ファイナンス入門(22) GDP統計についての最近の議論

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景気が良いとか停滞しているとかいう時に引き合いに出されるGDP、国民総生産。一国の中で生み出された付加価値の合計だが、簡単に言うと五十円で仕入れて百円で販売した時の差額=増分の合計。ところでここに来て、このGDP統計の正確さに関する議論が国内だけでなくグローバルでも盛んに。

わが国ではGDPは内閣府が担当。

ところが最近、日銀の職員による論文で税収の堅調さと比べるとGDPの数字の低調さに疑問があるとの指摘がなされ、2014年のGDP成長率が実質2.4%のプラスだったとの試算を発表、内閣府によるマイナス0.9%と真逆の結論で波紋を広げている。

確かに我が国の税務当局の税収把握力には目を見張るものがあるが、税収には税法の変更や過去の繰越欠損金による控除等の影響が避けられないという一面もある。

また統計は同じ「物差し」で継続的に時系列の変化を測っていく事が重要なのであって、突然、メートル法の物差しよりインチ法の物差しの法が正確だからと言って変えてしまっては比較にならない。

また我が国のGDPはSNA、System of National Accountと言う国際的な統一ルールに基づいて作成されており、これ無くしては国際間での比較が機能しなくなってしまう。

海外でもGDP統計に対する疑問の声が高まっているが、「でもGDPに代わる指標が有るのか?」との指摘に反対派の声はかき消されてしまう。


そもそも我が国のGDP統計に携わっている人達は50名足らず。

100-200名を擁する諸外国に比べても大変少ない人員によって行われている。

数字そのものに一喜一憂するのでは無く、その変化の方向と大きさに注目するとともに、統計数字以外の市井の声に耳を傾けた経済運営が益々求められているのでは無いだろうか。


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