「プロ的変人」と「芸人的変人」
「プロ的変人」と「芸人的変人」
中学生は、正直だから
「なんで、河合塾学園みたいなところやめて自分で塾やり始めたの?」
と、無邪気に質問を受けることがある。たぶん、大規模塾の方が、カッコイイという価値観があるから。
一宿一飯の恩義があるから、黙っていたけどヤバイことが多かった。最近、訴訟を起こす人が現れたから、そろそろ書いてもいいだろう。
30代だったある同僚の国語科教師は、朝と夜に講義を受け持っていたが、日中に一時帰宅するのが難しかったため働き詰めだった。ぜんそくの持病で空調のある部屋に長時間いるのがきつく、なんとか昼間に講義をまとめられないかと本部に訴えたが却下され続けた。ある日、帰宅後に病状が急激に悪化。誰かに連絡しようとしてもできないほどだったのか、電話機の前で息絶えていたという。
別の60代の社会科講師は、離れた校舎をギリギリのスケジュールで移動することを余儀なくされ、炎天下を走っている途中に道端で倒れ、意識を失った。いずれも河合塾側からなんらかの補償があったとは聞いていない。関口威人/ジャーナリスト
大学を出た頃は、
「教育学部を出たのだから、予備校講師かな。知名度が高いところにしよっと」
くらいの、軽いノリだった。
ところが、見ると聞くのでは大違い。まず、英検1級レベルの英語講師がいない。旧帝卒の講師も少ない。いても、どこか変。私も、よく変だと言われたけれど、それより変(笑)。
愛知県警守山署は19日、交際相手の女性を脅すメールを送ったとして、脅迫の疑いで、名古屋市緑区万場山、河合塾講師、高木雅浩容疑者(48)を逮捕した。
河合塾講師、高木雅浩の逮捕容疑は6日から14日にかけて、3回にわたり、交際していた名古屋市の20代の女性会社員に対し
「感情がコントロールできないニダ!」
「傷つけたくないんだけど、邪悪な自分が怖いニダ!」
などと脅すメールを送信したとしている。
守山署によると、河合塾講師、高木雅浩は、女性との間で別れ話が出るようになり、このメール以外にも
「写真をインターネットに流すニダ!」
と脅していた。
変な人は、どの職場にもいるので驚きはしないが、未成年相手の教育の場であるのはマズイ。変な人のレベルを越えて、犯罪というのはさらにマズイ。教育関係の人は、同業者をかばう傾向がある。教師を見れば分かる。
しかし、それでは生徒が犠牲になるではないか。透明度を高めなければ、同じような犯罪が再発する。
代ゼミは7割の校舎を閉鎖して、世間を驚かせたが、河合塾だって駿台だって楽ではない。私も楽ではない(笑)。少子化で、受験産業は厳しい状況なのだ。当然、有能な人材は集まってこない。
こういう本当のことを書くと、業界内では裏切り者あつかいで干される。私は自営業で、子どもたちも成人しているので書けるだけ。
「ガリレオ」の湯川先生は、天才として描かれている。彼は、多くの人からみたら変人だ。それは、ものごとを徹底的に突き詰めていくプロが大多数の凡人からは変に見えるということ。
ところが、最近の予備校や塾にいる変人はこれと違う。芸人のように、目立てばどんな恥知らずのこともやるという変人。つまり、芸人タイプなのだ。経営者は、そういう変人が生徒にウケると知っている。
日本橋学館大では1年生を対象に、「アルファベットの書き方・読み方」などのカリキュラムを実施。教材は「学研ニューコース 中学(1-3年)英文法」といった中学生向け参考書だ。
同様に、数学も「小数の計算」「分数の計算」「比例・反比例」といったカリキュラムが並ぶ。国語は「正しい仮名遣いと送り仮名の練習」「句読点・表記符号の使い方」といった具合だ。
同様に、数学も「小数の計算」「分数の計算」「比例・反比例」といったカリキュラムが並ぶ。国語は「正しい仮名遣いと送り仮名の練習」「句読点・表記符号の使い方」といった具合だ。
大学進学率が10%、20%と上がっていき、とうとう50%に達した。そして、
「大学で分数の足し算を教えている」
という事態にいたった。同じことが予備校や塾で起きている。そういうレベルの生徒はプロではなく芸人を求める。経営者の判断は正しいわけだ。もと暴走族やヤンキーの講師を集めると、集客に成功するわけだ。
しかし、湯川先生や杉下右京がリーゼントをするわけない。
言っておきますが、私は分数計算を教えるのもアリだと考えています。一歩でも前に進むのは悪いことではない。経済的に余裕があれば。
ただし、レベルの高い子はそれで満足しない。
最近、「カリスマ」とか「天才」といった言葉が非常に軽い。本物の天才など、100年に1人といった確率でしか現れないものだ。英検1級やら模試で1番やらでは、天才に遠くおよばない。
カリスマも同様だ。マスコミでもてはやされている「カリスマ講師」の学歴を見ると、多くがイマイチだ。学歴だけが全てなどとは思わないが、学歴、資格、指導した生徒の合格率など、すべての点で抜群でなければカリスマとは呼べない。
もちろん、私もカリスマなどではない。
プロ的変人と呼ばれるのは構わないけれど、芸人的変人とは呼ばれたくない。そう心に誓っている。
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