第三次AIブーム

最近、新聞やテレビでAI、人工知能が取り上げられることが多い。一番の契機は韓国人の囲碁の名人をコンピューターが破ったというニュースだろう。

他にもグーグルやテスラモーターズに続いて日本の自動車メーカーも自動運転の開発に注力し始めたとのニュースも、もうすぐAI実用化の時代が来るとの考えに繋がっているもだと思う。

雑誌や書籍でも「AIによって取って代われて無くなる職業」なる刺激的な記事が。


ところで皆さんは過去にもAIブームがあったという事をご存知だろうか?

第一次ブームは1956年にダートマス大学のジョン・マッカシー等により開催されたダートマス会議を起点としている。その提案書の中で初めてAI、人工知能という言葉が使われ、「学習のあらゆる観点や知能の他の機能を正確に説明することで機械がそれらをシミュレートできるようにする為の基本的研究をすすめる。」為に多くの研究者が1ヶ月に亘って集まった。

その議論を元に政府から多額の研究費がMITを中心に注ぎ込まれ、コンピュータープログラムによる推論と探索による成果が相次いだ。

コンピューターによる代数幾何学の問題の証明や言語の習得は当時の科学者を中心に、どれ位の時間が必要かの評価は人によって違ったが、10〜30年の間には人間に匹敵する知能を機械が習得するとの楽観主義が広まった。

然し乍ら結果はご存知の様にその様な成果は果たされず1970年代に入って急速にその熱は冷めて行き、政府や企業による資金提供も終焉を迎えた。

当時のコンピューターのCPU能力、データーを保持するメモリーの能力では、人間並みの思考を真似るには余りに劣っていたということである。

そして約10年の最初の「冬の時代」を迎えることになる。


次ぎのブームは「エクスパートシステム」として出現した。「エクスパートシステム」とは文字通り専門家と同じ様に専門的な知識ベースに基づいて専門家の用いる推論の方法で回答を導く。

然し乍ら今回もまた成果は限定的で、一部の領域を除いてその研究は足踏みをすることになる。

専門家の推論の方式化と言ったものの、実際にそれ等を定式化するのは難しく、無理に定式化するととんでもない回答が続出するという限界があった。

二回目の「冬の時代」の到来である。


そして今般。第三のブーム。

今回のキーワードは「機械学習」。

今までとの違いをあげると、膨大なデーター自身から機械に有用な規則性、判断基準、特長などをアルゴリズム化させることにある。アルゴリズムの種類、分類は数多いが、Decision Tree、ニューラルネットワーク、遺伝的プログラム等が代表的。

人間がパターンを定式化する際の誤りを排除できる、もっと言えば機械任せに出来るのだから、「楽ちーん。」と言う事も出来る。

これが可能になった一因は膨大なデーターの収集、処理が可能になってきた事。

数年前から注目を集めている「ビックデーター」も寄与している。

但し限界はあくまで過去のデーターに依存すること。全く新しい問題には人間も同じだが一か八か勘に掛けるしかない。

今回のブームが今まで通り一過性で終わるのか?

巷からは今回は各企業が相当本気だとの声が聞こえてくるのだが。



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