国土交通省による地方路線の共同運航検討依頼が胡散臭

航空業界の監督官庁である国土交通省が日本航空とANAホールディングスに都市と離島等を結ぶ地方路線の維持の為に共同運航を検討する様に要請。

採算の悪化している地方路線の維持が主目的であるようだが、そもそも採算に乗らないような路線を商業航空会社が維持していく意味があるのかと言う根本的な問題に切り込んで行かないと、かつての鉄道廃止、路線バス廃止と同じ様にどうにもならない状況になりやしないだろうか。

地方路線の導入の際にいつも起こるのが甘い需要予測に基づいた計画。

過度に波及効果を大きく見積もって、それに基づいた機材調達、運営計画を立てるのだから、需要が予想まで届かなければ大幅な赤字に陥り成り立たなくなるのは当然。

それに加えて多くはお役所仕事の上物建設。

公共性が高いのは事実で、コマーシャルで採算に乗りにくい部分は地域公共団体からの補助金などの支援を考慮するのは現実的な選択肢。

但し、仏像入れて魂入れずでは無いが、今や航空産業は運送業では無く、サービス業更には娯楽産業である視点が欠けている。マーケティングの観点が無いのだ。

需要を予測するだけで無く、需要を作る。この観点が必要だ。

また、コストサイドも予想収益逆算ベースでは無い、骨太なもので無いといけない。

天草エアラインという天草から福岡を結ぶ地方路線。

鉄道とバスを使って3時間以上かかるものを、空路では35分で結ぶ。

1998年に、熊本県や地元市町村、企業が出資して設立されたが、2008年に債務超過に陥る惧れが明らかになり、整備費の補助、その他徹底的なリストラに着手。結果、2009年から黒字に転じている。


今回の国土交通省による要請は、競争阻害につながる懸念がある。

複数の航空会社が就航する路線で競争を減少させて採算を向上させることにより、そこでの利益で離島路線を補おうというのであれば、恒常的に離島航路を維持することには繋がらない。

いかに離島路線を需要喚起していくのかと、筋肉質なコスト構造を作っていくかを同時に一つ一つの路線について検討していく必要がある。


但し、国土交通省の提言の中でも、シェアーコードによる他社路線への乗換を促す点については一考に値するかと思う。利便性が良くなれば、観光客の集客も進むと期待できる。

しかしながら、この点でも国土交通省が外国人観光客の集客を狙っているとしたら、受け入れ側の語学力の向上、リーズナブルな宿泊施設の整備、各種の文化遺跡へのアクセスについても考えて行かないと、掛け声倒れになってしまうのでは無いだろうか。


進展をこれからも見守っていきたい。



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