本の英語教育を変えたいと意気込んでいた。

TOEIC満点でも聞き取れないアナウンス

イギリスの駅の構内でチケットを購入するためチケット売り場を探す。忙しそうに動き回る駅員を捕まえて"Where can I buy a ticket?"(どこでチケットを買えば良いですか?)と尋ねると大声で

"キューゼー"

と叫ばれる。9?Q?キューゼーとはなんなのか?"I beg your pardon."と聞き直すと返事は変わらず"キューゼー"と叫ばれる。僕は思わず"What do you mean by Q?"(Qとはどういう意味ですか?)と尋ね返すと"You have to queue there!"(??しなければならない!)と叫ばれ、まだ理解できずにいる僕を見ていた女子高生3人組が大爆笑していた。

queueとはイギリス英語で「列に並ぶ」という意味があることを後で知り、line「列に並ぶ」はアメリカ英語であることを知った。

ここで2013年の日本のセンター試験のリスニング問題をご覧ください。

どのカバンを描写しているのかを選ぶ問題だが、実際にイギリスに生活してこのような場面に遭遇することはない。探偵レベルでないとこのようなことは起こりえない。日本の英語教育は形式にフォーカスが置かれすぎている。


その後、電車に乗ってもイギリス英語訛りのアナウンスが全然聞き取れず、電車を乗り間違える始末。サブウェイで注文しても想いが伝わらず妥協して食べたくないもの注文する。話すスピードも速いしアクセントも強い。中学の頃に暗記したHow are you? I'm fine. Thank you. And you?という定型表現では通用しない。TOEICとIELTSのリスニングで満点を取ってイギリスに来たのに、どういうことなのか。駅員を探しては質問を繰り返し、ようやくオックスフォードに辿り着いた。

品のある高貴なイギリス英語

時差ぼけで睡魔が襲う中、目を擦りながら到着したオックスフォードは夕暮れ時だった。お腹も空いていたので駅の近くにあった薄暗いパブに入り、席に着き食事を注文した。相席のような形で近くにはオックスフォードの学生らしき3人組がビールを片手に談笑していた。現地のオックスフォードの学生との繋がりたいという気持ちがあったため、"Are you studying in Oxford?"(オックスフォードの学生ですか?)と声をかけてみる。すると彼らはとても綺麗なイギリス英語でオックスフォードの学部生だと返答してきた。日本から留学に来たことや所属するカレッジの話などの話の後に、一人の学生が

"What does your father do?"(父親の職業は?)

と突然予想だにしない質問をしてきた。

イギリス、特にオックスフォードやケンブリッジでは、Socioeconomic Status(社会経済的地位)、つまり社会階級が存在する。彼らの身なりを見ても磨かれた革靴に襟付きのシャツを着て、上位中流階級出身だということは一目瞭然であった。彼らのポッシュな英語から品のある動作まで何一つ僕には兼ね備えられていない要素であった。そしては彼らの会話スピードは非常に早い。内容の分からない話を上品なイギリス英語でどんどん展開していく。会話に入ろうとしても僕の英語を話すスピードが遅く、彼らは明らかに嫌そうな顔をしている。これから彼らと対等に会話をすることができるのだろうか。初日から完全に自信を失ってしまった。

日本であれだけ対策したIELTSはなんだったのか。そもそも10年以上の英語の勉強はなんだったのか。常にこの劣等感を背負って彼らと一緒に勉強しなければならないのか。オーストラリアでのあの辛い経験がフラッシュバックのように蘇った。

その日は全く寝付けず早朝3時にオックスフォードの街を散策することにした。

オックスフォード大学は12世紀に創設された英語圏最古の大学で、世界大学ランキングは5位。

イギリスの元首相トニー・ブレアやマーガレット・サッチャー、そして日本の皇族、皇太子徳仁親王、皇太子妃雅子らの留学先としても知られている。街を歩けば歩くほど幻想的な世界に吸い込まれていく感覚であった。子供の時に来たオックスフォード、数年前研修で来たオックスフォードとはまた何もかもが違う。その後も数日間悩み続けた。


入寮の手続きのため、イギリスらしくない快晴の中、大学寮内を見学して周った。オックスフォード中心部から離れた広い庭付きの比較的新しいカレッジ、Linacre Collegeであった。


オックスフォードにはカレッジ制度と呼ばれるものがあり、大学入学と同時にカレッジにも入寮することになっている。37のカレッジから希望したカレッジに入る人もいれば、相性の良いカレッジに振り分けれらることもある。カレッジには図書館やコンピュータ室、ダイニングホール、バーなどが全て揃っていてそのカレッジ内で生活することとなる。

オックスフォードのカレッジ制度を説明した動画:Oxford University - How to choose a college



ハリーポッターと同じようにここのカレッジに入るとここに住む学生とは家族のような関係になるという話も聞い、この時もオックスフォードの伝統が未熟な自分に重くのし掛かっていた。

同期の友人とも食事に行って色々なアドバイスをもらった。彼らは皆、全額給付型の奨学金を持っていて日本の大学院を卒業し留学経験も社会経験も豊富、論文や国際学会での発表経験もあった。話す内容も教養レベルも高く、何よりも面白い。今まで出逢ったことのないような魅力的な方々であった。

日本の国立大学を飛び級し、清華大学院に留学、そしてオックスフォード大学院に留学した同期の友人には「アカデミア」という研究の世界がどういうものなのか、「オックスフォード大学」というブランドは社会でどう見られているのか、研究職を追求する上で知らなければならない常識を教えて頂き、人生のアドバイスを頂いた。オックスフォードを卒業することを目標にしてはいけない。自分が本領発揮できる自分に適したフィールドを見つけることを優先すべきということも教わった。僕が今まで考えたこともないようなことを丁寧に教えて頂いた。

何も分からずにたまたまここまで来てしまった僕とは違い、色々な情報を確実にまとめて進路を選んでいる彼の姿に強い憧れを抱いた。明確なビジョンを持ち、人生設計をしている。

そして彼らと一緒にオックスフォードで勉強するというワクワクがプレッシャーへと変わっていた。

進路変更という挫折

オックスフォード大学の事務局に向かい、胸の内を相談してみた。

・能力が足りていない。

友人と話す内容から研究における基礎知識まで誰よりも劣っている。さらにそれを英語で議論することも出来ない上に、普通の会話でもついていけない。

・準備が出来ていない。

IELTSのスコアを獲得することに追われて、Pre-Reading List(入学前課題論文リスト)や修士課程で行う研究の準備を何もしていない状態である。

・奨学金を持っていない。

日本から来た学生で何も奨学金を持っていないのは僕くらいであった。自腹で500万円を払って、ついていけずに途中で退学するというシナリオは避けなければならないと考えていた。

そこでオックスフォード大学で博士課程の学生を指導している教授が研究室へと招いてくれて話を聞いてくれた。不安を打ち明けると、オックスフォードで勉強することはPrivilege(特権)であり、この環境に入れば誰もが頑張れるというポジティブなアドバイスを最初に頂いた。

ところが「オックスフォードで博士課程に進みたい」という考えを伝えると、博士課程に進めるのはほんの一握りで、20人中1人か2人だという事実を聞かされる。Distinction(成績優秀)を収めた学生のみがオックスフォードの博士課程に進む。そしてそこからはもっと激しい競争が始まる。アカデミックな英語力がない学生はどんどんドロップアウトしていく。修士課程で良い成績を収めても、博士課程ではさらに高い英語力が求められる。IELTSの条件を満たすことに必死の状態で、ストレートマスターのあなたにとって博士課程進学は難しいかもしれないと最後に告げられた。自信を失っていた僕にとっては逆に心が晴れる話であった。

まだ焦ることはない。全財産を資金を費やして途中でドロップアウトして帰国するわけにはいかない。

そこで僕は決意した。自分の今の弱みを強みに変えるために、まずは世界で通用する英語の国際資格ケンブリッジCELTAを取ろう!


国際英語教員資格Cambridge CELTA

CELTAとはケンブリッジ大学のLanguage Assessmentが提供する英語教員育成コースの一つ。この資格があれば世界中どこでも英語を教えることができる。2年前にオックスフォードに留学した時には大半の参加者がこの資格を持っていた。世界の英語教育界では名の知れた英語教員資格だ。

また振り出しに戻ってしまった。一時帰国してイギリスでCELTAを取得するための方法を探る。

イギリスで最も評判が高かったのがシェフィールド大学ELTCのコース。ここでCELTAを取るとCELTAの価値が上がり信頼性が高まるという噂を聞き、入学必要条件を調べると

・筆記試験
・面接
・IELTS8.0

どこに行っても求められるIELTS!ここではオックスフォードの基準を超えて8.0。

英語を教えることには自信があったため、IELTS7.5だけど面接をして欲しいと頼み込んでみるとあっさり承諾してくれた。筆記試験は文法と英作文がメインで以下のような課題について各20分で英作文をするというものだった。

a) What would you teach a class of beginners in their first lesson?(初心者のクラスではまず何を教えますか?)

b) What do you think are the particular problems associated with teaching adult learners and how would you approach them?(成人を教えるときに起こる問題とその対処法は?)

c) What do you think are the main difficulties in teaching a multi-lingual class?(多国籍のクラスでの一番大変なことは?)

d) What are the positive aspects of being an English language teacher?(英語の教師になることの利点は?)

これらの課題を提出して1時間の面接後、オファーレターをもらう前にCongratulations!と伝えられ入学が決まった。シェフィールドでの6ヶ月間の修行が始まった。


フラットメイトが全員上海人

シェフィールドについて大学寮に入ってみると5人中4人が上海人。そして日本人の僕が1人。

大学の周りは英語よりも中国語の方が聞こえてくる妙な感覚。ここは中国なのか?そして日本人が1人も見つからない。入寮した数日後に上海のフラットメイトが議論したいことがあると言って呼び出された。

「この映像を見て感じることを教えて欲しい」

と言われ、そこから4時間の議論が始まった。

その映像はアメリカ人が中国の戦禍を撮影したもの。そこには日本人が中国人に対して嘲笑い、その後、彼らを生き埋めにするという悲惨な映像だった。悲惨な映像はそれだけではなく、南京事件後、お金がなく南京に取り残された日本人を中国人が川へ投げ捨てるという話も聞いた。そして彼ら曰く「南京事件」は「事件」ではない。中国人100人斬りを達成した日本人の日本の新聞記事や日本と中国の関係を記した書物も見せてくれた。彼らは上海出身のスーパーエリートで学校で学んだ歴史に疑問を感じアメリカ人の集めた戦争のデータを引っ張り出し議論をしている。戦争に関わった日本人の名前を何人も暗記していた。彼らが最後に言い放ったのは、「中国人を筆頭にアジア人は日本がまた戦争を起こして攻撃してくるのではないかと心配している。日本人の大半は国のやることに疑問を持たないように教育されてきて、日本人は戦争放棄していると思い込んでいるけど、日本は核兵器も隠し持っているし我々は日本を恐れている。」と言われた。

この時、僕は自分の国の歴史を批判的に考えず、ただただ文字と年号を暗記してきた。彼らは建設的な議論を展開し、日本人がどう思っているのかを知りたい、そして日中の関係が今後どうあるべきなのかを考えたいと伝えてきた。そこでは僕なりの意見を伝え、政治的な話から文化の話まで盛り上がった。

この日から彼らは日本人の僕を受け入れ、全身全霊で尽くしてくれた。そんな彼らの人に対する優しさには日々驚かされている。女性に対しては勿論、日本人の僕にまで気を使い、優しさエピソードは文字では表しきれない。

CHAPTER 7 ヨーロッパでアクティブラーニングは死語!ケンブリッジCELTAが日本の英語教育を変える!

CHAPTER 8 日本人の85%が海外留学を断念する!世界へハバタク学生を支援するタクトピア株式会社始動!

CHAPTER 9 ロンドンで新しい挑戦!世界教育大学ランキング1位ロンドン大学教育研究所で日本の英語教育を分析する!

CHAPTER 10 日本の英語教育は間違っていた!ゆとり世代の英語教育改革!

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嶋津 幸樹

ゆとり英語教育の被害者/ ロンドン大学教育研究所応用言語学在籍/ 株式会社EUGENIC海外進学塾創業者/ タクトピア株式会社プログラム開発責任者/ ケンブリッジCELTA取得/ オックスフォード大学ELT/ 青山学院大学文学部英米文学科卒/ 山梨学院高校英語科卒/ 著書3冊

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嶋津 幸樹

ゆとり英語教育の被害者/ ロンドン大学教育研究所応用言語学在籍/ 株式会社EUGENIC海外進学塾創業者/ タクトピア株式会社プログラム開発責任者/ ケンブリッジCELTA取得/ オックスフォード大学ELT/ 青山学院大学文学部英米文学科卒/ 山梨学院高校英語科卒/ 著書3冊

嶋津 幸樹

ゆとり英語教育の被害者/ ロンドン大学教育研究所応用言語学在籍/ 株式会社EUGENIC海外進学塾創業者/ タクトピア株式会社プログラム開発責任者/ ケンブリッジCELTA取得/ オックスフォード大学ELT/ 青山学院大学文学部英米文学科卒/ 山梨学院高校英語科卒/ 著書3冊

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