アニメ『この世界の片隅に』を宜しく その二

六本木で毎年開かれている東京国際映画祭が今年も。きらびやかなレッドカーペットを有名な俳優や女優が登って行くシーンがテレビや雑誌の紙面を飾る。

この東京国際映画祭に、高校時代の同級生である片渕須直監督が製作したアニメ映画、『この世界の片隅に』が招待作品として登場。

所属事務所からの独立問題で能年玲奈から芸名を変えた「のん」が主人公役の声優を務めたことでも話題を呼んでいる。


とにかく、この片渕須直監督は学生時代からの大のアニメマニア。

よく放課後の視聴覚委員会室でクラスメイトと、当時テレビで放送されていた「宇宙戦艦ヤマト」について熱く話しをしたものです。

しかしそれを貫徹してアニメ映画監督になったから大したものです。

我々の通った高校は県立高校で御三家と呼ばれていた進学校だが、勉強だけやっていると言うと却って馬鹿にされるような自由な校風。自由すぎて中学時代は県内10位以内の成績だった奴が浪人したり。実際、現役合格者は半分位だったのではなかっただろうか。まあ、受験の高校三年の時に放課後暗くなるまでトランプに興じていたりするのだから仕方がない。

浪人組が何故か中堅の某予備校にまとまって入学し、そこを訪ねて行ったところ高校のクラスかと思うほどうちの生徒で一杯と言うことがあった。


大学に入ってからも片渕監督の消息は同窓会などでちょこちょこと耳にしており、苦労しながらも鉄腕アトム等の作者である手塚治虫さんの「虫プロ」でアルバイトをしているなどとプロへの道を確実にしていた。


5年ほど前の同窓会では当人にも会えたが、皆んなスタジオジブリに務めていた事や、彼の作品が国際コンクールで賞を受賞した事を知っていたので、「凄いな。」と、賞賛の嵐。

だが本人は淡々しており、「どうしたんだい?」と尋ねると、

「皆んなきらびやかな世界と誤解しているみたいだけど、こっちゃ毎回次回の作品が作れるかドキドキものなんだ。金もかかるし。上演の場所も確保しなきゃいけない。」

有名になっても驕らず、真剣にアニメにプロとして取り組んでいる姿がそこにあった。


実際今回の映画でも資金の獲得に苦労して、インターネットで出資を募るクラウドファンディングを実行。予定額を大きく上回る資金を獲得した。

見てもらえればわかるが片渕監督の絵は、やはりジブリの系統に属していて風景や人物の美しさにはハッとさせられる。

一つ懸念は現在大ヒット中の「君の名は」の絵柄とダブってしまわいかとのこと。

しかし、時代背景は戦前戦後の広島の呉、凝り性の片渕監督らしく徹底的に文献と現場を取材尽くして作品を作り上げた。

既に11月半ばから全国公開されることが決定。更には国外でもイギリス、フランス、ドイツ、メキシコなど14カ国での上映が決まった。

是非みなさんにも映画館に足を運んで頂ければと思います。


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