せっかくの出会いをふいにした初海外の話

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 私の初めての海外旅行は、入社1年目の社内旅行の時でした。


 それまでにも小学生の時に一度だけ、台湾への家族旅行を両親が計画してくれたことがあるんですが、母親の体調不良(軽い胃潰瘍)と現地で病気が流行っていたことで中止となり、そのまま社会人になるまで海外というものとはまったく無縁の生活をしていました。


 その時はちょうど香港の中国返還の1年前ということで、『返還前の香港に行こう』と社員旅行の幹事の方々がいろいろと頑張って下さり、実現させたということでした。(入社1年目、もっと言えば入社してまだ3ヶ月という時点での出来事でしたので、幹事の方々の苦労は日本に戻ってだいぶ経ってから知りました)


 初めて着いた香港では、初めての海外ということもあり見るものすべてに驚き、日本とは違う街の香りにすら感激するという完全『お上りさん』状態で2泊3日の社員旅行を楽しみました。


 いろいろな事が起こったのは2日目の夕食の時からでした。まず、私は先輩諸氏にしこたま紹興酒を飲まされホテルの部屋に戻ってすぐにベットにダウン。他の人は夕食後香港の夜の街に繰り出していったようですが、私はそんな事すら知らずにひたすら寝ていました。


 夜の9時ごろから寝ていたので、当然いつもよりも早く朝の5時前くらいには目が覚めてしまいました。当然同室の先輩は夜の香港で遊んでいたので熟睡中。二度寝を試みるも、まったく寝付けないので先輩を起こさないように注意して一人明け方の香港の街に繰り出しました。


 当然朝も早い時間なので街も眠っている、、、と思いきや、街の清掃の方、公園で太極拳をする方、私のように明け方の街を散歩する外国の方と車通りが少ないだけで以外と多くの人が街の中を歩いて着ることに驚きながら、『写ルンです(昔流行った、使い捨てのカメラ)』を使って街の風景をいろいろと撮影をしていました。


 街中を1時間くらいさ迷い、持っていた「写ルンです」のフィルムも切れてどこかで休憩でも、、、と歩いていてインターコンチネンタルホテル横の川沿いのところに座り込みぼんやりとしていたところ、ちょうど座った位置の真正面から日の出が見えました。

 「お〜〜、海外で初めて日の出を見た!フィルムが残っていれば写真撮ったのに、、、。」と思って周りを見渡すと、どうも結構日の出を眺めるのには絶好の場所らしく、若いカップルや夫婦、旅行者の団体の様な人が周りに結構いて、「あちゃ〜、一人もんは僕だけか、、、ちょっと居心地悪いなぁ〜」と思いながらも、完全に日が昇るまで居座ろうと心に決めた時に、

 『********』

と、女性が誰かに話しかける声が聞こえました。一人者の私は「自分のことではない」と思い、そのまま日の出を見ていると

 『********』

とまた同じ女性の声で誰かに話しかける声が、、、。「なんだろう、カップルが愛の囁きでもしているのか!!」と一人者特有のスレた感情で周りを見渡してみるも、愛を囁く声が聞こえる様な距離にはカップルはおらず、5mくらい離れた場所に私と同じ様に日の出を見ている女性(西洋人)が一人座っているだけでした。


 『なんじゃ、なんじゃ?この女の子が話しかけてきたの?まっさか〜』と自分に今の状況をその子と語り合うだけの英語力がなく、さらに今と違い女性に対してとても『うぶ?』だったことも重なり、

 『よし、自分に話しかけたんじゃないと理解しよう』と考えてしまったため、そのままぼんやりと日の出を眺め続けました。


 朝日も完全に登り終え、そろそろ座っているお尻も痛くなってきたのでホテルにでも戻ろうか、と思い立ち上がると、先ほどまで座っていた女性は既に何処かに行ってしまっていました。


 ホテルへ帰りながら、もう一度さっきのことを思い直してみると、まず女性が言ったと思われるセリフですが

 『とても綺麗な風景だね』

 という様なことを言っていた様な気が、、、。

 同じ言葉を2回言ったのは、「1回目は声が届かなかったのでは?」と思いもう一度言ってくれたのでは?

 5mくらい離れたところの横顔しか見ていないけど、結構綺麗な女性だった様な、、、しかもTシャツにジーンズという格好からみても、スタイルも結構良かった様な、、、、。


 ここまで来て『しまった!!千載一遇のチャンスを逃したのでは!!』と気がつきましたが、既に後の祭り。私よりも先に立ち去った彼女を探すことは絶対的に不可能ですし、日本への帰国の日でもあるので、そろそろホテルに戻らないと本当にまずい、、、。


 ホテルに戻ってから会社の先輩たちに話をしても、

 「英語ができなくても、なんとなく話は出来るだろ!」

 「なんで連絡先を聞いてなかった!!」

 「せめて写真くらい撮っとけ!!」

 と散々な言われよう。(まぁ、先輩たちのご意見の方が間違ってないと思います)


 結構残念な思いをした経験ですが、それ以降は、英語力も少しは改善し、それなりに世間の荒波に揉まれて「うぶ」さも無くなったことから、そういう場面に出くわしても、とりあえず『話をする』ということができる様にはなりましたが、あれから20年以上経ちますが今なお残る後悔として私の中に残っている出来事です。

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