どん底からの大学受験 最終回

浪人生活から学んだこと

(ぜひ①〜もみてください(^^))


大学に合格し、入学することがこんなにも大変なことだとは思わなかった。親からの経済的援助が一切ない中、自分で学費を稼ぎ、勉強し、士気を保つことは簡単なことではない。そんなに大変な思いをしてまで大学にこだわってきた理由は、やはり高校一年生のときに感動的な授業をしてくださった予備校の先生に出会い、目標を持つことができたからだろう。

あの出会いがなかったら、今頃私は何をしているのだろう。人生はふとしたきっかけから変わる。感動的な授業をしてくれたすばらしい先生に出会えたことで、人との出会いの大切さを学んだ。逆に言えば、悪い人との出会いが人を破滅に追いやることもあるのだ。その点私は、経済的に恵まれない環境にいたものの、人生の早い段階で自分の歩むべき理想に出合うことができた。そのことには本当に感謝している。
長い長い戦いだった。
とにかくがむしゃらにやっていれば道は開けると信じていた高校時代。
学業とアルバイトに精を出し、がむしゃらに頑張り自分を鼓舞してきた1浪時代。
「貧乏」というものが自らの行く手を阻み、世の中のすべてが敵にみえ、本格的に精神を病みはじめ、さみしい、むなしい、くやしいという感情と戦い続けた2浪時代。
肉体的にも精神的にも限界を感じ、投げやりになり、もはや大学受験そのものをあきらめかけ、どうすればいいかわからなくなった3浪時代。
一人暮らしを始め、何から何まで自分でやらなければいけない環境に身を置くことで、改めて過去を振り返り、初めて客観的に自分自身を見つめることができた。そして今後の方向性を考えていたとき、ある1通の手紙が私を励ましてくれた4浪時代。
再び芽生えた大学受験に対する気持ちを、確固たるものにするため、何か刺激を与えようと、決意したイギリス留学。そこでの出来事がさらに自分自身を学問の道へと駆り立てた5浪時代。
金銭的な見通しもつき、最後の力を振り絞って全力疾走し、やっとの思いで大学合格を果たした6浪時代。
そんな過酷な浪人生活が私に教えてくれたことは、次のようなことだ。
「どんなに苛酷な環境であっても、その中で最大限に努力をすること」
18歳から24歳という期間は、本来いろいろなことに挑戦し、行動できる年代である。その期間を受験勉強とアルバイトに費やすことは、合理的な選択ではないかもしれない。ただ、いかに自分を律し、精神力を鍛えるかという技を手に入れ、普通の人が経験できないようなことを経験できたのは大きな収穫だった。
これまで「お金がない」という台詞を何度も口にしてきた。自分が大学に進学できないのは、全部お金のせいだと思っていた。しかし、今振り返ってみれば、自分の実力や努力不足をお金がないという問題にすり替えていただけなのかもしれない。そう考えることである意味安心していたのかもしれない。
もちろんお金のことでは本当に苦しんだ。電気やガスが止まったことも、家賃が払えないこともあった。ときには一つのカップラーメンを家族3人で分け合い、「おいしいね」と言って食べたものだ。
こんなに時間もお金もかかることが予めわかっていたら、高校を卒業した時点で社会で働き、しっかりと自立してから大学受験をしてもよかったかもしれない。ただこれでも当時の私にとっては精一杯のことをやってきたつもりだ。
貧乏はありとあらゆる行動を制限する。ときには行動だけでなく、正常に思考することや普通に生活する権利まで奪う。
一方で利点もある。どん底を経験した人は謙虚になれる。そしてなにより、人一倍努力する機会を得ることができる。

最後に私がイギリスで出合った一編の詩を紹介して締めくくりたい。もしもこの記事を読んでくれている方が、自分と同じように経済的な面で苦しんでいるならきっと心に響くだろう。
I asked for riches, that I might be happy.
But I was given poverty, that I might be wise.
「幸せになろうとして富を求めたのに、賢明であるようにと貧困を授かった」
人はそれぞれ問題を抱えている。でもいつだって本気になれるチャンスはある。
さあ、あなたは何を本気でやりますか?





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